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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
3グループ三様の日常風景
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「毎回毎回、邪魔ばかりして、お前は何がしたいのじゃ!」

「シルクと一緒にいたいの、だからロアと2人きりはダメ」

「なんじゃ、その理屈は!」

「……わかんない」

「うがぁぁっ、むかつくのじゃぁぁっ」


俺は、両隣で言い合いをしてるお前等にムカついてるよ。

はぁ……さっきの真剣な雰囲気なんて何処へやら、他の客の迷惑省みず口喧嘩、店では静かにするのがマナーだろ。


ほら、目の前にいるメェを見ろ。


「アヤネに恐い目に合わされてお腹減ったです、と言う訳で食べるですよ!」


喫茶店に来てるのに、サラダを3つも頼んで、食べ始めた。

だが、煩く喋らないだけマシだ。


俺は、両隣の口喧嘩が終わるまで運ばれて来たアイスティとケーキを食べて静かに待つとしよう。

という訳で、アイスティを手に持ち、こくりっと飲んでいく。


うん、茶葉の味がしっかり出て美味しい。

……少し気になったんだが、魔界にも茶葉はあるのか? そんな疑問を抱きつつ、ちらりと両隣を見る。


「だいたい、毎度毎度わらわとシルクが一緒にいる時に来るが、あれか? 嫌がらせかえ?」

「違う、隙を見て奪おうとしてる」

「こっこいつ、真顔でそんな事を言うとは……」

「はっ、しまった……今のは秘密にしておくべき事だった、だから忘れて」

「アホかっ、無理に決まっとるじゃろう!」


やいやい、ぎゃいぎゃい、騒いでる。

これ、いつまで続くんだ? そろそろ店員さんや他の客が迷惑そうにしてるぞ。


あと、店員さん、相手は魔王だが、遠慮なく「うるせぇっ」って言っても良いんだぞ?

言っても、逆に「うるさいのじゃ」って言われるんだろうけどな……。


「……ぁ」


と、ここで俺は気づく。

俺が言えば良い、2人の言い合いを聞いてれば、俺の名前が、ガンガン出てくる。


だから、俺が一言注意すれば止まるかもしれない。

だが、今までの様に、言いくるめられて、この騒動が続くって事もありうる。

……だが、言った方が良いだろう。


さっきはアヤネとメェが来て言いそびれてしまったが、今この瞬間、この言葉はしっかり言ってやる。

変に言いくるめられた時は……その時は、金を払ってこの店から出ていこう。


「煩いぞ2人共、静かにしろ、他の客に迷惑だ」

「シルクは黙っておれ!」

「シルク、今は静かにしてて」


……なるほど、やはりそんな態度を取ったか。


「じゃぁ、俺は帰る」

「んなっ……なんじゃと!」


ガタッ……。

テーブルを揺らし、出ていこうとする俺だったが、そう言えば、外側にはアヤネが座ってたんだった。


「帰っちゃダメ、ここは通さない」

「……だったら静かにしてくれ」


そう言われたので睨み付けつつ言った。

そしたら、こう返ってきた。


「ロアが静かにしたら、私は静かにする」

「んなっ、なんじゃその理屈は!」


ロアの言う通りだ、相変わらず自分本意な事ばかり言うな。

で、ロアもロアで……お前がそれを言うかって突っ込んでやりたい。


「屁理屈だよ?」


とか考えてたら、アヤネが、さらっと言った。

ロアを真っ直ぐみて、ハッキリと……。

アヤネよ、それ……下手したら人を怒らせる返しだぞ? もう少し言葉を選べ。


「こっこやつ、おちょくっておるのか?」


ほらみろ、ロアが怒ったじゃないか。

眉をぴくぴくさせて、また俺の肩を持ち、身を乗り出してきた。


こうなると、また煩くなる。

なんとしても止めないとな……出来れば、メェにも協力して欲しいんだが、無理だな。


ちらっと、メェの方を見てみると、いつの間にかサラダを追加注文してた。

どんだけ野菜を食べるんだよ。


「んあ? なにみてりゅれしゅか?」

「食べながら喋るな、何も無いから、ゆっくり食べててくれ」

「ふぁかっられす」


もっしゃもっしゃ……。

両手にフォークを持って、食べる食べる、凄い勢いでサラダが減る。

こりゃ、また追加注文するな。


……おっと、メェの事はいい。

今は目の前の問題を解決しないとダメだ。


「アヤネよ、そなたはあれか? 喧嘩でも売ってるのかえ?」

「売ってないよ」


アヤネの言葉を聞いたロアの表情が固まる、小声で「ぐっぐぬぬっ、なんか腹立つのじゃ……」と言ってる。


あぁヤバイ、これはダメなパターンだ。

間違いなく手が出る、ロアの眼には怒りの炎が燃えている。


これはあれだ、多少強引な手を取らせて貰おう。


俺は、1度深呼吸する、その後は両手を上に挙げて、握り拳をつくる。


そしたらだ、ロアとアヤネは2人して、不思議そうな顔をする。

何かを言おうとしていたが、それを言わせる前にわ2人の頭に拳を降り降ろす。


ごいんっ! がいんっ!


「っ! なっ何をする、シルク!」

「シルクが打った、打つのはダメなんだよ」


殴られた事に対して怒る2人に、俺は冷やかな目をして、テーブルに手を置く。

そして、低い声で言ってやった。


「静かにしろ、良いな?」


なるべく恐く聞こえる様にした。

じゃないと効果がない、脅してるみたいで嫌だが、もうこれしか方法は無いと思うんだ。


さぁ、結果はどうだ?

左右を確認してみると、ロアもアヤネも怯えた顔をしていた。

そして、消え入りそうな声で言って来た。


「……あい」

「……分かった」


明らかに、しゅんっとした態度を見せる2人。

ふぅ……やっと静かになった。


良かった、と安堵したその時だった。


「店員さぁんっ、サラダ追加でぇす」


また問題が浮上した、さっきから食べてばかりのメェをどうしよう……。


こればっかりは何も思い付かない。

いや、たった1つ解決する方法があるな。


それは……メェの腹が満たされるまで、じっと待つ。

やれやれ、大事な事を聞けないまま、こんな面倒な事になるなんてな。


……こうなるんだったら、さっさと聞けば良かった。

そう後悔する俺は、深いため息をついた。


この後、メェが満腹になるまで待ち続けたのだが……大分時間が掛かったのは言うまでもない。

騒がしい感じが書けてほっこりしてるわいずです。

やはり騒がしいのは良いものですね!

でも……シリアスな感じのも好きです。


今回も読んでいただきありがとうございました!

次の投稿日は明日ですよー。

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