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時は少し遡る……それはアヤネが突然言った事から始まった。
「そこの魔王、私と良い女3本勝負をして!」
うん、意味が分からない……良い女3本勝負? それが何か俺は分からなかったがロアとヴァームは分かったらしく。
「ロア様……これは挑戦状なのでは?」
「くふふふ……そうらしいのぅ、実に身の程知らずな奴じゃ」
と言う風に言って不適に笑ってた……何か俺だけこの空気について行けてないよな? なんて事を思ってたら……。
「良かろう、突然の申し出で少し戸惑ったがその挑戦受けてやるのじゃ」
「そう……」
ばちばち……って感じで2人の間に火花が散っている様な気がした。
え、何で受けるの?と思ったのは言うまでも無い。
「して、勝負の内容は?」
「料理、掃除、後は……力?」
何で最後に? を付けたのかが分からない……と言うか3つめの力って喧嘩するんじゃないだろうな?
「おっおい……何始めるか分からないがむがが」
うぐっ……ヴァームに口を塞がれてしまった、さっきまでロアの近くにいたのに瞬間移動でもしたのか!
「シルクさん……これは女同士の戦いです、他者が口を挟んではいけません」
「え……本当に戦いが始まるのか?」
俺が理解して無い内にどんどん良からぬ? 方に言っているみたいだ、だったら止めるべきだが……ヴァームに動きを封じられてそれは無理だ。
「良かろう……ならば場所を移動するのじゃ、まずは料理……戦の場はあそこが良いじゃろう」
ロアはアヤネを睨んで軽く笑って後背を向けて指をパチンと鳴らす……すると目の前の視界がぐにゃりと歪む、これはあれだ……例の転移する魔法と言う奴だ。
……あれ、これってあれか? 俺、2人の戦いに巻き込まれたって事だよな? うん絶対そうだ……何をやるのかは知らないがお互い怪我をしたりさせたりする様な事はしないでくれよ……動きを封じられている俺はこう願うしかなかった。
で、今に至る……その状況はどんな風かと言うと。
「ねぇシルク君、聞きたいんだけど……」
「すまん、俺にも何が起きてるか分からない」
転移した場所は食事をする場所だ、つまりロア専用食堂だ、そこに俺とラキュがいる、カウンター席に浮かない顔をして調理場でエプロンを着て睨み合うアヤネとロアを見ている、実はそれを見てるのは俺とラキュだけでらない……他にもいたりする。
「うふふ……愛の戦い、良い物ですね」
「はっはっはっ、乙女同士の戦い……うん、これは絵になるじゃないか」
にこにこと笑うヴァームと爽やかに笑うヘッグ、そして……この2人はこの状況を楽しんでいる、正気か?と声を大にして言ってやりたい。
「何か知らんが連れられて来たが……何じゃこれ?」
「なっ何か修羅場が起きてるですよ」
かなり動揺する鬼騎と同じく動揺するメェ、あっ……髪の毛が元に戻ってふわふわの天然ヘアーになっている、あのアホ毛も健在だ、この2人は俺とラキュ同様何が起きているか分かっていない様子、鬼騎に至っては隣にメェが座っているのに普通に動揺している、いつもなら騒ぎまくって緊張するのにだ……余程この状況に動揺しているらしい。
「では、早速準備を開始するのじゃ!」
「うん」
さて此処で誰かが「おい、何を勝手に話を進めてるんだ」と言う風に突っ込みを入れる筈だ、だが駄目なんだ……此処に連れられてヴァームが皆に言ったんだ。
「邪魔する様な行動や言葉をした場合お仕置きしますよ?」と……あのコスプレしか脳の無いヴァームがはっきりとお仕置きすると言ったんだ、そのお仕置きがどれ程の物か怖すぎて想像したくない。
だから黙る、お口チャックだ……皆は (ヴァーム、ヘッグは除く)それが怖くてそうしている。
「料理は何を作っても良いんじゃな?」
「うん、良いよ」
そんなやり取りをした後ロアが「くふふ……ならばあれを作るか」と呟く、何か知らんが本格的に料理バトルが勃発してしまった、お互いに準備に取り掛かる、すると今気付いたがこの調理場に変化が起きていた、コンロが二つあるのだ……まぁこれはロア辺りが魔法でどうこうしたんだろう、料理バトルをする上でコンロが1つしか無かったら不便だからな……。
「シルク君、アヤネって人の事なんだけど……」
その時だ、小声でラキュが話し掛けて来た。
「ん?」
「その人って、前に話した人だよね?」
前に話した……あぁ、そう言えばそんな話をした事があったな。
「あぁ、前に話した人だぞ」
「そう……」
何でそうな事を聞くんだ? まぁ気にしなくて良いか、それよりも……俺、何で手汗を掻いてるんだ? 意味もなく身体が震えてる……この状況に動揺しているんだろうが、何か可笑しいな……まぁ、これも深くは気にしないでおこう。
「2人共準備は出来ましたか?」
そんな時だ、にゅるんと床からラムが現れる、お前……登場の仕方が突発的過ぎるんだよ!
「うむ」
「ん」
アヤネとロアはお互いに用意された調理場に作き頷く、どうやら遂に始まるみたいだ。
「では、調理開始ですの!」
そう言った後ラムはカウンターを飛び越えて空いていた席に座る、因みにその席はラキュの隣だったりする、そんな中、互いに具材をまな板の上に乗せ包丁を手に取る。
えと、本当に突発的に始まった……えと何ちゃら3本勝負、その始めであろう料理対決……結果どうこうより何でこうなった?と言う思いが大きい。
でも始まってしまった物は止めようが無い、と言うか止めたらお仕置きされる、様々な思いが交錯するなかこの不思議な料理対決が始まるのであった……。
100話だー!
何時もの様に突然の展開になります、これ書いて見たかったんですよ……さぁて、気合いいれるぞー!
今度からはきちんと伏線とか考えなきゃいけないね……うん、反省。
今回も読んで頂きありがとうございました!