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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
変化する心境…悩みの一時
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鬼騎の秘密のbarの雰囲気はとても心地良い…此処に置いてある酒は旨いし、付け合わせのナッツも良い塩加減でとても美味だ、お陰で俺は今の心境を話しやすくなっていた。


「と言う訳なんだ…」


俺には好きな人がいる、その事を含め今の心境を包み隠さず鬼騎に話す、難しい顔をして腕を組み俺をじっと見つめてきた。


「成る程なぁ…中々難しい問題じゃねぇか」


その通りだ、かなりの難問だ、どうしたら良いのか分からない……言い方は悪くなってしまうがロアは簡単に諦めてはくれない、ロアが俺の事を愛してくれてるのは嬉しいが、俺には好きな人がいる。


「情けない話し、解決策が全く分からないんだ」

「ほぉそうかい……」


鬼騎は軽くため息をつく、俺はグラスに入った酒を少し飲んだ、少し酸っぱい、だがさほど酸っぱくない……簡単に言えば程よい酸味で美味しい酒だ。


「ロア嬢は自分の気持ちを優先させるからなぁ……折れてはくれないぜ?」

「……」


確かにそうだ、だが諦めてくれないと駄目なんだ……そう深く考えていた時だ、鬼騎は食器棚からジョッキを取りだしそれに酒を入れる、小麦色の酒だ……注ぐと白い泡が出ている、あの酒はなんだろう?


「聞いて良いか?」


ぐびりっと音をたてながら酒を飲む鬼騎は真っ直ぐ俺を見つめて言った、真剣な目だ、何か大切な事を聞かれる気がした。


「あぁ」


息をのんで答える俺……さて何を聞かれるんだ?


「昔、会った好きな人ってどんな奴だ?」


あぁその事か、そう言えば言ってなかったな、ナッツを口に入れつつ俺は答える。


「褐色肌の娘だ」

「それだけか? 他にどんな特徴がある?」


ん? なんでそんなに聞いてくるんだ? 気になりつつも応える。


「目が大きくて、子供なのに大人びた娘だったな…」


子供なのに難しい言葉を使ってた記憶がある。


「そいつは良く笑ってたか?」

「ん? あぁ…いつもポジティブな奴だったな」


まぁそのポジティブな感じで振り回されて少し大変だったな…あの時の思い出を思うと苦笑いをしてしまう、まぁそんな所も可愛良いいんだけどな……。


「口がにやけとるぞ? で? 名前は何て言うんだ?」

「名前か?」


まぁ当然聞くよな、しかし困ったなぁ……名前は聞いたんだがこれは名前と言うのか? 俺が口ごもっていると鬼騎が小首を傾げる。


「どうした、答えずらそうだな……まさか分からんのか?」

「いや名前は分かってるだが……あいつはこう言ったんだ」


『名か? ならば今はこう呼ぶとよい……ナハトとな! 真の名は時が来たら言おう!』


今思えば可笑しいと思うが、幼い頃の俺は『格好良い』と思ってたなぁ……うん幼い頃の俺も変だったのかしれない。


「ナハトか……昔から目を付けていたと言う訳かい」


ん? なんだ鬼騎が頭をおさえてる? それに俺の見る目が呆れている様に見える……はて何でだ?


「褐色肌で目が大きくて大人びてる、そしてポジティブな奴か、はぁ……」

「なっ何でため息つくんだよ!」


なっなんか鬼騎の視線が痛々しい……俺何かしたか?


