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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
3グループ三様の日常風景
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「ん?」

「どうしたのじゃシルク、突然立ち止まって……」

「いや、なんでもない」


俺とロアは城下街を歩いてる、気温的には、少し寒いくらい、相変わらずここは、色んな魔物達が歩いてる。

時折俺を見ては「おほっ」と嬉しそうに声をあげる魔物がいるが……お前等は俺に対して一体何を感じてるんだ?

変にデレデレした目を向けてくるんじゃない! イライラするだろう。


おっと、そんな事は置いといて、今お洒落な雰囲気がある喫茶店を横切った所だ。

丁度その頃、微かにだが叫び声が聞こえた気がする。


だが、気のせいかもしれないな。

ここは平和な場所だ、俺とラキュに被害が出る事があるが、それ以外に目立った被害は出た事はない。

つまり、俺の聞き間違い、きっと思い込み過ぎたんだろう。


そう悟った俺は、再び歩き始めた。


「くふふふ、もしかして、立ち止まってるのは緊張からかえ?」

「……まぁ、そう言う事にしておこう」


側にいるロアは腕を組んでくる。

恥ずかしかったが、ここは抵抗はしなかった……これも、自分自身の為、そう思ったからだ。


「おぉ、おぉ……顔を紅くさせおって、今はツンデレで言う所のツンなのかえ? ならば、早うデレを見せてくれんかの?」

「口を開いたらそんな事ばっかり言うんだな、飽きないのか?」

「くふふふ、飽きるわけなかろう」


なるほど、飽きないのか、まぁいつもの返答と同じだな。

はぁ……ため息をはいて肩を落とすと、ロアがニヤニヤしながら、肩を押し付けてくる。


「なんだよ、あんまり寄ってくるな、歩き辛いだろ」

「そう言うでない、これはあれじゃ、もっと構って欲しいと言うアピールじゃ」

「…………」


アピールか、そう言えばロアは、頻繁にアピールしてくるな。

俺はそれをスルーしたり軽くあしらったりしてる……。


1度、ロアを見てから空を見る俺、1度くらいは乗っても良いかも知れない。


ふと頭の中で、そんな考えが出てしまう。

と言うかロアを外に連れ出したのは俺だ、だから何らかのアクションをしないといけない。


このまま何もせず帰ったらロアに悪い、だから何かを仕掛けてみよう。


……と、考えて見たが直ぐには思い付かない。

いや、1つだけ思い付いた。

ここは定番のあれでいこう、心に決めた俺は、真っ直ぐと瞳を見つめ、もう一度ロアを見る。

真っ直ぐと瞳を見つめ、視線を反らさない様に真剣に。


「なぁロア」

「うぉっ、なっ何じゃ、急にキリッとした表情(かお)をしおって」


俺の言葉を聞いて、小さく身体が跳ねたあと、頬を赤く染めるロア。

そんなロアに俺は続けて話していく。


「さっき通り過ぎた喫茶店、よっていかないか?」


それを言った瞬間、ロアの身体が小さく跳ねた。

目なんか、大きく開いて俺を見つめ返してくる。


「なっ、そっその……良いのかえ?」

「別にいいぞ、と言うか俺が誘ったんだから良いのかも何も無いだろう」

「そっそそっ、それもそうじゃな」


急に俺から離れて頬を押さえるロアは、回り右して来た道を戻っていく。


「なっならば、ゆっ行くぞ!」


……。

なんか知らんが、ロアの方が緊張してる、緊張するのは俺だと言うのに、やはり誘われた側も緊張するものなのか?


「あっ、待ってくれ……」


そんな事を考えつつ、ロアを呼び止める。

すると「ん?」と呟き、こっちを見てくる。

普段なら、こう言う事は言わないが……自分の為とロアの為だ。

勇気を出して言おう。


「先に行くな、そっその……一緒に行くぞ」


この台詞を言った瞬間、身体が熱くなるのを感じた。

うわぁ、自分らしくもない事を言ってしまった。


ほら、それを聞いたロアは、口をぽかぁんっと開けてしまってるじゃないか。


硬直してるロアに近寄った後、俺はロアの手を握る。


そしたらだ……。


「ひゃひっ!?」


ロアは変な声を出した。

直ぐに手を引っ込めようとしたが、俺はロアの手を強く握る。

ロアを見る為には、ここで手を話すのは駄目だ。


「ほっほら、行くぞ……」


そう言って、ロアを引っ張っていく。

チラリと後ろを見ると、うつ向いて、何かぶつぶつ言ってるロアがいた。


恐らくだが、「いつものシルクじゃない」だとか呟いてるんだろう。

そう、口に出されてしまえば俺はきっと「そっそうか?」と誤魔化すだろう。


とっと言うか、この行動、強引過ぎないか? 逆にロアは引いてないか? 大丈夫だよな? がっつき過ぎてないよな?


色んな考えが頭を過って、身体の温度がどんどん上がる。

熱い、恥ずかしい、出来る事なら走って逃げたい。


そんな弱い考えを振り払うかの様に、俺は勢い良く首を横に振るう。


そして、喫茶店に目を向ける。

向かう喫茶店は、先程話した通り良い雰囲気が出ている。

木造で、周りには綺麗な華が咲いてる鉢植えが置いてある。


近付くにつれ感じる、珈琲と紅茶の匂い。

それが唯一、俺の緊張を解している様に感じた。


……。

さぁ、ここからが本番かもしれない。

店に入ればより緊張する事になるだろう、先程から一言も喋らないロアと、どうにかして会話とかをしないといけない。


さぁ……頑張る時が来た。

十分に気を引き閉めて行こうじゃないか。

決意を固めた俺は、入り口に近付き、ドアノブに手を掛けた。


さて、ここから何が起こるんだろうか、出来れば平穏に終わる事を……願いたいが無理そうだな。

必ず何か起きそうだ、よっよし、だったら色々と頑張って乗り越えてやるさ。

甘酸っぱいなぁ、と感じてくれると嬉しいです。

2人の仲を書く時、気にしてるのは親展度ですね。

徐々に進んでるのか? 前に書いた時より進んでいるのか? 前と同じじゃないのか? そんな事を書く度に思います、今回はどうなるんでしょうかねぇ。


今回も読んで頂きありがとうございました、次の話は9月10日0時に投稿されます。


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