349
タッタッタッタッーー
風を切って走る、時おりジャンプして屋根に乗り上から辺りを見渡す。
んー……いないねぇ、まったく……二人共どこにいるんだろう?
いないのを確認した僕は下に降りる。
「……いない、居ないのじゃぁ。何処にいるのじゃぁ?」
僕の背に乗り、辺りを見回す姉上も焦ってる。
……さて、そろそろ背負うのも少し疲れたから降りて貰おうかな。
「姉上、もう自分で探した方が早いじゃない? 単純に探す数が増えるから効率良いと思うよ?」
「もっともな意見じゃが、それは出来ん」
もっもとな意見って思ってるならそうすれば良いのに……。
で、出来ない理由って言うのはあれでしょ? 脚が痺れてるから歩けないぃ、とかでしょ?
さっき言ってたもんね……まだ、痺れが取れないんだね。
どんだけ正座させられてたのさ……というか、クーも容赦ないなぁ。
魔王を正座させるなんてさ、そう言う所は度胸あるんだね。
「なぜなら、脚が痺れておるからじゃ。今歩くと倒れる自信があるぞ!」
ほら、やっぱり。
はぁ……歩いた瞬間倒れる自信なんて持たないでよね。
まったく、かんっぜんに自業自得だね。
「あ、そう」
もう「勝手にすれば?」て言って放置してやりたい気もするけど……それは出来ないね、姉上に協力するって決めたから。
クーに色々言われたけど、やっぱり考えは変える気は……ない。
「むっ、なぁんか嫌そうじゃのぅ」
「事実嫌だから仕方ないでしょ?」
「ぐっ……ハッキリ言うのぅ」
「姉上は回りくどすぎるんだよ、さっさと告白すれば良いのに……」
「んなっ! ばっばきゃもにょっ。そっそれはまだ出来んと言うておるじゃろうが!」
あぁあぁ、分かりやすく慌てちゃって……。
ぶんぶん腕を振りまくって、思いっきり動揺しちゃってる、ほんっと分かりやすい、なのにシルク君は姉上の気持ちに気づいてない、ほんっと鈍感だね。
「そっそれは良いから、さっさと見付けんか!」
「そう言うなら、姉上も探しなよ。ただでさえ効率悪い事やってるんだからさ」
「うっさい、効率厨!」
……。
聞いた? 背負わせといてこんな事言うんだよ? ほんっと勝手だよね、すっごくムカつくよね? という訳で……。
「姉上」
「なんじゃ……っ、うべしっ!」
落とした。
そしたら、べちゃっ! ってお尻から落ちて、後ろに倒れて、ゴンッ! と頭を打った。
うわっ、いたそー。
「ぎゃべっ!」っていたそうなこえあげたよー、酷い事しちゃったなー、反省しよー。
「ぅぅぅぅ、こっこのバカ弟! なにを……って、なんじゃその冷たい目は。そっそんな目でわらわを見るな……」
「だったらもう、ワガママ言うの止めてくれない?」
「…………はい」
あら、やけに素直に返事したね。
反論の1つでもするかと思ったのに、まぁ……本気で睨んだからね、流石に怒ってるって分かったんだろう。
「分かったなら良いよ、ほら立ちなよ」
にこっ、笑って手を差し出す。
そしたら姉上は戸惑いつつも僕の手を握ってきた、そしてそのまま引き起こす。
「うっ、ああぁぁぁっ……」
そしたら姉上の脚が、ガクガクブルブル震えた。
本当に痺れてるんだ……そりゃ背負って貰いたくなるよね。
「大丈夫? 肩なら貸すよ?」
「うっうむ……悪いのぅ」
という訳で肩を貸してあげる。
……実の姉だけど、こんなに近くに寄られると、ちょっとドキッとする。
……変な気持ちだね。
「普段意地悪する癖に、たまぁに優しくなるんじゃよな……こやつ」
ん? 今なにか言ったね、気になるから聞いてみようか。
「なにか言った?」
「いや、何も言っておらんのじゃ」
「そう……」
なら気のせいかな、確かに聞こえたと思ったのになぁ。
「そっそれより、シルクを探すのじゃ」
「そうだね」
まぁ、話したか話してないかはおいといて……さっさと見付けようか。
これは間なんだけど……なにか変な予感がするんだよね、とてもいやぁな予感がね。
当たってなきゃ良いんだけど……。
すっごく心配だ、だから早く見つけよう!
シルクとアヤネを探してる最中です。
あ、今日のお昼はチャーハンです、美味しいです。
今回も読んで頂きありがとうございました。