「しぃ坊、そいつは……いや何でもない」


鬼騎が何かを言い掛けた? 何だろう? 気になるな……俺がそう思っていると鬼騎はジョッキに入った酒酒を飲んでいく……余程酒に強いのかどんどん飲んでいく、ちびちび飲んでる俺とは大違いだ。

すると鬼騎は、だんっ!ーー とカウンターにジョッキを置き俺の頭に手を置いてくる。


「しぃ坊……もっと良く見てやれや」

「は?」

「それ以上は言わん自分で気付け」


えっえーと……言ってる意味が分からないんだが? 詳しく聞きたいがここで深く聞いても話してくれそうに無いな、鬼騎の言う様に自分で考えるしかないらしい。



鬼騎の言葉を最後にお互いに黙って何分か経った、酒を飲んだりナッツを食べたり、このままだと気まずい……そう思った俺は行動を起こす事にした、此処は俺から鬼騎に話を振ってみよう。


「鬼騎は好きな奴がいるのか?」


それを聞いた時、鬼騎は酒を飲んでいた、そして俺の言葉を聞いた瞬間、ぶばぁぁぁぁっーー

と勢い良く酒を吹き出し俺に酒が思いっきり掛かってしまう。


「なっ何するんだ! べとべとじゃないか!」


服がベトベトになってしまった、うぅ酒臭い……これ服に匂いがついてしまうな、と言うかこれヴァーム怒るんじゃないか?


「げほっごほっ……しっしぃ坊、いきなり何を聞く!」


俺がそんな事を考えた時だ、むせかえりながらカウンターに手を置き答える、照れてるのか顔が赤い……赤銅色の肌でも分かる位にだ。

この反応はあると取っていいよな? 鬼騎は腕で口を拭う、分かりやすく焦ってるなぁ……。


「いや気になったんだ……そんなに慌てるって事はいるのか?」

「お前には関係無い!」


赤銅色の肌が更に紅くなってる、それを隠すように酒を飲みまくってる鬼騎は何だか面白いなぁ…。


「わしの好きな人の話より自分の事を心配せいや!」


まぁそれはごもっともだ、しかし超気になるからぐいぐい聞いて行こうか? いや止めておこう、さっきから鬼騎の視線が怖い……聞いたら殴られてしまいそうだ。


「そっそうだな、鬼騎の言う通りだ」


俺の身がどうなるか分からないから引いておこう……ん? 何だろう? 急に酒がまわってきたか? 鬼騎には度数の低い酒を頼んだ筈だ、なのに身体が熱くなって来た……それと頭もふわふわする。


「ん? しぃ坊もう酔ったんか?」

「分からない……何か頭がぽーとする」


あぁ身体が熱いなぁ……これ酔ったんじゃにゃいか? いやいや、そんな急に酔う事にゃんて……ある筈にゃいよな?


「目がとろーんとしとるな、もうここでお開きにするか」


鬼騎が俺のグラスを取る、うん俺もそうした方が良いかもしれにゃい……あれ? 視界がゆが……んでき……た。


「しかしこんな弱い酒で酔うもんなのか? ……あっ! まさか!」


すんすんと俺の酒の匂いを嗅ぎ何かを思い出す、あはは……何か鬼騎が慌ててるにゃぁ……変なのぉ。


「あの時しぃ坊に酒をぶっかけたな……その酒の匂いで酔ったんか!? あっあり得る……なんせあの酒は魔界1アルコール度数の高い酒だからな……匂いだけで酔う可能性も……くっ!」


だんっーー

カウンターに手を叩き付ける、あぁナッツが吹っ飛んだ……勿体にゃい、そう思ってナッツを摘まんで、ぱくりっーーと口に入れる。


「おっおいしぃ坊! ナッツ食べてる場合じゃ……」

「そうだねぇ、食べてる場合じゃにゃいねぇ、あははははぁ…」

「は?」


そうだな……って言っただけなのに何故口をポカーンと開けてるんだろう? あっ、もしかして鬼騎も酔ったにゃ?


