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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
魔王の配下2 ドMスライムとの日常
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あれから数日経った……ロアの事を考えてみたが結局何も思いつく事はなかった、だからその事を一旦忘れ、俺は店の前でチラシを配る日々を送っていた。


「雑貨屋シルク、近日オープンですら宜しくお願いします」


因みに今日もラムと一緒に行動してる、あの一件で外に出たラムは暫くして、店内に入って来て何時も通りの感じに戻った、今日も元気にドM発言を連発している。


「Sの方もMの方も満足頂ける品揃えにしていますの! 是非来て下さいましっ」


少し遠くでラムらしい言葉が聞こえた、白昼どうどう何を言ってるんだか……少し自重して欲しい。


「ラム……SM関係の商品なんておいてないぞ?」

「何を言ってますの? これから置くのですわ!」

「そうか……なら絶対に阻止してやる」

「いやんっ、シルクさんのいけずっ」


まぁ、言った所でこんな台詞が出るばかり…だが一応言っておかないとな…。


「それで今日は今回は何の服装を着ていますの? あまり見受けられないお召し物ですわね……」

「その質問には答えない……」


突然話が変わったな……俺の今着ている服装だなんて気にしなくても良いのに……まぁ説明するならば今の服装は……制服だ、俺達の住む世界の学生が着ている…だが男用の学生服ではなく女性物だ、ベージュ色の制服、まさか俺がこれを着るなんてな……と言うかこのスカート、極端に短すぎないか? 街行く奴等ががん見してるじゃないか!


「とっとにかく! 今は店の宣伝だ」

「そうですわね、後程詳しく聞かせてくださいの!」


ラムの目がキラキラしてる、縦ロールのツインテールをゆらゆら揺らし、にっこりと微笑みかけてくる、俺は恥ずかしくなり視線を反らす後程も何も……俺は言うつもりはないからな!


「雑貨屋シルク、近日オープンです」

「男の娘が誠心誠意をもって接客してくれますの」

「おいラム……俺は男だ 決して男の娘じゃない!」

「どこからどう見ても男の娘ですわよ?」


こっこいつ……俺が腹立つ事を平然と言いやがった、しばきまわしてやろうか。


「うふふ……怒りの視線を感じますわ! ぶっても構いませんのよ?」

「……」


あっ駄目だ……こいつをしばいても喜ばすだけだな、なら無視するか? いやそれも駄目だな、そしたら「無視しないで欲しいですのー」とか言って絶対にうっとうしい事が起きる。


「まぁ……その俺は男だ、そこん所よろしく」

「何ですかその面倒臭そうな顔は……何だかつまらないですの」


まぁ実際、面倒臭さいからな……。


「終わったら思う存分付き合ってやるよ」

「それは本当ですの!?」

「……あぁ」


つい適当な事を言ってしまった……まぁ終わったら部屋に戻って引きこもるとしよう、それで一時的だが安心安全が保証される、まぁその安全もロアが滅茶苦茶にされるんだがな……ははは、全く心が折れそうだ。


「うふふふ、そうと決まれば早速行動開始ですのっ!」

「まぁ、頑張ってくれ……」


此処は先の事はかんがえないで置こう、それ現実逃避だって? 好きに言うが良いさ……。


「雑貨屋シルクっ、様々な方も満足する商品を揃えてますわぁ、ご来店をお待ちしておりますわ!」

「普通の言葉でも、お前が言うと含みがある様に聞こえるな……」


……それはさておき再開するか、このまま2人で話してたら駄目だしな。

こうして俺達は店のチラシを配るのを再開する、あぁ周りの視線が辛い、さっさと終わらせて帰ろう。



「よし、配り終えたか……もう日も暮れたし帰るか」


あれから何度か休憩を挟んだ、手持ちのチラシも配ったしさっさと帰ろう、と俺が城に帰ろうとした時だ……。


「シルクさん、お待ち下さい!」


ラムが俺の服の裾を掴み呼び止めて来た。


「ん、どうしたんだ?」


するとラムは、店の中に早足で入っていった、? 何だ? 呼び止めて置いて何処に行くんだよ、何て思っているとラムが顔は大きめのリュックサックを背負ってやってきた、それ背負えるんだな……と言うかそれどこに置いてたんだ? 休憩しに店に入った時はそんな荷物見なかったぞ?


