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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
3グループ三様の日常風景
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俺の言葉を聞いてから、数秒間、ロアは間の抜けた顔で俺を見つめていた。


たった数秒間だが、その待ち時間が偉く長く感じた。

速く言ってくれ、速く答えを聞きたいんだ! そんな焦りの気持ちが出た頃、ロアの口はゆっくりと閉まり、ゆっくりと下を向いた。


「ろっロア?」


心配になったから話し掛けて見た。

そしたら、ぴくっぴくっと肩を震わせている。


なっなんだ? どうした? なんで肩を震わせている? まさか怒ったか? いっいや……怒る理由が全く見当たらないから怒ってないのか?


……もっもどかしい。

なんだ、このロアの反応は! 良く分からなくて、何か声を掛けようと思い、口を開く俺。

だが、その瞬間だった……。


「くくっ、くくくっ……」


笑い声が聞こえた。

それは勿論ロアの笑い声、ぷるぷると肩を震わせて、俺の手を離してお腹を押さえた。


そして……。


「くははははっ!」


大声を出して笑った、暫く下を向いて笑った後、今度は俺を見て、笑ってくる。


ロアの笑い顔を見て困惑する。

え? 俺……可笑しな事を言ったか? あっいや……確かに可笑しな事を言ったが、わっ笑う事は無い……と思うんだが、そうとう可笑しかったらしく、笑い声が止まらない。


「とっ突然、なっ何を言うかとおっ思えば……くはっ、くはははは」

「なっなんだよ、笑う事は無いだろう!」


ロアに歩みよると、腹を抱えたロアが、ひぃひぃと言う笑いが混じった呼吸をして俺を見てくる。


何か言いたそうだが、笑いが込み上げて来て言えないでいる。

……くっ、わっ笑うなよ、さっきの言葉を言うの、凄く勇気がいったんだからな。


もやもやした気分になり、ロアを睨む。

そしたら、息切れしそうになったのか、大きく息を吸い込んむ。


「くふっくふふふ……すっすまん、つい笑ってしまった」

「謝るなら最初から笑うな、で? なんで笑ったんだよ」


ロアの眼からは涙が出ている、泣く程笑うってどういう事だよ。

軽く傷付くぞ……。


「なぜじゃと? それはシルクの質問が可笑しかったからじゃよ」

「くっ……じっ自覚はしてるよ! ハッキリいうな!」


だんだん自分の言った事が恥ずかしくなってきた……。

なんだよ、ロアはナハトなのか? って、訳が分からない……。


そりゃ、今みたいに笑い飛ばされるのは当たり前だ。


「くふふふ、だってのぅ、先程のシルクと来たら……くふふっ、真剣な顔付きで何を言うかと思いきや、くふっくふふふ、わらわがナハトと言う女かじゃと? 可笑し過ぎて笑うしかないのじゃ」


それを言い終わった後、ロアは盛大に笑い始めた。

声を抑えようともしない、なんか……もう、今すぐ此処から逃げたい。


「あぁ……これこれ、そんな顔をするでない」

「こんな顔させたのはお前だろうが」


暗い顔をする俺に、笑い顔から一変して、申し訳なさそうな顔をする。

軽く頭を下げるロアは手を合わせて謝ってくる。


「くははは、まぁそうじゃな」

「…………はぁ、さっき言った事は忘れてくれ」


なんか、これ以上話したら恥ずかしくてどうにかなりそうだ。

これはもう、忘れて貰うのが一番だ。

だから、そう言うと、ロアが急に俺に抱き付いてくる。


俺が逃げないように背中に手を回して、ぎゅぅっとキツく……これをやられたのは何回目だろうか。


「うぉっ……なっなんだよ」

「くふふふ、まぁ待て、逃げるでない」

「いや、逃げはしないぞ?」


こうやって抱き付かれる度に思うんだが、ほんっとロアって、良い匂いするよな……。

誤解の無い様に言っとくが、変態的な意味合いは全く無いからな?


しかし、俺も男だ……ロアの柔らかいのを、ぎゅっと押し当てられると少なくとも変態的な事は思ってしまうのは事実……。


うん、取り合えず落ち着こうか。

紅くなった顔をなんとかしようと深呼吸する俺、そしたらロアが「くふふふ」っと笑った後、話し始めた。


「シルクが真剣に聞いた事じゃからな、一応返事はしておくのじゃ」

「え? いや……別に返事をしなくても」


いいぞ? と言おうとした。

だが、それを言う前に口を塞がれた。

……ロアの柔らかな唇で。


その口付けは直ぐに終わる。

それを済ませた後、ロアは、にっと笑って……。


「わらわはわらわじゃよ」


とだけ答えた。

突然のキス、呆気に取られてると、ロアが偉く明るい表情を見せて来る。


ここで俺は、ロアにキスされた事に気が付く。


「おっおまっ! また……」

「くははははっ、今日のシルクは良く顔が紅くなるのぅ、これは赤面記念日を作らねばならんか?」


騒ぎ立てる俺を抑える様に、ぎゅぅっと締め付けてくる。


「そんな記念日いるかっ、と言うか……締め付けるなっ! 色々と……そのっ、あっ当たってる!」

「そうか、当たっておるか……もっと押し付けてやろうかえ?」

「押し付けるな!」


大声で叫んでやった。

そしたらロアは、悪戯に笑った後、離してくれた。


……ん? 意外だな、ここですんなり離してくれるんだな。


「なんだ……今日は速い内に離れるんだな」


気になったので聞いてしまった。

そしたら、悪戯な笑みはそのままに。


「なんじゃ? やっぱりあのままが良かったかえ?」

「いや、あのままは……勘弁してくれ」

「くふふふ、遠慮しなくても良いんじゃぞ?」

「遠慮なんかしてない!」


くっ……。

今日も上手いようにからかわれてる気がする。

あれだけ勇気を出して聞いたのに、こんな事になるなんてな、これじゃいつもと変わらない。

……結局、大切な事は聞けなかった。

また考えて、行動を移さないといけないのか……今回ので前に進めると思ったが、進めなくて残念だ。


「んう? どうした、やけに落ち込んだ顔をしおって……」

「いや、何でもない……気にしないでくれ」


はぁ……イケると思ってたのにダメだったと思うと気が重いな。

だが、ここはダメだったと認めて次に活かさないといけないな。

その次の行動は、しっかりと前に進もう。


そんな決意をしていると……。


「嘘をついてすまぬな……」


ロアが何かを言った気がした。


「何か言ったか?」

「いや、何も言っとらんよ」

「……そうか」


確かに何か言った気がしたが……気のせいか?

そう考えていると……。


「話が終わったのなら城に戻るのじゃ!」

「えっ、おっおい!」


また手首を掴まれた。

そして、引っ張られて行く……なっなんだよ、変な奴だなぁ。


そんな事を思いながら、ロアに引っ張られて行く、騒がしい昼間の時間はこうして終わっていく。


取り合えず城に帰ったら……ゆっくりと休みたいな。

はい、今回はいかがでしたか?

個人的にはドキドキする展開だとは思ったのですが皆さんはどう思ったのでしょうか… …。


今回も読んでいただきありがとうございました。

次の投稿日は明日ですよー。

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