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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
素直になる事とやり直し
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私は泣いた、どのくらい泣いたか分からないくらい泣き続けた。


「落ち着き、ました……か」

「……ぅん」


泣き終わった後は、声がガラガラになっちゃった。

だから今、クーちゃんにお茶を貰ってる、それをクピクピ飲んでいる。


あぁ、喉が痛いときに飲む暖かい紅茶……美味しい。

砂糖がたっぷり入ってるから余計に美味しく感じる。


「泣いて、スッキリ……しました……か?」

「ちょびっとだけ」


顔を少しだけ傾けて聞いてくるクーちゃんに、うつ向きながら答える。

ほんと、気持ちがちょびっとだけスッキリした。


でも、まだ辛いのが取れてない。

まだ泣き足りないの? 想いは全部吐き出したのに。


「そう……ですか」


唇をきゅっと噛み締めるクーちゃん、暫くそうした後口を開いた。


「じゃぁ……もうちょっと、こうしましょう……か?」

「っ」


ぴとっ、とまた身体をくっ付けてくるクーちゃん。

また私を抱き締めてくる、うっ……うぅ、ちっ違う、別に、そんな事……して、欲しくない、と言うか、これ……恥ずかしい。


「恥ずかしいから……やめて」

「あ、え……ごっごめん……なさい」


だからその気持ちを伝えつつ、ぐいっ! とクーちゃんを引き剥がした。

申し訳なさそうな顔をして謝ってくるクーちゃんはペコリと頭を下げた。


ふわっと髪が揺れる、仄かに太陽の香りがした。

良い匂い、ぷっくりとした頬、ほんのちょっぴりのソバカス、それに……このふわふわのソバージュヘア。


可愛い……こんな可愛い娘に謝られちゃうと、変な気持ちになっちゃう。

こんな状況でこんな事を思っちゃった私は、ブンブンと頭を振るう、そんな時。


「やっぱり、まだ……かっ帰りたいって、おっ思ってるん……ですか?」


伏せ眼にして、髪を弄りながらこんな事を言ってきた。

やっぱり帰りたいんですか? か。

さっきまで「うん」とか「さっきからそう言ってる」とかクーちゃんに言ってた。


さっき色んな気持ちを泣いて吐き出して気付いた。

あの時の私は強がってた、強がってなきゃどうにかなっちゃいそうで、あんな事を言っちゃった。


でも今は、さっきまで言ってた強がりを言う気分にはならない。

だって私がキツく当たっても、クーちゃんは私を慰めてくれた。


迷惑だとか思っちゃったけど、それは……もう前の話し。

今は違う、だから……その気持ちを伝えなきゃいけない。


ぎゅっと手を握って拳をつくる。

そして、眼をキリッとさせクーちゃんを見つめる、しっかり聞いてね、今から私の本心を言うよ。


「ほんとは、帰りたくない。だって……シルクの事は振られた今も、好きだもん。でも……シルクはロアの事が好き、だからシルクはロアと一緒にいるべき、私が無理矢理取っちゃダメなの。そんな事したら……きっとシルクは悲しんじゃう。私は、そんなの嫌……好きな人には笑顔で居て欲しい……だから……だからね? 私、家に帰った方が良いんだと思う。だって……私は邪魔者だもん。私がいたら……シルクは幸せになれない、だから私……ほんとはここに居たいけど、家に帰る」


長い長い言葉、途中辛くなって言葉を詰まらせたりもした。

それなのにクーちゃんはしっかり聞いてくれた。

時々頷いたり、驚いたり、眼を見開いたり、そんな反応をとってた。

私は……また泣きそうだった、でも我慢した、これ以上泣き顔をクーちゃんに見られたくない。


だから、唇を咬んで泣くのを我慢した。

じわっと血の味を感じたけど関係ない、我慢……しないと。

そうしないと、シルクは……幸せになれない。

これは絶対にしないとダメな事、ワガママは言っちゃダメ。


だからね、泣かないでよ私。

涙を流さないでよ? 素直な気持ち言ったんだよ? 涙止まってよ、泣き止んでよ……気持ちもスッキリしてよ。

これ以上モヤモヤしないで……苦しいよ、これ以上……苦しいのは、嫌。


そんな感情に襲われ、私は眼を瞑った。

このまま、眠ってしまいたい位に苦しい。

だ、自分の胸に手を当てた……うわ、心臓凄く脈打ってる。


胸が苦しい筈だ、こんなに動いてちゃこうなる。

……あぁやだなぁ、やっぱりヤダよ、シルクと離れるのは……やっぱり……イヤだ。


スパァァンッーー


「ひゃっ!!」


え? え? なっなに、なに!? あっ頭に何か当たった? 軽く何か当たったよ? ビックリして眼を開けてみると、頬を膨らませたクーちゃんが私を睨んでた。

え、もしかしてクーちゃん……私の頭、叩いた?


「バカじゃないですか? なんですかそれっ! なんでそうなるんですか!!」


いつもと違ってハキハキ喋るクーちゃんが凄んでくる。

私は、ビックリして口を開けてぼぉっとしちゃった。

そんなクーちゃんは、私にずいっと近づいてくる。

だから身体を後ろに倒すんだけど、構わず顔を近づけてくる。


こっ怖い、クーちゃん怖い、なっなに? わっ私……なにされるの?

いつもと違う雰囲気を出すクーちゃんに恐怖した私はプルプル震える。


くっクーちゃん……なっなんで、怒ってるの? 私、なにも変な事……言ってないのに。


そう思った私は、怯えた眼でクーちゃんを見つめた。

アヤネ&クータンパート、はやくも大詰め? 展開早いかなぁ。

と言うか、2000文字越えちゃった、まぁ……いいか。


今回も読んで頂きありがとうございましたっ。

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