まぁ以外とスライムって何でも出来るのかも知れないな、そんな事は置いておいて……改めて思うがその荷物は何だ? それに何だその俺に向けたらキラキラした目線は……とてつもなく嫌な予感がするんだが気のせいか?


「えと、どうかしたか?」

「うふふふ…」


ぶっ不気味に笑ってる……経験上こんな時は不吉な事が起きるんだよな。


「さぁ、行きますわよ!」

「どっ何処へだ? これから帰るんだよな?」

「いえいえ、違いますわ! 実はロア様からの伝言がありましたの」


うわっ、それ滅茶苦茶逃げたいんだが……確実にこれは嫌な事が起きるだろ、俺の表情がどんどんひきつって行く……あぁ嫌だ! この先の言葉を聞きたくない!


「今から、商品を取りに行きましょう!」

「いきなりとんでも無い事言うな……因みに拒否権は?」

「勿論ありませんわ!」


ふっ……分かっていたさ、分かっていたけど……勝手が過ぎるだろうがっ!


「朝、出発したら良いんじゃないのか?」

「今から出発しないと駄目ですの、さぁっ! いきますわよ!」


そう言ってラムは強引に俺の腕を掴んでくる、以外と気持ち良い体温……いや水温か? ってそんな事思ってる場合じゃないな……さてこの状況どうすべきかが問題だ!


「すまんが、今日は疲れたんだ、城で休ませて貰うぞ」


じゅるんっと腕を引っこ抜き城へと帰ろうと足をそちらに向ける。


「させませんわ!」


みにょーんっーー

ん? なんだ? 今変な音がしたぞ……。


「って、何だこれは! やっやめ……やめろぉぉぉ!」


この後、俺は……いや思い出したくも無い、まさかラムがあんな事をするなんてな……。

俺はラムに強制的に連れて行かされた、ラムめ……絶対に恨んでやる、あと口封じもしなくちゃな……きちんと言って聞かせるとしようか、と言う訳で俺はラムと一緒に何処かへ行くらしい……行き先なんて知らないが……無事で帰って来られる事を願うとするか。




「ロア様……先程物凄い写真が取れました」


所変わって此処は魔王城のロアの部屋、窓から夕陽が射し込み少し眩しい部屋、そこにメイド服を着たヴァームが1枚の紙をロアに渡していた、ロアは椅子に深く腰掛けながらティーカップに入った紅茶を飲んでいた……それを机に置きその写真を受け取り見てみる。


「こっこれは!」

「ラムがシルクを捕まえた所を取りました、何か起きると思って潜んだ甲斐がありました」


驚愕するロア、その写真に写っていたのは……セーラー服を着たシルクに襲い掛かるラムの写真、ラムは身体を大きくさせシルクを飲み込んでいた、顔から下を液体が覆い服が透けて身体がうっすら見えている、制服とスライム……なんと言うえっちぃ組合せ……恥じるシルクの表情は可愛かった。


「これは一生の宝にするのじゃ!」


ぼたぼたっと鼻から血を出すロア、ヴァームも息をあらげている、シルクの知らない内にとんでもないものがお宝になってしまった……。


「ふふふ……あの後シルク様が抵抗する姿をロア様にも見せてあげたかったです」

「なっなにぃ! その姿はカメラでは撮れていないのかえ?」

「ちゃんと動画として記録しましたよ…後でこっそり見ましょう」

「うむ! 夜にこっそりみよう……くふふっ、これはヴァームとラムに感謝じゃのぅ……しっしかしその成り行きを少し聞きたいのじゃが……」


再び紅茶を飲むロア……ヴァームはそんなロアの姿をじっくりと見る、これはシルクが可哀想だ、恐らくこの事実をシルクが知る事はないだろう。


「分かりました、ラムが大きくなってシルク様を襲いました、当然身体中べとべとになるシルク様『やめろっ離れろ!』と叫ぶも離れてはくれません、その騒ぎを聞きつけやって来た住人達……突然苦しみ出すシルク、ずりずりと這いながらラムはシルクを覆ったまま街を出ていきます、その間に身体中についたべとべとと張り付く液体がシルク様の身体をまさぐります! そのべとべとがシルク様の衣服を透けさせっ更にその液体がスカートの……」

