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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
厳格な男、されど凄くお茶目さん
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フドウは自分がここに来た訳を話した、それは俺を驚かせるものだった。


「娘を探しにか、なるほど」


ふむふむ、いやはや何度も思うが驚いた、こんな事があるとは……本当に驚きだ。

ん、なにが驚きかだって? それは……このフドウと言う男、アヤネの父らしいんだ。


なんと言うか、偶然会ったにしては出来すぎている。

アヤネにも会って、その父にも会う。

もうこれは奇跡じゃないかな?


「うむ、もう出ていって長い……。何処で何をしてるのか心配なのだ」


そうだろうね、凄く心配だろう。

……こうやって探しに来てるんだから分かる、フドウは良い父親だ。


「それで、こうやって探しに来たんだが……ここに来てから何度も何度も同じ場所に来てしまう。不思議な事もあるものだ」


うぅむと唸るフドウは、もう一度「不思議だ」と呟く。

それ、ただ単に迷ってるだけだろう? 不思議でも何でもないよ。

でもまぁ、ここは同意しておこうか。


「ほんと、不思議なものだね」

「うむ」


こくり、と頷くフドウ。

そして、髭を擦る。

うむ……まぁ、その不思議がどうのは置いておいてだ。


「えと、その娘さんの手懸かりとかはあるのかい?」

「ん、それが全くないんだ」


まぁ、そうだろう。

今彼女は魔王城にいる、あそこは人間達の出入りは全く無い。

だから分かりようが無い……だから幾らここを探してても見付からない。


「だから不安だ。とてつもなく」


うん、その通りだろう。

不安で不安で仕方ない、父親ならそう思う。

だったら、その不安を解消してあげようじゃないか。


と言うか、これは叶えないといけない。

困ってる人は見過ごせない、それに……アヤネを魔王城へ送ったのはこの俺、言わばこうなる原因を作ったのは俺だ。


つまり、フドウをアヤネの元へ送り届けるのは俺の義務なんだ、イケメンとかクールさとか関係無しにね……。


「フドウ……」

「ん、なんだ。不適に笑って……腹が痛いのか?」

「いや、痛くないさ」

「そうか」


怪しげに、じとぉっと見てくる。

そんなに怪しい目線を向けなくても良いさ、変な事は言わないよ。


「聞いて欲しい事があるんだ」

「おぉ、そうか」

「その前に。いきなりこんな事を言っても信じられないと思うんだけど……それでも聞くかい?」

「うむ、信じるぞ」


えらく簡単に言うね、だが……本当に信じられるかな?


「分かった。じゃ……言うよ」

「うむ」

「実は……俺は、アヤネが何処にいるのか知っているんだ」


それを話し終わった瞬間、勢い良く肩を掴まれた。

凄く険しい顔をしている、それと息づかいも荒い。


やっと手懸かりを見付けたんだ、必死なんだろう。


「それは、本当か」

「あぁ、嘘じゃない」


真剣さが伝わってくる。

嘘だったら只じゃおかないぞ、と言う気迫も伝わってくる。

改める様だが、嘘じゃない……だから安心してほしい。


「そうか、では……そこは何処だ?」

「ここよりも遠い所さ。良ければ案内しようか?」

「おぉ、それは助かる!」


そうした方が迷わずに着ける。

そうじゃないと会えるのは大分先、最悪一生会えない事になってしまう。

そうなるのはクールじゃない、ここは俺が案内させて貰うよ。


「では、早速向かいたい」

「了解だ、じゃ……少しだけ待ってくれるかい?」


そう言うとフドウは頷いた。

ここから歩いてたら着くのは大分先、大幅ショートカットするのがクールなやり方さ。


「変っ身っ!」


ビシッ! とポーズを取って、いざドラゴンに姿を変える。

眩い光が身体を包む、そうして俺は……ドラゴンになった。


「おぉぉぉぉぉぉっ!!」


フドウが興奮気味に声をあげる。

さっき、俺のドラゴン形態を見た時もそうだったが……もしかして、ドラゴンとか人間界にとっては架空の生物に興味がある人なのかい?


……まぁ、それは置いておいてだ、早速行こう。

善は急げって奴だ。


「さぁ、所々トゲトゲしてるが背中に乗ってくれ」

「うっうむぅ、それは良いが……飛ぶのか?」

「勿論さっ」

「おぉぉ……」


むふぅ……。

興奮が入り交じった鼻息だ、そんな鼻息を出した後、フドウは俺の身体によじ登り、背中へと辿り着いた。


「乗ったぞ」

「そのようだね、じゃぁ行こうか。クールかつ、格好良く送り届けてあげるよっ、このイケメンがなっ!」


華麗なキメ台詞をクールに言った後、俺は翼を羽ばたかせる。

ビュォォッ……ビュォォッ……。


辺りに強風が吹き荒れる。

木々を揺らし、空気さえも揺らして……俺は雄大な空へと飛んで行く。

背中に乗ってるフドウは、俺の背中のトゲを付かんで「飛んだぁぁっ」と叫んでる。


はっはっはっ。

子供の様にはしゃいでるねぇ、実に良いじゃないか。

そうやって愉快に空の旅を楽しんでおくれ、必ずアヤネの元へ送ってあげるよ。



そう思い、俺は魔王城へと向かった訳だ。

これがフドウと会って、ここに来るまでの流れさ……。

フドウさんはこのようにして、魔王城へと辿り着いたのです。

なんか、話がぽぽんと進み過ぎな気がするけど……いいよね!


今回も読んで頂きありがとうございました。

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