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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
素直になる事とやり直し
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前にいるラキュを見つめる。

一体何をするのか分からない……不安だ、こんな状況で変な事をする奴じゃないんだが、それでも不安を感じる。


アヤネの後ろにいるクータンを見てみると、緊張してるのか震えていた。

いつも通りの被り物と服装、クータンの方は何時も通りみたいだ。


「元気そうだね、アヤネ」


俺達以外誰もいない城下街地下にラキュの声が響いた。


「ん、私は……元気」

「そう、良かった」


何気無い会話だ、もちろんこれで終わるわけが無い。

さっきラキュは、意味深な顔をしていた。

だから……だから何か凄いことを言うはずだ……と勝手に予想してるが、実際どうなのか分からない。


あぁ、見てるだけなのにドキドキしてきた。

アヤネの方はどうなんだ? そう思って、よぉく見てると、きょとんとしていた。


「まずはさ、空気読まずに割り込んだのを謝るよ。ごめんね」

「……ん、別に良いよ。気にしてない」


うん、それに関しては俺も同じだ。


「そう、じゃぁ手早く話そうかな。妙に焦らすのは好きじゃないからね」


ごくっ……。

思わず唾を飲み込んでしまった、緊張の瞬間だ。

見てるだけなのに、汗掻いてきた。


「アヤネ」

「なに?」

「好きだ」


なっ、ななっ、え? 妙な真剣な雰囲気出してるなぁ、と思ってたが……こっ告白? 今、告白したよな?

いっ言いたい事ってそれか! それが言いたかったのか!


「らっららっ、らっ……君?」


顔真っ赤のアヤネ、流石にこの展開は予想外だったんだろう。

非常に慌てている、それは俺も同じだ、慌てて口をあんぐり開けたまま間抜けな顔してるよ。


「驚いた? って聞かなくても分かるよ。驚いたよね」

「うっ……うん」


くふふふ、と笑ったラキュはそのまま、ビシッ! とアヤネを指差す。


「あ、勿論シルク君の事が今でも好きなのは知ってるよ。敢えて言ったからね」

「え、あ……うん」


ピクリっと反応するアヤネ。

……なんか凄いことを言ってるな、違う人が好きなの分かってて告白したのか、すっ凄いな……ラキュ。


「だからさ、家に帰るなんて言わないでよ? 僕が帰さないから、迷惑だと思っても構わないよ。好きにさせる自信……ある、からさ」


普段聞かないくらいキザな台詞だ。

こんなの、俺の知る限りヘッグしか言った事がないだろ。

……いや、そんな事はどうでも良い。


ラキュが、あんなキザな事を言うなんて……あ、でも最後ら辺、恥ずかしくなったのか声小さくなったな。

あれか? 言うのが恥ずかしかったのか?


「…………」


そんなラキュの言葉に無言のアヤネ。

表情は……さっきと同じで何とも言えない感じ、もしかして状況分かってない感じか?


「あぁ、えと……。此処にいなよ、じゃないと困る。じゃ……僕はもう行くよ」


ラキュはこっちを向いて、足早に俺の方に向いてくる。

そして……俺を横切って帰ってしまった。

凄い速さだ……よっぽど恥ずかしかったんだな、この空気に耐えられなかったんだな、なんとなく分かる。


実はこの時の横切り際に「つっ次は、シルク君の番だよ」そう呟いていた。

……なっなんだろう、この感じ。

さっきまでガチガチに緊張してたのに、良い感じに解れてる。


とっ取り合えず行くか、このまま、ぼぉっとしてるのは良くないからな。

という訳で、てくてく歩いてアヤネの側まで行く。


「……」


で、側に近付いたのは良いんだが……何言って良いのか分からなくなった。

どっどうしよう……この空気で、俺の想いを伝えるのか? いやいやいや、無理無理無理。


伝えるにしては空気が変な事になってる。

なっなんとかしないと……くそっ、ラキュめ……告白したのは良いが、変な空気にするんじゃない! 俺、これから大事な事を言うんだぞ!


「告白……」

「え?」


びっくりした、ぽつり……と、小声でアヤネが喋った。

なんて言ったんだ?


「告白……された」

「おっおぉ、そう……だな」

「されたの……初めて」

「そうか」

「うん」


……。

少し恥ずかしそうに眼を細めるアヤネは、手と手を重ねる。


「らっ君……顔真っ赤だった」

「そうなのか? 後ろ姿だったから分からなかった」

「うん、真っ赤っかだったよ。リンゴみたいだった」


ほっほぉ……それは見てみたかったかも。


「面白かった」

「面白かったのか」

「うん」


にぃっと笑うアヤネ、俺も釣られて笑った。

あ……今、アヤネが笑った。

久し振りと言うのは大袈裟かもしれないが、敢えて言わせてもらう。

久し振りにアヤネの笑顔を見た。


そしたら俺の心が暖かくなった、いつものアヤネに戻ってくれた。


「ふふ……」


その事に感激してると、俺に向かってはにかんだ。

その瞬間、言うなら今だ……そう思った。


よしっ、心の準備は出来ている……伝えるか、俺の気持ちを。

ラキュ突然の告白、彼らしい告白の仕方ってなんだろ? と考えた結果こんな風になりました。

変……じゃないよ、変じゃない筈大丈夫……多分。


今回も読んで頂きありがとうございました。

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