「ははは…世界がまわりゅぅ」

「えっ……おま……」


ガタガタと震えれる鬼騎、うん間違いなく鬼騎も酔ってるにゃ。


「鬼騎も休まなきゃだめにゃよぉー……あははぁ」


そう言って、まじまじと鬼騎を見ていたその時だ。

バタァァァンッーー

と勢い良く扉が開かれる、何事だと思って後ろを振り向いて見ると、はぁ…はぁ…ーーと息を荒げるヴァームが目をとろけさせ、(よだれ)を滴して俺を見ていた。


「ヴァーム!? 何故此処に来た!」

「うふふふ…それは勿論、盗聴と探知の魔法をシルク様のドレスに掛けていましたから……」

「なっ! 何をしとるんだ貴様は!」


にゃんだか良く分からないけど、ヴァームも酒を飲みに来たのか? ゆっくりこっちにやって来るヴァーム、そう言えばドラゴンってお酒強いのかにゃ? うおっとっ……身体がふらつくにゃぁ、その時ふらつく身体を近寄って来たヴァームが支えてくれる、有り難いにゃぁ……するとヴァームはカウンターに手を置き鬼騎をにこにこと微笑みながら見つめる。


「ふふふ……鬼騎さんが私の作ったドレスに酒を吹き掛けた行為は万死に値します、ですが良い物を見せてくれたので今日の所は許します」

「ぐっ…」


鬼騎の表情が苦しくなった、酔ったのなら休めばいいのに…仕事熱心だにゃぁ、とここで何かの気配を感じ後ろを振り向いてみる。


「萌えの! 波動を! 感じるのじゃぁぁぁっ!」

「ロアし嬢っ!?」


あっロアだ! ロアも飲みに来たのかな? 鬼騎は物凄くビックリした顔してる、あはははぁ面白いなぁ……。


「くふふふっ、これは色々ネタに出来るのぅ」


あっ、ロアが近くに来て頭撫でてくれてる、少しくすぐったいけど……気持ち良いなぁ。


「さてシルク様はすっかり酔ってしまわれたので私が隅々まで看病しますので帰ります、良いですよね?」

「かっ看病って……貴様っ何する気だ!」


腕を振り声を荒げる鬼騎に対してヴァームは妖艶な笑みをして答える。


「うふふふ……看病は看病ですよ、お分かりですよね?」

「隅々まで見てやるのじゃ!」

「っ」


何だかよく知らないけど、鬼騎の震えが半端じゃない。


「すまんしぃ坊……」


ん? 何故謝るんにゃ? 変なの……そう思っているとロアが俺をお姫様抱っこしてくる、わぁたかぁい……あははぁ、何だか楽しいなぁ。


「ではシルク様、もう寝ましょうか……あっ、その前にお着替えしましょうね」

「はぁい」

「わらわも着替えを手伝うのじゃ!」


ヴァームとロアは本当に良い奴だにゃぁ、心から感謝しよう。


「こっこれはやっばいですねぇ、まじでやばいですっ、ふふっ……ふふふふふふふ……」


ヴァームは妙な笑いをするしロアは何時も以上ににこにこしている、(にぎ)やかな時間だにゃぁ。



その後俺はロアの腕の中で寝息を立てて寝てしまった、それから何処へ連れて行かれて何をされたのかは朝になって分かった、その時俺が発した言葉は「誰だこいつはぁぁっ!」だった。

朝「頑張って撮影したんですよー」と言ってヴァームが見せてくれた、その中にはとろけきった言葉を言いまくって素直に着替えをさせられ撮影される俺がいた、いや! これは俺じゃない! 間違いなく俺じゃない! そうこれは俺じゃなんだ!こいつは俺のそっくりさんだ!



さて今回の事で俺は心に深く誓った事がある、これは今後の教訓にもなるだろう。

どんな状況になろうとも絶対に俺は酒を飲まない、誰かに誘われてもな! 酒を飲んだ結果朝から羞恥プレイをされ心が全く休まらない……あぁ俺の悩みは何時解決するんだろうな、苦悩しつつも時は進む、さぁ! 今日も頑張ろう! ってこんな心境で頑張れるかぁぁぁぁ!!

多分、酔いつぶれシルクを書く事はないだろう。

今回限りのレア?なシルクですっ。

……俺は何を言ってるんだ。

こほんっ、えと…何時も読んで頂き有難うございます!

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