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女しかいない学園に男の俺が…!?  作者: ミキ
オリエンテーション山!
14/42

一旦メンバー紹介


みんなが気を遣ったのか、俺は火の番として起こされることはなかった。


その優しさが胸をえぐったが、考えないことにした。


5時半ごろに茉莉に全員が起こされ、キャンプの跡を残さないように処理をして、指定の時間に全員が移動を開始した。


「……あれ?2組たちは違う方向に行くの?」


ジャネットが皐月に聞いた。


見れば、2組の生徒たちは別の方向へ進んでいく。


「そうらしいけど」


……なんとなくだが、このあとの訓練内容がわかった気がする。


しばらく俺たちは山をぐるっと回りながら徐々に麓に降りていった。


朝食休憩を挟んで、さらに時々小休止を挟んで、2時間ほど歩いた。


そして目的地らしい、鉄塔を中心にしていくつかの山小屋が建っているなだらかな場所に着いた。


「えー、今日はここで明日まで休憩とする。各班長は荷物を置いてから私のところに来るように」


俺たちは喜んだ。


今日はこれだけの訓練で済んだということが嬉しかった。


それに山小屋だ!


屋根のあるところだ!


俺たちはわいわいがやがや騒ぎながら、各班長が鍵を渡された小屋に入っていった。


1つの小屋に2つの班が入れられた。


12人も入るとかなり狭かったが、みんな文句は言わなかった。


小屋にはシャワー室があった。


シャワー室!シャワー室だ!!とみんなで騒いだ。


タンスを開けると、布団があった。


布団だ!布団で寝れる!とみんなで騒いだ。


それはどの小屋でも同じだったらしく、そこかしこで歓声が上がっていた。


泥だらけの軍服を洗うように指示されたので、みんなシャワーのついでに大量の水で贅沢にじゃぶじゃぶと手で洗った。


パイロットスーツも洗った。


洗濯機なんてものはなかったのが残念だったが、みんな文句を言わなかった。


みんなだんだんとワイルドになってきているのが感じられた。


今日の夕食を狩りに行けと言われても、ぶーぶー文句言いながらも結局狩りに行くだろうと思ってしまうほどだった。


俺はというと、とにかくシャワーが覗かれないのがこんなにも安心することだということに涙を流した。


いや、泣いてない。


石鹸が目に入っただけだ。うん。


みんな石鹸のいい匂いになって、支給されたシャツとズボンを履いて、心地良い日差しの下に軍服とパイロットスーツを干した。


本当に久しぶりに文化的なことをした気分になった。


全員、上機嫌な表情になった。


そうなるとなんだかうきうきしてくる。


俺たち生徒は全員、頭のネジでも外れたかのように、始終ずっとにこにこしていた。


しばらくして昼食の時間になって、カレーを食べることになった。


いろいろな配慮をした結果、チキンカレーということになった。


各小屋ごとに米を飯盒で炊いて、大鍋でカレーを作った。


俺にいろんな仕事が回ってきたが、ちっとも不快でも不満でもなかった。


たぶん、頭のネジが本当に外れたのかもしれない。


なぜか世界のすべてが輝いて見えた。


野外で生活をするということがどんなに過酷だったかを思い出し、そのギャップによって輝いて見えるのだろう。


うーん、文化的って素晴らしい!!


