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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
らしくない自分、過去の言葉……。
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「ふぇぇぇっ!? なっなななななっなにっ何をいっ言うんでっですかぁぁぁっ」


驚くクータンはのけどって大声で話した。

そんなに驚くことかな? まぁ……彼女にとっては驚く事なんだろうね。


「そのままの意味だよ」

「そっそそっ、そのまま……って、そんないっいきなり……いっ言われても……こっこっ困り……ますぅ」

「あぁ、いきなりだったのは謝るよ」


勢いで言ったからねぇ、すっごく困ったよね。

でも、素直に思ったんだ……僕はクータンに興味を持った。


「じゃぁ、友達になろうか」

「うぇ!? ごっごごご強引過ぎですよぉぉっ!」

「くふふふ……そんな慌てなくても良いじゃないか」

「え、えぇぇぇっ!?」


あ、やば……弄るの面白くなってきた。

少しいじってやりたい所だけど……我慢しよ、今は気持ちを伝えるのが先だ。


「まぁ……うん、取り合えず深呼吸しようか」

「え、あっ……はっはい!」


コクッ……と力強く頷いたクータンは、すぅぅぅっはぁぁぁぁっ……と呼吸する。

随分と呼吸が激しいし長い、このまま続けてたらダイエットになるくらいの息使いだ。


「……しっししっ、深呼吸……しっしました!」


深呼吸が終わったら、ぐぐぅっと近寄ってきた。


「あ、うん……ちょっと近いから離れよっか」

「えっ、あっ! すっすみませんっ!!」


なのでそう言うと、クータンはささぁっと素早く離れ、そして僕から視線を反らした。


「さて、落ち着いた様だから話すよ……と、言っても内容はさっき言ったんだけどね」

「うっ……あぅ。あの……あたいと、とっととっ友達に……なんて、だっダメですよ。あたいこんなだし……きっきっとイライラしっしちゃいま……ます」


あぁ……また下を向いた。

別にそんな事は気にしないのに。


「そんな事は無いよ。会った時間は少しだけだけど……君が良い娘と言うのは分かったし、面白そうな娘だからね……是非友達になって欲しいんだよ」

「そっそそっそんな! かっ過大評価でっですよぉぉ! あっアタイ……アタイは、だっダメナ娘……で……デスカ……ら」


おっと、片言になってきたね。

えずいたのか口元を押さえてる、そう言えば今はカボチャの被り物を被ってない。


「うぅっ、うぷっ……すっすみま……セン、ちょっちょっと、失礼……しっシマス」

「あ、うん……」


真っ青な顔をしたクータンは、ダダダァッ! と他の部屋へと駆けていく。


その部屋に入って数秒……クータンはカボチャの被り物を被って出てきた。


「おっお待たせ……しました、ラキュ様」


ペコリと一礼して言うクータン。


「そんなに待ってないから気にしなくて良いよ、あと……様は付けなくて良いよ」


そんなクータンにそう言うと、慌てた様に手をブンブン振りだした。

これはあれだね……そんな事言えない! って言うアピールだね。


「そっそれはっ、だっダメ……です」


ほら、やっぱりそうだった。


「魔王の娘の弟だとか、そう言うのは気にしなくて良いよ」


なので、思った事を言ってみる。

ぶっちゃけ畏まられるのって苦手なんだよね……もっとフランクに接して欲しいかな。


だって、堅苦しいじゃないか。

僕はそう言う空気苦手なんだ、それに……城下町の奴等を見てみなよ。

あいつ等、無礼を軽く通り越す位の事を僕にしてるんだよ?


それに耐えてる僕なんだ、だから言葉使いとか気にしない。


「だから気軽にラキュって呼んでよ」

「えっえぇぇぇぇっ!?」


いやいや、えぇぇぇぇっ!? って驚かなくても良いじゃないか。

本人が良いって言ってるんだから。


でもまぁ、急にこんな事言われても困るか……少し、いやかなり強引過ぎたね。

反省しよう。


「くふふふ。ごめん、急過ぎたね……呼び方は自由にしてくれて良いよ。あ……僕は君の事、クーって呼ぶから」

「ふぇ!? あっ、はい! どっどうぞ!」


えらく気合いの入りまくった返事。

カボチャの被り物を手で押さえてブンブン振るう。


あんま振ると首とか痛くなるよ?


