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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
ヘタレな鬼は自分なりにアピールする
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ヴァームのド怒り事件から数日経ったある日の昼前、俺はラキュと城の廊下を歩いてた、空は晴れてて少し涼しい、夏の暑さはどこへやらって感じだな。


「あぁ面倒くさい……なんで犯人探しをしなくちゃいけないんだ」

「そうだよね、盗まれたのはヴァームが作った服なんだから自分で探せば良いのに」


と、こう言う風に文句を良いながら歩いていく。

理由はあれだ、ヴァームに遠回しに「犯人を探せ」と言われたからだ。

別に探さなくてもいいんだが、多分探さないと後が怖い、きっと怖い、絶対恐い。


だから嫌々探してる。

はぁ、NOと言える人になりたいものだ。

あぁ因みに、廊下に掛かってた謎魔法は解かれている。

お陰で2本の足で廊下を歩んでいる、やはり歩くって素晴らしいと思う。


「ねぇ姉上は?」

「寝てる」

「そう、アヤネは?」

「寝てる」

「……」


今は朝、起きなきゃいけない時間なんだけどな、朝が弱いあの2人は寝ている。

それを聞いたラキュは若干眉をピクつかせる。


「あの2人にも探す様に言われてたのにね」

「そうだな、だがあの2人は多分」

「多分?」

「ヴァームに叩き起こされるんじゃないか?」


今のヴァームならやりそうだ。

恐らく「寝てる暇はありません、起きて犯人を探してください」とか言って2人を起こすだろう。


で、俺がいない事に気付いた2人は慌て、俺を探す為に廊下を走り回るだろう。

そして俺を見付けて飛び付いてくるに違いない。


「えと、シルク君? いきなり疲れた表情になってるけど、大丈夫?」

「あぁ大丈夫だ、ちょっと考え事をしてただけだ」


そう言って軽く笑っておく。

はぁ、2人はもう少し距離をとって欲しいんだけどな……俺の身が持たないんだよなぁ、 と、少し不満を心の中で言っていく。


「ふぅん、そう……」


ラキュはそう言った後、立ち止まった。

ん、どうしたんだ? 気になって俺も立ち止まる。


「姉上とアヤネの事考えてた?」

「……ノーコメント」

「くふふふ、その表情は図星って事だね」


悪戯な笑み、くそっ、からかわれてしまった。

ほんとラキュは好きだよな、からかうのが、こんな時は素っ気ない態度を取るのが一番だ。


「くふふ、もぅ、そんな顔しないでよ、悪かったよ」

「悪いと思ってるなら直してくれ」

「善処するよ」


絶対にしないだろうな。

だって、にやにやしてるからな、心の中では「こんな面白い事放っておけるか」とか思ってるに違いない。


……というか、たまには仕返ししてもいいんじゃないか? ラキュにはからかわれて少し酷い目にあった事もあるし。


「ん? どうしたの、急に難しい顔して」

「いや、なんでもない」


おっと、悟られる所だった。

バレないようにしないとダメだ、と身構えてもからかうネタが無い。

……ふむ、隙がないな、やはり人をからかうのが好きな奴は簡単に弱味を出さないのか。


いや、ラキュにも弱味がある。

それはズバリ猫だ、猫を見ると騒ぐ慌てる叫ぶ、だから猫が側にいると普段とは違ったラキュを見れる。

だがしかしだ、これは、からかうネタとしては弱い気がする。

きっと「そうだけど、それが何か問題でもあるのかな?」とかあしらわれる、で、またからかわれてしまうだろう。


「……っ!」


ラキュに悟られない様にネタを考えていたら、ふと、ある事を思い出した。

あった、あれならラキュの慌てる表情か見れるかも知れない。


よし、ならばこれをネタにラキュをからかおう。

だが、がっついてはダメだ、さりげなーく言おう。


「なぁ」

「なに、なんか企んでる顔してるけど……何言うつもり?」


……疑われた、俺ってそんな顔してたか? 隠し事は苦手らしいな、だが、適当にはぐらかせば大丈夫だろう。


「いや、気のせいだろう」

「……まぁ、そう言う事にしといてあげるよ、で? 話ってなんなの?」


くすりっ、と笑った後、ラキュは両手を後頭部に当てる。

うわ、これ絶対に見透かされてるな、分かってて言ってる……くそっ、余裕ぶった顔しやがって、その余裕に満ちた顔、凍り付かせてやる。


「アヤネとはどうなったんだ?」

「……アヤネ? なんで?」

「アヤネが来る前、どんな奴かを聞いただろ? そしたら好みだとか言ってたからさ……気になったんだ」


それを聞き終わるとラキュは立ち止まった、なので俺も立ち止まる、そしたら何か目を細めて睨んできた。


え? なに? 俺なんか言ったか?


「……そう言えば、そんな事言ったね、あれはその場の雰囲気で言ったんだよ、実際に会ったら冷静になって少し話しただけ、好みのタイプだけど、好意とかは無いよ、今はね」


ふっふむ、なるほど……なぜ睨んでくるのかは分からないがラキュの言う事は分かった。


「と言うか、それ、シルク君が言うんだね」

「え?」

「アヤネが可哀想だよ」

「え?」


おっおぉ、なんか良くわからんが……睨みが強くなった気がする。

なぜだ?


「まっ、今はその話しは置いとくよ」


はぁ、とため息を吐いて、ぶらんっと手を下ろす。

少し微笑んだ後、またラキュは話始める。


「実はさ、肝試しの時に……と、これ勝手に言ったら怒られるか、今のは忘れて」

「え、いや、めっちゃ気になるんだが?」


笑顔で誤魔化せないからな? そこまで言ったら気になって仕方ない。

だが、問い詰めてもラキュは言わないだろう、だから我慢しよう。


「シルク君」

「ん?」


そう決心したら呼ばれた。

何だろうか?


「アヤネは頑張り屋だからさ、今度会ったら頭でも撫でてあげなよ」

「いや、いきなり何を言ってるんだ?」


訳が分からない、確かにアヤネは色んな事を頑張る人ではある。

だが、なぜ頭を撫でなきゃいけない?


「ね? お願い」


っ、ラキュが手を合わせてお願いした……だと? その様子に驚いて目を見開く。

なっなんか得たいの知れない感じがする、ゾワゾワしてきた……。


って、失礼だぞ俺、ラキュだって、手を合わせてのお願い位するだろう。


「まっまぁ、その……少しだけならしてやるが」

「うん、それで良いよ」


にこっと微笑んだラキュは歩き始める、そして背を向けたまま呟く。


「これくらいなら姉上も怒らない……よね?」


ん? 良く聞こえなかった……なんて言ったんだ? 良く分からないが、問い質して聞く事でも無いだろう。


「シルク君、そろそろご飯食べにいこっか」

「あっあぁそうだな」


俺の方を振り向いて話し掛けて来た。

そう言えば、腹が減った……朝食を食べてから犯人を探し詰めだったからな、仕方無いだろう。

と言う訳で、俺とラキュは食堂へと向かった。

もうすぐ200話、なんかドキドキします。

頑張ろう!


今回も読んで頂き有難うございます、次回の投稿日は8月2日になります。

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