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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
トリックオアトリート 皆は魔物に仮装する
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「クジ引きって……あのクジ引きか?」

「うむ、あのクジ引きじゃ」


箱をシャカシャカ振ってにまにま笑う。

中に何か入ってるのか、コツコツ音が鳴ってる。


「いやぁ、何事もワンパターンじゃつまらぬじゃろ? じゃから今回は、着る服をくじで決めて貰うのじゃ!」


なるほど、さっきは理解できなかったが、その説明を聞いて理解した。

つまり、その箱の中に紙か何かが入ってて、それに書かれてる服を着るって事か。

うん、言われてみれば確かにいつもと違うな。


しかしだ、むんっ! と胸を張って格好つけてる所悪いけどな……。

どのみちコスプレさせるんだから結局は同じだろう! と突っ込んでいいか?


「くじ引き……面白いかも」

「ほっ本気か? 何が出るか分からないんだぞ?」

「それがクジほ醍醐味」


むふんっ、と鼻息を鳴らし楽しげに笑うアヤネ。

俺の心配の声も聞かない。

すっごい乗り気……だな、不安とかないのか? 何かあるとか思わないのか? 俺は不安でなら無い、だから引く気にならない。

なのにアヤネは、ツカツカと箱を持ってるロアに向かって歩いていく。


「引いて良い?」

「むぅ、最初はシルクに引いて欲しかったのじゃが……まぁ良いじゃろう」


表情を曇らせはしたが、ロアは「ほれっ」と言ってくじ引きの箱を差し出す。


「当たり引くよ」

「あるのか? 当たり」


まぁ、あるんなら是非とも引いてほしい。

だって、このくじ引きロアが持ってきたんだろ? 確実に当たりはロクでもない物に決まってる。

その当たりとなると、想像したくないな……。


さて、アヤネがゴソゴソと箱の中を漁る。

むぅぅっと強く念じながら漁る。


「アヤネちゃん、がぁんばってぇ」

「ん、ママ……頑張るよ」

「どうでもよいが、早く引いてくれんかの?」


ゆるふな応援がとんで、アヤネは気合いを入れた。

そしてっ、シュバッ! と勢い良く箱から手を出す。


「ふぅ、やっと引きおったか……で? なんと書いてあるんじゃ? そこに書いてある服に着替えて貰うからの」

「うん、待って……」


カサカサッ……と紙を広げてまじまじと見つめる。

緊張の一瞬だ、さぁ……なんて書いてあるんだ?

あわよくば、恥ずかしい衣装が当たってくれ。


あ、勘違いするなよ? 別にやらしい気持ちなんて無いそ? ただ嫌なのが当たってくれたら嬉しいなぁって思っただけだ。

って、俺はなんで言い訳してるんだろう……。


「えとね……」


皆がアヤネに注目する。

目をパチクリさせながらアヤネは俺達に紙を見せながら言った。


「ストレイキャット……だって」


ん? ストレイ……なんだって?


「ちっ……貴様が当ておったか。まぁ当たりじゃないから良いか」


なんか良く分からないが、外れを引いたのか? ロアが舌打ちしたし……そうなんだよな?


「ほれっ、受け取れ」


ぽんっ……と何もない空間から紙袋を出現させるロア、それをアヤネに手渡した。


「それに着替えて外で待っておれ」

「うん」

「先に言っておくが……ここで着替えるでないぞ?」

「ダメなの?」

「ダメじゃ!」

「そう……」


アヤネは紙袋を持って部屋を出ていく。

しかし、ストレイキャットか、どんなのかラキュに聞いてみようか。


「なぁ、ラキュ」

「シルク君、君が聞きたい事は分かってるよ。ストレイキャットについてでしょ?」

「あぁ、そうだ」


流石はラキュ、分かってくれてたか。

って、んん? 顔色悪くなってないか?


「ストレイキャットはね……猫の魔物だよ。詳しく言うと猫と人間が合わさった様な魔物だね、あと普通の猫と違って尻尾が2本、毛の色は黒しかいない。そんな魔物さ」

「あぁ……なるほど」


猫の魔物か。

その感情を失った表情……苦手な魔物なんだな。

普通の猫も、猫の魔物も苦手……嫌いになったのは深い理由がありそうだ。


「その説明を聞く限りでは……俺とラキュ的には当たりじゃないか? サキュバスとオーガよりかは恥ずかしく無い衣装だと思うぞ」

「ははは……甘いよシルク君、ヴァームが恥ずかしく無い衣装を用意してないと思う?」


…………思わないな。

くそぅ、あのクジ全てが当たり無しって事が分かってしまった。


「ほれ、次は誰が引くんじゃ?」


……おっと、ロアが呼び掛けて来たな。

さて、どうする? 次は俺が引くか?


ラキュに目線を送ってみると苦笑いで返される。

ふむ、こっちもどうするか迷ってるみたいだな。


「ん、どうした? 早く引きにこんか」


はよはよって感じでロアが急かしてくる。

むむぅ……どうする? 先に引いておくか?

いやそうすると、ロアが言う当たりを引いてしまう可能性がある。


しかし……ここで引かないで後から引いても、その当たりが残ってて引いてしまうって事も考えられる。

さて、どうすべき……。


腕を組んで悩む、皆も悩んでるのか「うーん……」って声が聞こえてくる。


そしたらだ、誰も引きに来ないのがイライラしたのか……。


「うがぁぁっ、面倒じゃ! わらわが勝手に手渡しする!」

「え、それクジ作った意味無いんじゃ……」


俺の言葉を遮って、次々と半分に折った紙を「ほれっ」と言って手渡していく。


「さっさと中を確認して、さっさと着替えてくるのじゃ……あ、着替えが入っておる紙袋はここに置いておくぞ」

「いや、話を勝手に進めるな!」

「えぇと、わらわの衣装は……うむ、これじゃな。でわな」


ぱたぱた手を振ってロアは出ていってしまった。

あっ相変わらず話を聞かない奴だ……勝手に話を終わらせて出ていってしまった。


迷惑な置き土産を置いてな……。


「……相変わらずだねぇ、姉上は」


暫く沈黙が続いた後、ポツリとラキュが呟いた。


「どっどうするですか……これ」

「どうすも何も……ありません……その衣装を……着るんです」


困惑するメェに、ヴァームが細々と言ってきた。

衣装を着る……か、やはりそうなるよな。

と言うか、すっごい弱々しい呼吸だな。


そんな呼吸をしつつ、微笑みながら手を広げる。


「さぁ……着替えを、初めて……下さい」

お着替えタイムようやく入りますね。

書くのが楽しみですっ。


今回も読んで頂きありがとうございました。

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