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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
3グループ三様の日常風景
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魔王城城下町、いつも賑わいが耐えない昼過ぎ、今日も魔物達が商売をしたり、歩いたりしてる。


ふと、街路樹を見てみると紅く色付き掛けてるのが見てた。

こう言う景色を見ると、秋が近付いて来てるなぁ、と感じる今日この頃。


「うっうぉぉ、久々のシルクとのデートじゃ、きっ緊張するのぅ」


中々の風情を感じるなぁ、と感じる中で、顔を真っ赤にするロア。

かくいう俺も顔が赤くなっている。


なぜ、こう言う事になっているかと言うと、少し前にこんな事があったからである。



「さっ、料理が出来たよ」


事が起こしたのは、メェが食堂から出ていった後の事だ。

残っているのは、俺とロアとラキュとアヤネだ。

今まさに、ラキュが料理を作り上げた所だ。


「沢山作ったから、沢山食べると良いよ」

「見事に真っ赤な料理ばっかじゃな」


ため息を漏らしながら言ったロアの言う通り、殆どが赤い料理ばかり、しかも、その全てがトマト料理。

こうして目の前で見ると無性に他の食材も食べたくなってくるな。


「ラキュよ、トマト以外の料理はないのかえ?」

「ないけど?」

「うっうむ、そうか……」


顔をしかめるロア、何か言いたげだったが、諦めて、手を合わせて「いただきます」と言って食べ始めた。


それを見て、俺も食べようか、と思い、手を合わせる。


さぁ、まずは何を食べようか? いや、その前に言う事があったな。

言うのが遅くなると、言い辛くなる、早く言ってしまおう。


「ロア、ちょっと良いか?」

「んあ? どうかしたのかえ?」


ロアを誘う事を決心した俺は緊張しながら話し掛ける。


くっ、いつもロアは平気で色々言ってくるが、良く言えるな。

俺は変に意識して、言えないぞ。

それに、周りの視線も気になるし……くそっ、言い辛いな。


「何やら、もごもごしとるのぅ、トマトを食べ過ぎて可笑しくなったかえ?」

「え、いや、違うんだ」


きょとん、としたロア、じぃっと俺を見てくる。

くそっ、食事中に言うんじゃなかったな。

でも、今言わずしていつ言うんだ。

俺の場合、ずるずる引きずって言わず仕舞いで終わってしまうからな。

なんとしても、今言わないといけない。


「ん? 本当にどうしたんじゃ? いつものシルクらしくないのぅ」


「ん?」そう呟いた後、覗き込んでくるロア、すっごく覗き込んでくるなぁ。


「そっそうか? いつもの俺じゃないのか」

「うむ、いつもなら、気だるげにわらわとの会話をする裏では楽しんでおる感じじゃが、今はなんか、偉くもじもじしとるな」

「可愛い言うな! そっそれに、もじもじなんてしてない……」


にやにやしながら言うロアに目を合わせて言ってやる。

そしたら、顎を持たれた、「うぐっ」と声が出てしまう。


「シルクよ、何かわらわに言いたい事でもあるのかえ?」

「えっ、いや、その」


っ! くっ、ロアの奴……感ずいたのか? 疑いの目線が俺に刺さってくる。

きっ気まずい、何とか、何とかしないとダメだ!


そんな焦りの思いからか、キョロキョロと辺りを見回してしまう。

その時に、一瞬だけラキュの顔を見た。


一瞬だけだが、ハッキリと分かる。

あいつ、俺の今の状態を見て、クスクス笑っていた。

くそぅ、滅茶苦茶腹立つ!


「くふふふ、なんじゃなんじゃ? もしかしてあれかえ? わらわに惚れて、ついに告白……とか?」

「………」

「むぅ、無言か、怪しいのぅ」


じぃ……。

くっ、顔が近い、それと、アヤネの視線が痛い。

くそっ、これじゃ、俺は鬼騎の事言えないじゃないか。


いっいや、俺は言える、絶対に言える筈だ!


