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「なるほど……そんな事があったんだね」
偶然アヤネと会って、今に至ってるんだね。
話を聞いてて思ったんだけど、街を出る為に歩いてたら迷ったって……方向音痴過ぎないかな? あぁそう言えば、アヤネは方向音痴だったね。
「そっそうなの、そっそれでね……。あたい、考えたの、こっこのまま出口教えて良いのかなって」
モジモジしながら言ってくるクーに「なるほど」と返して腕を組む。
そっか、アヤネ……クーに事情を話して無いんだ。
「クーちゃん、速く教えて。私は早く帰りたい気分なの」
ぷくぅっと頬を膨らませるアヤネを見て、困り果てるアヤネ、ちょっぴり我が儘になってるね。
「アヤネ……」
「ふんっ」
あらら、話し掛けたら横向いちゃった。
困ったのでクーの方を向いて苦笑いすると、クーも困ったのか慌ただしく身体を振らしてる。
「落ち着きなよ、クーが慌てる必要なんて無いよ」
「でっでも、その……あぅ」
まぁ、落ち着けと言って落ち着くような魔物じゃないからね。
仕方無い……ここは1つ、僕が説明しよう。
「クー、ちょっとこっち来て」
「えっ、えぇぇっ!?」
僕はクーの手を掴み、さっきよりも更に慌てるクーをスルーして、家の外へと連れていく。
本人の目の前で、失恋話を話すのはダメだからね……場所を変えた。
「何があったか説明するよ」
外に出た後、クーの手を離してクーを見つめる。
すると、小声で「あぅ……」と呟いた。
えらく緊張してるなぁ、と思いながら、さっき隠れて聞いたシルク君の話をクーに話した。
「……」
少し時間が経った頃、知る限りの事を話終えた、それを聞いたクーは黙ってしまった。
「正直驚いてるよ、まさか告白しただなんてね」
今でもその事に驚いてる、アヤネは告白に失敗して、それがショックで家に帰ろうとしてる、アヤネの行動はまさにそれだろうね。
……なんだろう、胸がモヤモヤするな、さっきアヤネを見た時もそうだった。
なんか胸の中が良くわからない感情で満たされたんだよ、嬉しいような悲しいような……それが混ざりあった良くわからない感情だ。
「アヤネちゃん……失恋、しちゃったん…だね」
「そう、みたいだね」
相当辛いよね、自分の好きな人に振られるんだもん。
それはもう、身を裂くような苦しみ……だと思う。
経験もしてないのに、こんな事思うけど……それだけはハッキリと分かる。
「えっえと、どっどうする、の? おっお城に…連れて、帰るの?」
「ん? いや、連れては帰らないよ」
城にはシルク君がいる、アヤネは今彼には会いたく無いだろうしね、自分を振った相手だもん。
てっ、なに思ってるんだ僕は…今思った事はシルク君を責めるような考えじゃないか。
シルク君を責めるのは違う、シルク君はハッキリと自分の答えを言っただけ、責めるのは間違ってる。
そんな可笑しな考えをした焦りからか無意識に、カリカリと頭をかいた、その時。
「こっこれから、どっどうする、つっつもりか……考えて……る?」
クーがこんな事を言ってきた、どうするつもり……か。
考えてないね、そもそもどうしたら良いかなんて検討もつかないよ。
「ごめん。考えてないんだ」
「…」
ん? なんだろう、今睨まれてる気がする。
きっ気のせいかな? 被り物被ってるから良くわからないや。
「じゃぁ、アヤネちゃんの事は、あっあたいに任せて」
「え? まっ任せるって、なっ何するつもり?」
「………」
こっ答えてくれないんだ、気になるなぁ。
でも、クー……何時もと違った雰囲気を出してる、なんでか知らないけど……頼もしく思えた。
「あっあたいに、任せて…。間違っても、このまま帰らしたり…させない。させちゃいけないから……」
何処か遠くを見るようにクーは話した。
…へっ変だなぁ、クーがハッキリと自分の意見を言ってる。
あ、いや……全然変じゃないんだけど、その…何時もならこんな事無いからさ…そう思っちゃったんだよ。
「ラキュ」
「ん?」
「あたい、頑張るよ。だからラキュ君…そっちも頑張って、自分の……きっ気持ちと、むっ向き合って」
「え、あぁ……うん」
多分"そっち"の意味はシルク君の事だよね。
そうだね、自分の気持ちに向き合うように言うよ……シルク君は自分の気持ちを伝えたんだから…何も悪い事はしていない。
「じゃぁ、あたい、アヤネちゃんを…なっなんとかするね」
ふんすっ、と勢い良く鼻息を吹き出した後、クーは家へと入っていった。
ぽつんっと残された僕は…城に帰る事にした。
よし、帰ったらこの事を姉上達に言おう、黙って頷きながらそう思った。
いつもの数10倍は気合いの入ってるクー。
そんな彼女にアヤネを任せて、僕は城へと戻っていった。
どんどん話がややこしくなっていく。
なので、ぐだってないかが心配です、だけだ問題ないよね! と信じて投稿しました。
ナントカナーレ!
今回も読んで頂きありがとうございました。




