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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
チョコより甘い告白を……
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どっ……どっ……どっ……。

やたらと心臓が早く動くのが分かる。

俺に覆い被さるアヤネの心臓の鼓動も早いのが分かる。


そんな気がした。

だれもいない城、その空き部屋の中。

俺とアヤネは……今まさに、誰も侵入する事が許されない雰囲気になっていた。


やたらと周りの空気の温度が熱い、いま、アヤネがぎゅっと俺の手を握ってきた、無意識に俺も、握り返した。


それに驚いたのか、「ぁ」と可愛らしい小さな声をあげる。


"チョコよりあまい事"さっきアヤネはそう言った。

彼女は顔を真っ赤に染めて……今、まさに、この瞬間……その言葉を言った。


「だいすき、あいしてる。すきっ、すきなの……付き合いたい……私は、シルクの事……そう……思ってる」


その瞬間、時が一瞬止まった気がした、同時に全身に稲妻の様な衝撃が走る。


ビリビリ、バリバリ、ジンジン。

その衝撃に、驚き……ただただ震えた。


自分の気持ちを包み隠さず全てさらけ出したアヤネの言葉。

……うそ、まさか、そんな。


そんな事が頭の中に過った。

アヤネが、頬をすりよせてきた、まるで甘える猫の様な頬ずり。


その行為に、また心が揺れ動く。

そして、ようやく気付いた。


アヤネが言った言葉の意味を……ようやく俺は理解した。

いっ今のは……紛れもなく、100%……こっ告白だ。


その事実に、かぁっと身体が熱くなる。

え、あっアヤネが……おっ俺の事を……好き?


失礼な話し、まったくそう言う風な事は予想していなかった。

アヤネは俺の事を友達の関係だと思ってると自分勝手に考えていた。

だが違った、実際はどうだ……今こうやって、俺に告白してきたじゃないか!


ばっ、とアヤネを見てみる。

……じぃっとこっちを見ている、その表情はとても澄んでいた。

まるで、言いたい事を全て言えた様な顔……。


いや、まるでもなにも、実際そうだろう。

まっまさか……アヤネが俺に告白してくるなんて……予想外だ。


どうする? どうすれば良い?

焦りからか、じわっ……と汗が出てきた。

その間にもアヤネは、じっと俺を見つめたまま黙って待っている。


その瞬間、こんな事を思ってしまった。

いっ言わないと、早く……直ぐに言わないと。

でっでも、良く考えて言うんだ。


アヤネがしてきたのは告白、だったら……良く考えて言わないとダメだ。

だから考えろ、なるべく早く考えて……答えを出せ!


だがしかし、突然の事で頭が働かない、ぐるぐるぐる渦巻きが頭の中で回ってる。


ふっ不甲斐ない、不甲斐なさ過ぎる……そんな自分が腹立たしい。

ギリッ……と歯を食い縛ると、アヤネが心配そうに俺を見てきた。


大丈夫、大丈夫だ……心配するな。

直ぐに答える、だから待ってくれ。


目でそれを伝え、焦りまくる俺を戒める為に、とんっ……と胸を数回少しだけ強く叩いた。

取り合えず……目を瞑ろう、深呼吸しよう。

リラックスしろ、全身の力を抜け、そして考えろ。


アヤネの事を、アヤネと過ごした全ての事を。

楽しかったか? あぁ……楽しかった。

面白かったか? 勿論面白かった。

普段のアヤネを見てどう思った? 家出してはいるが、行動力があって良いと思った。

綺麗か? もっもちろん……綺麗だ、本人にはそんな風な事は言ってないが……そう思ってる。

では……俺はアヤネが好きか?


……何度も繰り返す自問自答の最終質問、俺は深く呼吸しながら集中し想いをはせた。


好きか? 好きか? 好きなのか?

じっくり、長い時間、普通なら早く答えろ……そう言われる位まで考えた。


その間、アヤネと過ごした時の事を思った。

沢山話した、沢山遊んだ、俺の家に来たりした……。


時間、ふたりでいた時間、その時俺は……アヤネに好意を寄せていたか?


その問い掛けをした瞬間、バツンッ……と、切り替わる様に、頭の中で"とある女性"の姿が写された。

その刹那、目を開けた……止まっていた時が……動いた。


アヤネはそんな俺を驚いた様に、見たあと……ごくっと唾を飲み込み……じっと見つめて来た。


……さっきまでとても熱くなってた身体が、冷めた。

今はとっても暖かい位だ、答えが出たからか?


とにかく頭がぽぉ……とする。

とても気分が良い、今なら……答えを出せそうな気がする。


「俺は……」


俺の言葉を聞いた瞬間、アヤネは震えた。

そして、きゅっと目を瞑った。


「俺の答えは……」


目が……俺の目は何処に向いているのか分からない。

ただ虚ろ、自分でも分からない……そもそも、今俺は……喋ってるのかも分からない、そんな感覚だ。


「…………だ」


そんな感覚のまま、俺は答えを出した。

その回答にアヤネは目を見開き……そして「え……」と声をもらした。


その刹那、俺は正気に戻る……同時に、さっきまでの雰囲気が欠き消され静かになる。

静寂の空間の中、俺とアヤネは……暫く何も喋らなかった。

シルクがどう答えたのかは……暫くお預けです。

ごめんなさい。


そんなこんなで、この章は終わりです。

次は新たな章の始まりです! お楽しみ下さい。


今回も読んで頂きありがとうございました。

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