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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
父と娘それと母、大事な大事なお話です
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……どうも、ラキュだよ。

さっきさ、アヤネに自分の想いを伝えに言ったよ。

正直超恥ずかしかった……さっと言ってさっと帰るつもりが長引いたかな? って思ってる。


それと、さっきは変なテンションになってたね。

と言うか、これ……振られるの前提で告白したよね。

他の人に言ったら「玉砕覚悟で告白するとかアホだね」とか言われそうだ。


まぁ、それは僕も分かってたよ。

そこは僕の今後の動き次第、だからなんとでもなるからね、あまり気にしてないよ。


なんとでもなる、そう……なるんだけど。

目の前の状況は……なんともなりそうもないなぁ。


「ねぇ……どうして僕に抱き付いてるのかな?」

「きっ気分……です」


はい、言った通り……僕はクーに抱き付かれてる。

どうしてこうなった……自分でも分かんない、でもこうなった経緯は説明できるよ、それは少し前の事だ。



「はぁ。逃げてきちゃった。今頃きょとんってなってるよね……」


僕はさっき、アヤネに気持ちを伝えた。

なんと言うか、凄く強引な告白だったと思う。


と言うか、あの状況で告白するとか、空気読めないにも程があったかもしれない。

失敗したね、完全にやるタイミングじゃなかったよ。


でもさ、仕方無いじゃん。

早くしないと、アヤネが何処かへ行っちゃいそうだったし、それなら早めに言った方が良いじゃん。


「まぁ、後悔はしてないんだけどね」


僕がやりたいって思ってやったからね、それが出来て満足だよ。

ただ……勢いついて、するタイミングを間違ったから反省してる。


過ぎた事はどうにもなら無いのにね、よしっ……この事で悩むのは止めよう。

一旦シルク君とアヤネの様子を見に行こう、その後は城に帰ろうかな。


「ラキュ君……」


後ろから声がする、この声は……クーだね。


「クー、シルク君の所にいたんじゃないの?」


さっきまでいたの見たけど、こっち来て良いの? まぁ2人きりにした方が良い雰囲気ではあったけどね。


だからクーはここに来たのかな。

なんて勝手に思ってるんだけど……全く喋んないね、黙ったまま、じぃっと僕を見てるよ。


「クー? どうかした?」

「……」


話し掛けても無言、困ったねこれは。

とりあえず、話し掛け続けてみる? あっ……そうだ、クーには言う事があったじゃないか、それを伝えないといけないね。


「クー、アヤネを引き止めてくれてありがと。それと、クーが言った様に自分の気持ちに素直になってみた。お陰でスッキリした、その事も含めてありがと。今度おれぃっ! ちょっ、クー!?」


びっビックリした! お礼を言おうとしたら急にお腹に向かってタックルしてきた!


めきょっ……と変な音がして僕のお腹にカボチャの被り物が少しめり込んだ。


クー……君さ、かっ被り物してるの分かってる? それ当たると痛いんだからね? 気を付けてよ!


なんて言えずに悶絶してると、がばっ……と僕の背に手を回してくるじゃないか。

その行為の性で、僕はパニックに陥った。


え……クー……さん? なにしてるの……かな?

困惑して、口をパクパクさせてると……。


「しっ暫く……こう……させてくだしゃい」


小さな声でこう言ってきた。



それからずぅぅっとこんな感じ、今に至るって訳さ。

暫くこうさせてください……か、正しくは"させてくだしゃい"って言ったんだけどね……それは噛んじゃったんだろうね。

いや、そんな事は置いといてだ……抱きついてきた意図はなにさ、全く分からないよ!


だから……僕は、苦笑いしてる。

やっばい、なにこの状況……今僕に何が起きてるの? それが分からないまま時間が過ぎていく。


「どうしたの、クー? 体調でも悪い?」

「ちっ違いま……す」


ふむ、違うのか。

抱き付いてるから分かるんだけど、震えてるんだよね……だから何処か悪いのかと思ったけど、違った。


「あっあたい……」

「ん?」

「あっアヤネちゃんみたいに……だっ大胆な事、でっででっ出来ないけど……あっあたいなりの、あっアピール!」


えっえと、なにが? アピールって何さ。

怪訝な顔をクーに見せると、きゅっと力が強まった。

ちょっ、やばい……やっ柔らかいのが、あっ当たってる。


「あっあたいだって……やっやってやります! 前から頑張って……たんだもんっ!」

「あの……さっきから何言ってるの? 意味分かんないんだけど?」

「今は、わっ分かんなくて、いっ良いです!」


えぇぇ……なんで今怒られたの? すっごいキツい口調で言われたよ、ほっんと訳分かんないな、この状況。


「もっもう……ライバルの手助けは……しっしない」

「え、なにそれ。なんのこと?」

「なっなんでも……ない、です!」


おぅ、またキツい口調だ。

なぁんか隠してるっぽいね、まぁ……それは良いから早く離して欲しいんだけど。


「いや、なんでもないって……っ! いたっ! ちょっ痛い! 強く抱き締め過ぎだって! ちょっと……きっ聞いてる? 折れるっ折れるよ! クー! 聞けっ、僕の話を聞けぇぇぇっ!」


喋ってる途中から、段々抱き締めの力が強くなった。

これっ、締め付けてるよね! 明らかに抱き締めじゃなくて締め付けだよね!


「クー! いっいい加減に……はっ離せ!」

「やりますっ、やっやりますよ、あっあたい……前から……ほっ本気で……ががっ頑張って……まっままっましたから……」

「変な喋りしてないで離せぇぇぇっ!」


ミチっミチミチミチ……。

ねぇ、聞こえてる? 今の音聞こえたよね? これ、僕の肋骨が悲鳴をあげてる音だよ? 人間だったら絶叫するレベルの音鳴ってるの分かってる? いや、分かれ!


そう思いながら暴れる。

その時だ、クーが我に返り「うひゃぁぁっ」と悲鳴をあげて離してくれた。

あぁぁぁっ……やっと離れてくれた、助かった。


助かったから、クーに問い詰めよう。

なんでこんな事、したのかをね……変な理由だったら、ちょっと許せそうに無いよ。


「あっあのっ……ごっごごっごめんなさいっ! あっあたあっ、その……ごめんなさいぃぃぃっ」

「え、ちょっ…………行っちゃった」


なんで抱き付いて来たのか問い詰めようと思ったけど……その前に謝って何処かへ走っていっちゃった。

別に追い掛けても良いんだけど……今は止めよう、なんでか知らないけど、そうした方が良い気がしたからだ。


「……取りあえず、帰ろうか」


胸を押さえ、僕はそう呟いた。


アヤネに気持ちを伝えた。

正直、想いは確実に伝わっていないだろう、そこは今後の動き僕の動き次第だね……なんとかしてアヤネを振り向かせてみせるさ。


と、もうひとつ。

クー……さっきは明らかに様子が変だった、その事が凄く気になる。

気になるけど……後で考えよう、城に帰って姉上に今の事を伝えよう。


ふぅぅ……気になる事は出来たけど、何はともあれ一件落着……かな?


さて、じゃぁそろそろシルク君とアヤネを見つけながら城へ帰ろう。

あ……そもそも、あの2人きちんと解決出来たのかな? そんな不安を抱きながら、僕は歩いていった。

前に、この章はクライマックスだ! と書いてたけど……まだ続くっぽい。

話の終わらせ方って難しいよね! でも、もうすぐ、この章が終わるのはほんとだよ!


今回も読んで頂きありがとうございました!

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