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ラキュ君が帰りました。
あたいは、家に入ってソファーに座りました、いつの間にかアヤネちゃんもソファーに座ってます。
「アヤネちゃん」
「出口、教えて」
あぅ、それしか言いませんねぇ。
本当に帰りたがってます、でも…それだとダメです、なんとか引き留めましょう。
でもどうやろう? はっ初めから「帰っちゃダメ」と言うのはダメな気がする。
よっよし、遠回しに引き留めましょう。
「あっあの…そっその前に、何か食べない…ですか?」
「…食べない」
そっ即答ですか。
まぁ、食べ物で釣るなんて浅はかな事なんて…成功する筈無いですね。
ぐぎゅぅぅぅっ…。
ん、いっ今の何の音? 凄い大きな音だったけど…あっあれ? アヤネちゃん、顔真っ赤になってる。
「やっぱり…食べる」
「そっそうです…か。じゃっ、じゃぁ準備します…ね」
あっあははは、食べ物で釣れちゃったね。
にぃっと笑った後、あたいは立ち上がります、その時…ある事を思い付きました。
「よっ良かったら…アヤネちゃんも…お料理します…か?」
「…え」
キョトンとするアヤネちゃん、いきなり言われたら驚くよね、ごっごめんなさい。
でっでも、今は色々思い悩むより、別の何かをした方が良いんです。
そしたら、気持ちは少しでもスッキリする筈…です。
「…えっ、えぇ」
あたいはそう思ってるんだけど、アヤネちゃんはなんて言うかな? 断るの…かな? そっそれでも良いんですけど…どっどう言うんでしょう? ソワソワしながらアヤネちゃんの答えを待つ。
そしたら、アヤネちゃんは…。
「ただ、待ってるの悪いから…手伝う」
こう言ってくれました。
ほっと一息つくあたい、良かった…手伝ってくれますか。
「じゃぁ、アヤネちゃん…やっやりましょう」
すっ、と手を差し出すと…アヤネちゃんはビクッと身体を跳ねさせあたいの手を掴みます。
その後、よっと立ち上がらせました。
「うっうん」
身体をモジモジさせるアヤネちゃんは、続けて「えと、なっなに…作るの?」と聞いてきます。
あぁ、そう言えば考えてなかった…なに作りましょうかねぇ。
「あ、でも。さっきお昼…食べた、よね…もうお腹減ったん…ですか?」
「うん、私は燃費が早いの」
そっそうですか。
あたい、その事に気付いてどうしよう…て思ってるよ。
あたい、お腹空いてないんですよね…でもあぁ言った手前、作るのを止めるなんて言えませんよね。
腕を組んでじっくり悩むあたい、でもその悩みは直ぐに解決されました。
「サンドイッチ、作り…ましょうか」
「ん、いいよ」
こくり、と頷くアヤネちゃん。
どうやらサンドイッチで良いみたい、これなら軽く摘まめるから良いよね。
「じゃぁ、準備します…。アヤネちゃんは、手を…洗ってきて…下さい」
「ん」
また、こくりと頷いたアヤネちゃん。
とてとてとてっと洗い場の方へ小走りしていきました。
うん、見た感じ…ほんの少しだけど表情が明るくなった…かも。
さっきは暗い顔してたもの、完全には無理かもだけど…こんな感じに、ゆっくりとアヤネちゃんをリラックスさせてから…真剣なお話をしよう。
そう思ったあたいは、心の中で気合いを入れました。
今からアヤネちゃんリラックス作戦が始まったのです、だからラキュ君…そっちも頑張ってね、あたい…その為にラキュ君に「自分の気持ちと向き合って」って言ったんだからね。
きちんと、答えを出してね…ラキュ君。
かなり強引な展開になってしまった。
うぐぅ、すまないです。
今回も読んで頂きありがとうございました。