「そっそこまでじゃ! のっ残りは後で聞くのじゃ!」


ふんふんっと鼻息を出すロア……いやはや見る人にとっては飯旨展開になった訳ですね分かります、ロアの表情が色っぽく真っ赤に染まっている、恐らく想像したのだろう。

シルク……本当に御愁傷様です、隣にいる興奮したヴァームはと言うと女神の様な満面の笑み……まぁ、良い物が見れて「キタァー」な笑みなんだろうけど……。


「はい、そうですね! ではロア様そろそろ再開しましょうか」

「うむ! 秘密の計画の続きじゃ!」


するとヴァームがこくんと首を振り答える、それを見た後ロアは立ち上がる、おやおや……これから何かをするのだろうか? ロアはそのまま部屋を出て行く、その後ろを付いて行くヴァーム、何か2人でやっている様だ、まったく検討がつかない……一体何をやっているのだろう? そんな疑問が残りつつ誰も居なくなったロアの部屋、静まり返ったその部屋に飲みかけの紅茶が置かれていた。


「本当に厄介な事に巻き込まれてるね」


突然、誰も居ない部屋から声が聞こえた、大人しい少年の様な声だ。

部屋に冷たい雰囲気が漂い突然、ぐにゃりーー空間が歪む、そこに霧の様に棺桶が現れる、すると空間の歪みが直って行く……そこには黒い棺桶が現れる、中心に十字架が描かれていて何とも不気味さを感じさせていた。

と言うかこの棺桶……どこかで見たような気がする、あっ! そうだこの棺桶はシルクを追い掛けて来た棺桶だ、何故ここに現れたのであろう?


ぎぎぎぎぃーー

軋んだ音が響きながら棺桶が開いて行く、中からドライアイスの様な煙がもくもくと出てくる、誰も居なかった部屋に誰かが現れた! その瞬間であった。


「正直、女装は勘弁して欲しいよ……」


一歩棺桶から足が出てくる、スラッとした細い足だ……その人? は、はぁ……と深いため息を付く。


「まぁ僕としては変わりが出来たから嬉しいんだけどね……」


完全に姿を表した謎の人物、その姿は少年……いや少女? どっちの性別か分からない容姿だ、その人? は着ていたタキシードの襟を正して、ポンポンと手で払う、漆黒のマントを靡かせながらロアの部屋の窓際へと向かう。


「そろそろお腹が空いたから食事にいこうかな」


水色の髪をショートヘアにした髪型……目はジト眼、指先が細い、首にあるのは喉仏……この人? は男なのか!? 女と間違えられても可笑しくない容姿だ、しかしその人……いや確実に人では無い部分がある、それは尖った耳と口から出ている小さな八重歯……いや、これは牙であろうか? タキシードにマントを靡かせ、おまけに牙を持っている、これは間違いない……皆が知るあの魔物だ。


「ディナーはやっぱりあれに限るよね、くふふふ……」


不気味に笑うその者、その瞳は血の様に紅かった、そう……この者は吸血鬼(ドラキュラ)だ、ドラキュラが窓を開け勢い良く飛び出す、すると身体がコウモリに変化し茜色の空を飛ぶ、何かが起きそうな予感がした……これは何かの前兆か? シルクに更なるストレスが降り掛かるのか? 確実なのは、きっと(ろく)な事が起こらないと言う事だ、これはシルクと言う男の定めであり受難なのだ、まぁ頑張って生きて行って欲しい、人生は生きていれば必ず幸せな事が起きるのだから……多分。


適当な事を言ってしまった、さてシルクは今無事でいるのか? 何処へ向かったのか? ラムの言う商品とは何なのか? さてさてこの先どうなってしまうのやら……シルクよ! 健闘を祈ります!

何時も読んで頂きありがとうございます!

これからも色々と頑張ります!

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