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クーちゃんと話しをする事になったから、ソファに座る私とクーちゃんは、じぃっと見つめ合う。
因みに、クーちゃんは私の隣に座ってる。
「じゃっじゃぁ……はっはなっ話し……て……くっください」
カクカク震えるクーちゃん。
しかも凄い見てくる、そんに見られたら話辛い。
と言うか、なんで隣に座ってきたの? 普通は向かい合って座るよね? そんな疑問が浮かんだけど、あまり気にしない様にした。
「分かった。話すよ」
低い声で言った後、私は話し始める。
自分の思ってること、考えつく事を全て話そう。
「……」
と思ったんけど、いざ話すとなると言葉が出ない。
あ、違うかも……言葉が出ないんじゃなくて、出したくないんだ。
言葉にしたら、またあの時の気持ちがよみがえるから。
悲しくて、辛くて、痛い。
それが混ざりあって吐き気が出る程苦しい気持ち。
あぁ来た、思い出しちゃった、頭の中で流れてる。
シルクの声が聞こえる「ごめんなさい」って……。
その時だ、フツフツと怒りが沸いてきた。
「なんで? なんでなの? なんで振ったの? 」
怒りの想いが声に出る。
そしたら次から次へと色んな事が込み上げてきた。
私よりロアが良いの? なんで、ねぇなんで? 意味分かんない。
「私の方がシルクの事好きなのに、私の方がいっぱい頑張ったのに……なんで、なんっ……で」
ひくっ、ひくっと身体を揺らす。
悲しくてムカムカして胸が苦しくなった。
「シルクの……バカ。バカぁぁ」
あれ? 何かが零れてる? テーブルに水が落ちてる。
でも、可笑しい……私はなにもこぼしてない。
……あれ? 眼が熱い、まぶたがひくひくしてる、もしかして私……泣いてる?
それに気付いて、目を触ってみる。
指先が濡れた、私は今、泣いていた。
「ぅぅ、あぁぁぁぁぁっ、あぁぁぁっ」
それに気付いた時、腹の底から泣き叫んだ。
驚くクーちゃんに構わず、わんわん泣いた。
あの時も、振られた時もそうだった。
辛かった、凄く辛かった。
これ、世界で一番辛い事だよ、そんな事を思っちゃう位辛かった。
だから逃げ出した、家に帰ろうと思った。
家に帰って、パパとママに謝って……一緒に過ごそって思った。
だって、そうしないと辛いもん。
私は今でもシルクが好き、でもシルクは別の人が好き。
そんなの……嫌だよ。
シルクが他の人と付き合うのなんて見たくない。
そんなの辛すぎる、見たら……どうにかなっちゃう。
家に帰りたい訳はそれ。
あ、違う……それだけじゃない……かも。
私、振られたのに……変な事思ってるんだ。
その思ってる事が、家に帰りたい理由の大半かもしんない。
その理由は、シルクに好きな人と一緒に居て欲しいから。
変、だよね。
好きな人に振られたのに、こんな事思うのって、私……可笑しいよね? 笑っちゃうよね。
でもね……振られて、逃げて泣き叫んでる時に思ったの。
好きな人には、笑って過ごして欲しいって……。
笑って過ごすには、す 好きな人と一緒になるのが一番。
それが私じゃなかったのは……凄く辛い、でも……辛いけど、そうしなきゃダメなの。
シルクには笑ってて欲しいもん。
だって、シルクは笑顔が可愛い、悲しんだ顔なんて絶対に似合わない。
だから我慢しなきゃって……思った。
でもダメ。
我慢したけど……ダメだよ、私、やっぱりシルクと付き合いたい、結婚したいよ!
あぁぁ……バカだ、変な事ばっかり考えてる。
だから振られたのかな? 私が変な事考えるから振られた、そもそも……シルクは私の事、どう思ってるの? 嫌われてない……よね。
もしかして、嫌いだから……振った? ダメ、そんな事思っちゃダメ……シルクはそんな人じゃない。
あの時は、正直な気持ちを言った。
あれが、シルクの答えなの。
ごめんなさい、それが……シルクの答え。
っ、あぁ……重たい、心も身体も重たい。
さっきから泣き叫んで、喉が痛い……もう声も枯れちゃってる。
辛い、痛い、苦しい、重い……そんな感情がごちゃ混ぜになった。
そんな時、ふわっ……と優しい風が吹いた。
そして、優しい温もりが私を包んだ。
「暫く……こうしてます、でっですから……その、もっと想いを……吐き出して……下さい。溜め込んじゃ……ダメ、です」
ぽんっ、ぽんっ……と優しく背中を叩かれた。
その瞬間、私はクーちゃんに強く抱き付いた。
柔らかくて、優しくて、良い匂いがして……とても心地よかった。
そんなクーちゃんの温もりを感じながら……私は子供の様に泣き続けた。
泣く描写の難しさがしみた話でした。
情景思い浮かばせながら書いたけど……どうでしょう? と聞いてみる。
どこも変な所、ないよね?
今回も読んで頂きありがとうございましたっ。