「それと……友達の件、考えといてよ。じゃ……僕は帰るね」

「え、あっ……」


戸惑るクーに優しく微笑んで、僕は振り替えって玄関へと足を進める。

あ、そうだ……最後にこれも言っておこう。

くるりと身体を回れ右して優しくこう言った。


「また来ても良いかな?」

「あ、え? ……はっはい! かっ歓迎します!」


またペコリとふかぁく頭を下げるクー、その時被り物が落ちない様にちゃんと手で押さえていた。


さて……言いたい事も言ったし、帰ろうかな?

くふふふ、なんかあれだね。

好き勝手言いたい事言った感じがするよ……まっ、あまり気にしないようにしよう。

ここは姉上を見習って自分がやろうと思った事を純粋に成し遂げた……そう言う風に考えよう。


そんな都合の良い考えをしたあと、僕は再び玄関の方へと回れ右しようとした時……。


「あっあの!」


クーが大声で僕を引き留めた。

ん? と首を傾げると、とてとてとて……と近付いてくる。


「その……とっ友達になろって……いっ言ってくれて……そのっ、あっありがとうございます!! なっなるかはまっ前向きに……けっ検討しっしますぅ!!」

「くふふふ……偉く堅苦しく考えてるね。でもまぁ……良い答えを期待してるよ」

「はっはひ!!」


クーは真っ直ぐ僕を見てくる。

被り物で顔は見えないけど……きっとその中は笑顔なんだろなう、とまたまた勝手に想像してしまう。


さて、クーの話が終わったみたいだし今度こそ……。


「あっ、あと最後に……なっなんですけど……」


え? まだ話があるんだ……。


「そっその服可愛いです! とっとっても……にっ似合って……ます!」

「…………え?」


服? 可愛い? いやいや……僕が着てるのは黒のタキシードだよ? 可愛い要素なんて何処にもないよ?


こんなにふかふかで着心地良くて、フード付きの白熊のパジャマ姿なんて可愛い訳が……え? 白熊の……パジャマ?


「っ! しっしまった! 着替えるの忘れてここに着ちゃったぁぁぁぁっ!!」


え、え、えぇぇ! なんで? なんで僕がこんな愚かな失敗を?

はっ! まさか……街歩いてて何時も以上に注目浴びてたのはこの服装のせい?


…………かっ確実にそうだ! そうに違いない!


「らっラキュ様? とっ突然……かっ顔を真っ赤にして……どっどうしたん……ですか?」

「どっどうもこうもしないよ! 緊急事態が起きたんだよぉぉぉぉっ!」


焦りに焦りまくって叫ぶ僕をクーは、? を浮かべて見てた。

あぁ……くっそぅ、しくじったぁぁぁ、こんな姿で外に出たら、ヴァームが「コスプレに目覚めたんですね!」と、あらぬ誤解を生むじゃないか!


カリカリカリッ! と激しく頭を掻いた後、僕は一度気持ちを落ち着かせる為に深呼吸をする。


それも何回も……それをしたあと、僕はクーに。


「ごめん……暫くここにかくまってくれる?」


そう言った……。

そしたらクーは驚きながらも「へ!? あっはい! ごっごゆっくりっ!」と言ってくれた……。


あぁ……慌ててたにせよ、なんで着たくもない服を着たまま来ちゃったかなぁ。


そう考えながら猛省し、僕はその場にしゃがんで、がくっと下を向いた。

この後、クーに非常に心配されたのは言うまでもない。


そして、クーの家での一時が始まるのであった……。

今更ながら、ラキュは自分の着てる服装に気づいたみたいです。

出ていくとき、着替えずに出ていったからね……そりゃこうなるよね。


今回も読んで頂きありがとうございました。

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