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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
いつでもどこでもドタバタ生活(らいふ)!
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雨の城下街……魔物達は傘をさして歩いている、人も魔物も雨に濡れるのは嫌なんだな。


「ほれ、着いたぞ?」


若干不満な顔でロアは俺とアヤネを目的地である雑貨屋まで連れてきた、ロアが不満顔なのはあれだ、ここに来る時に俺をお姫様抱っこ出来なかったからだ、だったらどうやって来たかって? 俺がアヤネにお姫様抱っこされ、アヤネがロアの肩に乗ってロアが走って移動してここまで来た、まさか本当にやるとは思わなかった、大道芸見たいで面白かったと思ったのは内緒だ。

アヤネはロアの肩から飛び降りて俺を降ろしてくれる。


「ありがとなロア」

「ありがと」


ふんっ……鼻を鳴らしたロアは、ずびしっとアヤネに指差す。


「くれぐれもシルクに変な事をするでないぞ?」


それだけを言い放ちロアは走って城へ戻っていった、残された俺とアヤネ、何か気まずい……取り敢えず何か話そうか、と思ったら……。


「良い感じのお店……シルクはセンスある」

「そか、建てたの俺じゃないけどな」


アヤネが先に話した、俺の言葉に疑問を抱くアヤネだったが……まぁいいやと思ったのか、雨に濡れる髪を気になるのか黒髪ポニーテールの毛先を指でいじり始める。


「これから散歩するんだろ?傘貸そうか?」

「ん、借りる」


外は雨、小雨だがそれでも濡れてしまう……なので言ってみた、風邪を引かれたら困るからな、と言う訳でアヤネを店の中に案内する。

カランカランーー

綺麗なベルの音色が優しく店内に響いた、アヤネの目に広がったのは沢山の商品、静かな雰囲気の店内、そしてその静かな雰囲気をぶちこわす魔物(ばか)達の姿。


「ラキュ様是非これを着てください!」

「いやっ、これ着て罵って下さい!」

「なっなら俺がこのビキニアーマーを着るから冷ややかな目線を下さい!」


うん、店も何時も通りだ……何時も通りカオスな営業が始まってる、これはラキュを助けなきゃいけないな。


「アヤネ、少し待ってくれるか?」

「ん」


悪いがアヤネには待ってもらおう……と、ここで1つ疑問に思った、こんなカオスな状況を見てると言うのに動じてない、普通なら声上げて驚く所なんだけどな……まぁアヤネの事だ、きっと「お祭りかな?」と頭の中で考えてるんだろう。


「ラキュ、先に来てたんだな」


俺は客を掻き分けてカウンターの前に立つ。


「来たくなかったんだけどね……ヴァームに襲撃されてここに連れてこられたんだよ」

「そっそれは御愁傷様……」


黄昏るラキュに俺はこう返すしかなかった、よしっ! ここは一緒に働いてラキュの負担を減らすとするか、そう思った俺はカウンターの内側へ行く、そこに立った瞬間……客の目がぎらりと妖しく輝いた。


「うぉぉぉっ!シルクたんだぁぁぁ!」

「煩い牛男!あと『たん』をつけるな」


早速叫ぶ牛男(ミノタウロス)に突っ込んでやる、すると、シルクハットを被った見慣れた奴が俺の前に立った。


「やぁ、久し振りだね男の娘さ……」

「帰れ」


久し振りに出会った蜥蜴(とかげ)男に冷ややかな目線を向け強く言ってやる、するとその魔物は鼻を鳴らして「その態度は愛情か……」と呟いた、そんな事は無いからな?


「お前ら、商品買わないなら帰ってくれ!ここは雑貨屋なんだぞ?」

「シルク君の言う通りだよ……僕達はコスプレなんかしないからね?」


そんな事を言ったら客からのブーイング、そんなの知った事では無い、俺とラキュはコスプレをしない、しろと言われてもしてやるものか! と、決心してるにも関わらず客のブーイングは止まらない、そしたらラキュがカウンターをドンッと叩き付け怒気のこもった目を魔物達に向ける。


「それ以上ブーブー言ったら……全員まとめて埋めるよ?」


実際にやりかねない気迫だ、ドMの魔物もそうでない魔物も一斉に身震いして静になり買い物をし始める、これはラムやヴァームがいない時にのみ使える技だ……また助けられてしまったな……よし、店内も静かになったしアヤネを呼ぶか。


「おーいアヤネ……って何してるんだ?」

「この表見てるの、シルク……コスプレに目覚めたの?」


あぶないっ、あらぬ誤解を生んでしまう、阻止しなければ!


