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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
走る魔王、悩む男の娘と幼馴染み、波乱が近くにやってくる
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虚ろな表情で、とことこ歩るくシルク、それをわらわはしつこく追い掛ける


「なぁ、シルクぅ。何があったのじゃ?」

「……」

「おぉい、なんか言わぬか」

「……」

「かっ構ってくれるまで話続けるぞ!」


くぅ……。

右に回り込んで話し掛け、左に回り込んで話し掛け、を繰り返しておるのじゃが……喋らん、全く喋らん!


と言うか、眉一つ動かさん。

どうしたんじゃシルクは! いつもと様子が違うぞ!

さっきシルクに抱き付いた時もそうじゃ。

いつもなら可愛い悲鳴を上げる所が……無反応じゃった。


逆にわらわは驚きで悲鳴をあげそうになったよ。

こんなのシルクじゃない、いつものシルクに戻ってくやれ。


「シルク?」

「……」

「何も言わぬのなら……きっキスするぞ!」


むちゅぅっと口を尖らせて言ってやった。

そしたらシルクは立ち止まった、おぉ……やっと話す気になったか。


「…………」


なっなんじゃ、その無感情な顔付きは。

じとぉ……とわらわを見詰めておる、まるで「暫く放っておいてくれ」と言わんばかりの反応ではないか!


うっうぅ。

そんな顔されると、話し掛け辛いではないか。

じゃっじゃが! 心配じゃから話し掛けるぞ! ここは引き下がらぬっ。


「えと、あっあれじゃ……。なっ何かあったのなら話してくれんか? 心配なんじゃよ、わらわは」


ぐっと、目に力を入れて訴える。

頼む、何か……何でも良いから喋ってくやれ。


「……関係ないだろ」

「え」


シルクは低い声でピシャリと言いはなった。

なっなんじゃ、その冷たい言葉は……なんか喋ったと思ったらそう言う事言うのかえ?


「なっなんじゃよ、それ……そんな言い方は」


ないじゃろ……と言おうとしたら、シルクが急に目を伏せた。


「……ごめん」

「ふぇ!?」


そんでもって頭を下げた。

えっえぇ……あんな冷たい言葉言いおったのに、急に謝りおった。

ちょっ調子狂うのぅ、頭に来たのに怒りが何処かにいってしまった。


「ちょっと調子が悪いんだ……。独りにしてくれ」

「おっおぅ」


トボトボ歩いてくシルク、わらわはその何処か寂しげな背中を立ち止まって、じぃ……と見詰める。


「……ふむ、これは何か起きたな」


わらわのいない間に何か。

え? それ、超気になるんじゃが……うぅぅっ、問い質したい! じゃがしかしっ、今の状態のシルクに聞いても教えてはくれんじゃろう。


「くっ……。あの時家の中で走ったのが悔やまれるのぅ」


あの時クータンの家で走らなければ、シルクと共に行動出来たものを。

後悔じゃ、激しく後悔しておる!


「はぁ……。アヤネめ、シルクに何をした?」


それが超気になる。

取り合えず腕を組んで考えてみる……いや、ここで考えても無駄に時間を使うだけじゃな。


「……さて、どうすべきかのぅ」


シルクを見つけたのは良いが、妙な事になってたのぅ。

ほんっと、どうしよう……やる事が一気になくなったのぅ、即ち暇になった。


「こんな事じゃ無かったのになぁ」


はぁ……もやもやする。

取り合えずあれじゃな、まずする事は、ラキュ達に見付かった事を報告せねばな。


よし、行くかの。

パンっと手を叩き回れ右をし歩む。


むにょんっーー


そしたら、柔らかい何かにぶつかった。


「むがっ……なっなんじゃ?」


数歩下がるわらわは手をバタバタさせる。

くっ……こんな所に物なんて置いておったかの?……って。


「ヴァーム!」

「はい私です、先程復活しました。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」


そう、そこにはヴァームがいた。

つまりわらわは、ヴァームの胸にぶつかったんじゃな。


「いっいや、構わん。それより……いつから立っていた?」

「シルク様が、立ち去っていった頃静かに立ちました」

「そっそうか」


回復した後と言うのに、中々にお茶目な事をするんじゃな、この様子だと身体の方は大丈夫な様じゃな。


「それよりもです」

「ん?」

「シルク様、様子が可笑しかったですね」


あ、それはわらわも思った。


「うむ、そうなんじゃよ。なぁんか変なんじゃよなぁ」

「はい、変でしたね」


お互い、変だ変だと呟きながら、わらわとヴァームは腕を組んで考える。


「取り合えずわらわは外に出る。やる事があるのでな」

「そうですか、でしたら私はシルク様を陰ながら見ています」

「うむ、頼んだぞ」


おもいっきりストーカー紛いな行動じゃが、スルーしておく。

わらわは、言った通り外に向かって小走りする。


先ずはあれじゃ。

ラキュ達に報告じゃな、話はそれからじゃ。

遅れました、もうしわけないです。


今回も読んで頂きありがとうございました。

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