自分を鼓舞し、決意の込めた目でロアを見る、そしたら「うぉ、なっなんじゃ、いきなり熱い視線を向けてきおって……」と呟いた。


その時に、別の奴の呟きも聞こえた。


「……っ! くふふ、なるほどね」


ラキュの声だ、どうやら何かを察したらしい。

奴の顔を見ていないが、ラキュが今、どんな顔をしているのか分かる。


きっと、ニヤニヤしてるに違いない。

そして、俺をからかってくる、くそっ、やっと決意を固めたのに邪魔して来るのか……と、思っていた時だった。



「ねぇ、アヤネ」

「なに? らっ君」


なんと、ラキュは俺に出はなくアヤネに話し掛けた。


「これ、メェに届けて欲しいんだけど、良いかな?」

「えぇ……、私はここにいたい気分」

「夕飯は好きな物作って上げるからさ、お願い」

「……肉料理が良い、野菜抜きで」

「うん、分かったよ、夕飯はそれを作るよ」

「ん、交渉成立」


なっなにやら、交渉が始まって上手く行ったらしい。

しかし、夕飯は肉料理か……しかも野菜抜きと来た。

アヤネは肉が好きだからな、目の前の魔王と同じでな。


「という事訳で、僕とアヤネはメェに料理を届けて来るよ」


その声に、俺もロアもラキュの方を向いてしまう。

すると、アヤネが不思議そうに言ってくる。


「らっ君も着いてくるの?」

「うん、道わからないでしょ?」


アヤネの質問に微笑みながらキッパリと言う。

すると、ドヤ顔で胸を張るアヤネは……。


「大丈夫、勘で何とかなる」


こう言った。

いや、ならないよな? それで迷った事あるよな? クータンに迷惑掛けたよな?

そんな、アヤネの言葉を聞いたラキュは、微笑んだまま頷いて。


「うん、分かった、僕も着いてくよ、気分的にね」

「そう、気分なら仕方無いね、いいよ」


と言った。

おっおぉ、アヤネの気分を害する事なく上手くやった。


と、感心して見ていると。


「じゃ、僕達は行くから……頑張ってねシルク君」


そう言い残して、トレイに料理を置いて、それを持ち部屋から出ていってしまう。


アヤネもラキュに着いていく、その時、部屋から出るときに。


「ロア、シルクにちょっかい出しちゃダメ」


と言い残して言った。



……残されたのは俺とロアだけ。

なっなるほど、ラキュが俺のやる事を察して、気を使って2人きりにしてくれたと言う事か。


全く、素直に喜んで良いのか、後で、これをネタにからかわれる、と悩めば良いのか分からないな。


だがまぁ、これで。


「ロア」

「なっなんじゃ?」


面と向かって言えるな。

恥ずかしいし、緊張するのは、さっきと比べて遥かにマシ。


ここで、バシッと言ってしまおう。

俺は大きく息を吸う、その後、数秒間目を瞑った後、ゆっくりと目を開ける。


「昼飯を食べ終わった後、俺と外に出掛けて見ないか?」


その後、俺は言い放った。

ロアはキョトンとしたが、直ぐに「っんなっ! なっ、ななっ、なんじゃとぉぉぅっ」って声をあげた。



という事があり俺は無事、ロアを誘い出す事が出来た。

しかし、俺が誘う言葉を聞いた後のロアの声……凄い大声だったな。

余程嬉しかったんだろう。


そんな事を思い出して、俺は空を見上げる。

さて……誘い出したは良いが何処へ行って何をするか決めてないな。


まぁ、なるようになってくれるだろう。

軽くそう思った後、俺はロアと一緒に魔王城城下町を歩いてく。

さて、少しでも良いから前に進もう、頑張るぞ、俺!

シルクのお誘い。

これは、初めての試み……さぁ、どうなるんでしょうねぇ、ふふふふふ。


今回も読んで頂き有難うございます。

次回の投稿日は8月26日0時になります。

現在、この小説に対する質問を受け付けてます、詳しくは僕のマイページの活動報告を見て下さいね。

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