「違う、説明するからこっちこい」


手招きしてアヤネを呼ぶ、そしたらこっちにやって来る、苦笑いするラキュをよそに説明する……。


「良いか?これには深い訳があってな……」


あれがあれでこれがこれで……そんな感じで説明する、アヤネは「うん」とか「へぇ」と言った相づちをとる、分かってくれてるんだろうか?


「と言う訳だ、あの看板は偽りだ!良いな?」

「んー……分かった」


こくりっと頷いたアヤネ、ふぅ……分かってくれて良かった。


「じゃ、もう1つ良い?」


その時だ、アヤネが手を上げて聞いてきた、今度は何だ?


「シルクの隣の人は誰?確か私を縛った人だよね?」


……そう言えばちゃんと紹介してなかったなぁ……何だろう「縛った」ってアヤネが言った瞬間周りの魔物が静かにざわめいたんだが……また変な事を考えてるのか?


「じゃぁ、改めて自己紹介するよ」


そんな考えを振り払って紹介しようとしたらラキュ自ら話した。


「僕はラキュ、姉上……ロアの弟だよ、この前は縛ってごめんね?」

「ラキュ……ん、覚えた、謝ったから縛ったのは許す、だから気にしなくて良い」


にこっと笑うラキュと細く笑うアヤネ、するとラキュはアヤネに手を差し出す。


「じゃ、仲直りの握手」

「ん」


その握手に素直に応えるアヤネ、おっおい……何か仲直りそんなんで良いのか? 自分の事を急に縛ってきた奴だぞ? まっまぁ……アヤネが良いなら良いんだが……相変わらず軽い奴だなぁ。


「……あっ!」


ビックリした……突然大きな声を出すなよアヤネ、驚いて身体がびくんってなったじゃないか、アヤネはラキュの手を離し俺の方へやって来て前のめりに話し掛けてくる。


「傘」


ただ一言だけ言ってきた、真顔でじぃーっと俺の顔を見つめながらだ……あぁ、そう言えば貸すとか言ってたな。


「入り口付近にある傘、どれでも良いから持ってけよ」

「分かった、帰りたくなったら帰ってくるから……待っててね?」

「おっおぅ」


いきなりだ、いきなり過ぎる言葉だ、仲直りしたと思ったらもう外に出ていくのか? 俺に言われた通りアヤネは入り口付近の傘を1つ手に取る、そして振り替えって「じゃね」と言って外へ出ていった、また優しいベルの音色が店内に響いた。


「シルク君」


ラキュがつついてきた、そっちの方へ振り向いてみる。


「なんだ?」

「アヤネって少し騒がしい人だね」


そんなラキュの言葉に苦笑いをして応える。


「そうだな、昔から色々と対応に困ったな……あと少しじゃなく大分の間違いだな」

「くふふっ、でもそれがアヤネの個性なんじゃない?」


個性か、まぁそれは大切なんだけどなぁ、アヤネの場合は個性が強すぎるんだよな……よしっ、ならラキュにこう言っておくか。


「個性は大切だよな」

「うん、姉上は個性の塊見たいなもんだからね」


それ、ロアに失礼じゃないか?俺がそう言ったら「それもそうだね」と返してきて2人して笑ってしまった、そんな会話を楽しみつつ時間は経っていく……さて、アヤネは散歩すると言ったがどう散歩するんだろうな? 気になって来てしまった……。


やはり個性は大切ですよね?

この物語のキャラは全員個性が強いと思うのは僕だけでしょうか?


今回も読んでありがとうございました、次の投稿日は15日の0時になります!

無理な場合は活動報告で連絡します、是非お楽しみに!

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