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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
チョコより甘い告白を……
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ぽけぇ……としつつ、アヤネと話したりして暫く時間が経った。

流石に何もしないで、じっとしてるのが耐えられなかったのか……アヤネがやたらと話し掛けて来た。


それに俺は付き合っている。


「ひまぁ……」

「ちょっ、つつくな!」


気だるげに話して、俺の横腹をつんつんしてくる。

くっくすぐったい……暇だからって、変なちょっかいをかけるんじゃない!


「暇なら、また城下町地下へ行くか?」


言っても聞かないだろう、そう思ってこんな提案して見た。

だがしかし、首を横に振った。


「それはめんどくさい」


城下街地下からここに戻ってくるのは面倒くさくなかったのか?

と、突っ込んでやりたいが……言わないでおこう、言ったら「それはそれ、これはこれ」って言いそうだからな。


「じゃぁ……なにかするか?」

「なにするの?」


あぁ……。

そう言われると困るなぁ、言い出しっぺだが、なんにも思い付いてないんだよなぁ。


コリコリ頭を掻いて考える、なにをしようか……。

頭の中で色んな案を浮かべてみる。

あれでもない、これでもない、それでもない……。


そんな感じに考えて答えが出た。

その間約15秒、その間にアヤネはそわそわしてた。

小声で「なにするのかな?」って言ってた。

ハードルが上がるから止めてくれ。


「取り合えず……しりとりするか?」


あまりにも暇な時にする事上位に上がりそうな事を言った。

言ってみてあれだが……この案はないわぁ、幼馴染み同士でしりとりとか……なに考えてんだよ、他にあっただろ他に。


「する、したい、やりたい、やろ!」


ところが、まさかの食い付き!

両手をぎゅっと握ってやる気を見せる、心なしか目の奥が闘志の炎で燃えている。


かなりの予想外だ、まさかこんなに乗り気とは。

いやまて、これって俺を気づかって演技を……って、それはなさそうだな。

だって「はやくはやく」って催促してくるんだ。


そうか、そんなにやりたいか、じゃぁ……やるか。


「えと、じゃぁ……しりとりの"り"から始めるか」

「いや、"し"からが良い」

「ん? 別にいいぞ」

「ありがと」


ふむ、別に何処から初めてもいい気がするが……そこから始めたいならそこから始めるさ。


「ね、私からで良い?」

「いいぞ」


さて、しりとりが始まる。

思えばアヤネと、しりとりをしたのは初めてかも知れない。

だから強いのか弱いのか分からない……さぁどうくる?


って、なにを俺は考察してるんだ。

暇潰しなんだから軽くでいいだろ……。


「じゃ言うよ?」

「あぁ」

「シルク」

「……ん?」

「次はく」

「………………は?」


え? は? へ? ちょっ……え?

思わず「は?」と言ってしまったが……こんなの言わずにはいられない。


「えと、アヤネ? 今のって俺の名前……」

「人名はダメって言ってない」

「あ、そっそうだな……」


うっうん、確かにそうだ。

あぁビックリした、少し意表を突かれたな、まさか俺の名前を言うとは。


少しドキッとしたのを抑え息を整える。

えぇと……次は"く"だったな。


胡桃(くるみ)


シンプルなのを言ってみた、さぁ次はどうくる?


「みか……(みつ)


いま、みかんって言い掛けたな、完全には言ってないから見逃してやろう。

で……次は"つ"か。


「土」


短い言葉を言ってみた、特に意味はない。


「ち……ち……」


むむむぅ、と頭を抱える。

そこまで考える事はないと思うけどなぁ。

ちの付く言葉って沢山あるぞ? 例えば"地底"とか"地上"とか……。


考えるアヤネをじぃっと見る、答えが出るのを待つ。

そう言えば時間制限とか決めてなかったな……まぁそこら辺は適当な感じにしよう。


どうせ暇潰しだからな。


「あっ!」


……ん? どうやら思い付いたみたいだな。

さぁどうくる?


「チーズ」


あ、そう言えばそれがあったな、俺の大好物なのに忘れていた。

まぁそんな事はおいといてだ、次は"ず"だな。

うぅむ、地味に難しいのが来たな。


「……食べてごめんなさい」


なぁんて考えてたら、こんな事を言ってきた。

その瞬間、俺は「え?」と呟いた。


いや、だって……いきなり謝ったんだ。

ビックリもするだろう。


「えと、アヤネ?」

「次は"い"だよ」

「えぇ!?」


いっいやいや、文字て! そんなのありか?

これは抗議だ! 断固抗議だ!


「アヤネ、文字は……」

「文字がダメって言ってない」

「ぐっ……たっ確かにそうだが……」


ふっふに落ちない。

だがしかし、正論だから仕方な……くらないな、いくらないんでもアウトだアウト!


「文字はダメだ!」

「……どうしても?」

「そっそんな顔しても……」

「……ダメなの?」


くっ、なんて目をするんだ。

子犬が餌をねだる様な目をしやがってぇぇ……。


「わっ分かったよ、だが今回限りだからな?」


そんな言葉を聞いた時だ、一瞬にして顔が明るくなった、変わり身早いなぁ。


「ほんと? ありがと、あと……ほんとにごめんね」


はぁ……俺って甘いなぁ。

あと、謝るんなら言わないでくれよ。

なんて思いつつ、俺は言葉を考える。


と、そんな感じで俺とアヤネのしりとりはアヤネが飽きるまで続いた。

はい、チーズ食べてごめんなさい、を言わせたかったが為にかなり強引な感じになってしまった。


でもこれで、勝手にチーズを食べた件を謝る事が出来たのだ。

なので問題ないよね?


今回も読んで頂きありがとうございました。

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