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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
アヤネは自分なりに頑張る!
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コチッ……コチッ……コチッ……。

アンティークの時計が時を刻んでいる。

そんな中、僕たちはゆっくりとティータイムを満喫していた。


「くーちゃん、ほれ……おいひぃね」

「あっありがと……ござい……ます」


もごもごと口を動かすアヤネに縮こまって返事するクー。


その様子を静かに見ながらトマトジュースを飲む。

……なんか心地良いねこの時間、ずっとこうしていたいね。


「……あっあの!」

「ん、どうしたの?」


ゆったりしてるなぁ、と思ってたら、クーが話し掛けてきたね。

しかも、物凄い緊張してる……楽にすればいいのにね。


「えと、その……こんな事聞くの失礼かもですけど……この、あの……うぅぅ」


手をもじもじさせるクー。

聞きたい事があれば聞けば良いのにね、クーは昔こうだ、極度の恥ずかしがり屋で口下手だから会話が苦手……友達の僕ともこんな感じだ。


だからそんな時は助け船をだす。


「失礼とか気にしないで話したら良いよ」


笑顔を見せながら言うと、クーは僕の方を見る。

そして、直ぐに下を向いた。


そしたらまた僕の方を見て……。


「じゃっ、きっききっ聞きます!」


と、大声をあげた。

その声に驚いたのか、アヤネはびくっと身体が跳ねて胸を押さえる。

小声で「びっくりしたぁ」と言ってる。


ごめんね、クーってこう言う魔物だから許してね。


「えっえと、ラキュ君とアヤネさんは……その、どうしてこっ此処に……きっ来たんです……か?」

「あぁえと、それはアヤネから聞くと良いよ」


その方が分かりやすいと思うしね。

なので、アヤネの方を向いてアイサインを送る。


でも、アヤネは口いっぱいにシフォンケーキを頬張って「ん?」と言いたげに首をかしげてる。


……今までの話し、聞いてなかったんだね。

アヤネ、美味しいのは分かるけど、会話しようよ。


「アヤネ」

「んあ?」


何言ってるか分からないけど、多分「なに?」と言ったんだろう。


もごもご……ごくん。

口の中に入ってる物を飲み込んで次はハッキリと言った。


「なに?」

「えとね、クーが……」


ここに来た理由を聞きたいってさ、とアヤネに伝える。

そしたら「おぉ……」と言って、アヤネはクーの方を向いた。


「聞きたい?」


じぃっとクーを見つめるアヤネ、その仕草に困ったのか。


「えっ、あっ、うっ……はっはい」


言葉を詰まらせながら返事した。

肩の力入りすぎだね、もっと楽にしなよ。

アヤネは勿体ぶらずにすっと話そうね。


「じゃ、話すね……」

「はっはい」


アヤネは、クーを見てここに来た理由を話した。

クーは黙ってそれを聞いた。


「……と言う訳なの」


そして、話を聞き終わって「ほぉ……」とため息をつく。


「なっなるほど、シルクさんとの……でっデートの、たっ為ですか。がっ頑張って……ますね」


その通り、アヤネは頑張ってるよ。


「……えと、ラキュ君?」

「ん?」


じぃっと僕を見てくるクー。

なんだか、その視線が優しく感じた……なんでそう思うんだろうね。


「アヤネさんと会ったのは……そっその、偶然なんですか?」


とか思ってたら、どきっとする事を言ってきたね。

焦るなぁ……急にそんな事言わないでよ。


「うん、偶然だよ。さっきアヤネが話したでしょ? 僕がふらっと街を散歩してたらアヤネと会って、街を案内して欲しいって言われたから協力したんだよ」


嘘は言ってない。


「そっそうですか。ぐっ偶然……ですか」


小声でそう言った後、両手でティーカップを持ち、紅茶を飲む。

そして……。


「あっアヤネさん」

「なに、クーちゃん」

「そっその、あの……頑張って……下さいね」

「うん、そのつもり」


アヤネを励ました。

それが嬉しかったのか、微笑んだね。


「あと、ラキュ君」

「………」


クーがまた僕を見てきた。

こんどはじとぉっと睨まれてる気がする。

その時、「くすっ」とクーが笑った。


「ラキュ君も……頑張って下さいね」


クーが笑った、これは珍しい事だね、滅多な事じゃクーは笑わないその小さな笑い声は、僕の今思ってる心を悟っての笑い声に聞こえた。

クーは意外と鋭いからね、きっと僕の思ってる事を察したんだろう。


頑張って下さい……か、僕はその台詞を聞いた瞬間、下を向いた。


「うん、頑張るよ」


そのあと、直ぐにクーの方を向いて笑顔で応えた。

頑張れ……か。

言われなくても頑張るよ、その為に僕はここにいるんだ。


そう、強く心に思いながら……ここでのティータイムを楽しんだ。

この後はゆっくりしながら何気無い世間話をしたりした。

そして暫く経った後、僕とアヤネはクーに別れを告げた後、魔王城に帰った。


ふぅ……色んな意味で疲れた気がするよ、今日は夕食を食べたあとは直ぐに寝よう、明日に備えないといけないからね。

今回も読んで頂きありがとうございました!


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