でもこいつらが俺の着替えとシャワーを覗いたということは忘れないぞ……。



**********



「この後の訓練の指示が出たぞ」


皐月とクロエが小屋に帰ってきて言った。


昼食後、腹がくちくなった俺たちは小屋の中でごろごろしていた。


行儀としては最低だが、もはや誰も気にしていない。


ちなみに俺たち皐月班はクロエ班と同じ小屋であった。


じゃんけんの結果、皐月が勝ったので、統合されて皐月分隊となった。


皐月分隊は総勢11人。


小屋を割り振られたときに、改めて全員が自己紹介をすることになった。


狭山皐月


黒髪ポニーテールで目つきが鋭く、いつも気難しそうな顔をしている覗き魔むっつり。


畠山香織


明るい髪色のボブで、おっとりとした覗き魔むっつりメガネっ娘


重松茉莉


烏羽色の艶のある長い髪に、人形みたいなくりっとした目の見た目小学生の覗き魔むっつり。


ジャネット・コリンズ


ふわふわした金髪ロングのそばかす覗き魔notむっつり。


クロエ・ジュベール


金髪碧眼の最近仲直りした覗き魔むっつり。


リル・ポワティエ


クロエのルームメイトで赤髪、ショート、緑眼、無口覗き魔むっつり。


シャーロット・ロビンソン


小柄な茶髪の小動物系女子で覗き魔むっつり。


シーラ・シェメル


外国人なのに、というのは偏見だが、セミロングの黒髪の女の子でおっとり覗き魔むっつり。


アレクサンドラ・エステス


ウェーブのかかった焦げ茶色の髪に、大人びた風貌の覗き魔むっつりガール。


愛称はサーシャ。


エカテリーナ・フレイベルガ


さらっさらのプラチナブロンド、タレ目、堂々としている雰囲気の覗き魔むっつり不思議っ子。


愛称はカーチャ。


そしてこの俺。


傷心の覗かれっ子、有栖川優の総勢11人。


この分隊員全員が俺のシャワータイムを覗いたのかと思うと、正直貞操の危機を感じないでもない。


正面から来るんなら大歓迎なんだけど、ああいうのは好かない。


興奮の前に、何か危機感のほうが勝ってしまうのだ。


できるなら、初めてはもうちょっとロマンチックな、こう、何かがあってもいいじゃないか。


乙女チックと笑うなら笑え!コンチクショー!


まあそして何とも酷い光景なのが、11人中9人が小屋の中で寝っ転がってごろごろしているということである。


うーん、8人の美少女たちがごろごろしている光景は素晴らしい!


だが休憩中とはいえ訓練中にごろごろしているというのはどうなのだろうとも思わないこともない。


でも体は動かない。


全身がだらだらしたいと告げている。


「ええい!立ちなさい!」


皐月が怒鳴った。


クロエはやれやれといった様子だ。


寝転がっていた俺含む9人は、仕方ないというふうにだらだらと立ち上がった。


「……チッ、まあいいわ。そのまま聞きなさい」


舌打ちはあかんやろ。


「今日はこのまま自由行動となりました」


9人全員が喜びの叫び声を上げた。


「うるさい!黙って聞きなさい!明日の訓練は特殊ペイント弾を使用した模擬戦を行います!」


やっぱり、といったところだ。


わざわざ特殊ペイント弾を持ってくるのだから、それが目的だろうと思っていた。


それはみんな察しがついていたようで、カーチャ以外はやっぱりという顔をしていた。


カーチャだけが、かなり驚いた顔をしている。


……アホなんだろうか。


カーチャのことは講義の最中にも目立っていたので覚えている。


いつも窓の外を見ていて、教官にいつも注意されていた。


あとふらふらといつも散歩しているのをよく見た。


足を組んで座ってぼーっと外を見ている様子は、写真にでも撮れば女王様のように泰然自若としていて絵になるのだが、どうも本人自身の性格はそういうものではない。


ただ、射撃の腕はかなりいいみたいだった。


「で!模擬戦はフラッグ戦!目標は2組の宿泊している小屋!」


「こっちのフラッグは、ほら、あそこです」


クロエが指さした窓の向こうに、青い旗が見えた。


1mくらいの棒に青い旗が金属の支えに刺さって立っている。


「ルールは敵の弾に当たったら小屋まで撤退。味方の弾とか色が区別されてて、味方の弾はいくら当たっても死亡扱いにはならないわ。ちなみに私たちの弾は青色で、敵の弾は赤色だから、赤に当たるとアウトってわけ」


皐月が淡々と説明を続ける。


俺はクロエの目線が気になった。


クロエ……、皐月が説明している間にちらちら俺の股間を見るんじゃねえ。


そっちの目線は見えてんだよこのやろう。


……カーチャはガン見するのをやめようか。うん。


こっちもね、そこまで興味津々に見られると見せたくなってくるから。


おっと、危ない。


危ない性癖の扉を開けるところだった。


「ちょっとカーチャ!聞いてるの?っていうかどこ見てんの!?」


皐月にバレた。


何だか俺まで恥ずかしくなってくる。


「ごめン。ちょっと気になっちゃッテ……」


えへへ、と笑うカーチャ。


「気になってガン見されたら溜まったもんじゃねえよ……」


「えー…、じゃあ私のも見てもイイヨ?」


マジで!?カーチャ、それマジ!?


「マジで!?カーチャ、それマジ!?」


あ、心の声が口に出ちゃった。


すぐさま皐月の前蹴り、通称ケンカキックが俺の脇腹に飛んでくる。


「マジで!?じゃないでしょ!今ブリーフィング中なんだから黙りなさいよ!」


「はい。すいませんでした」


もっともな意見であるので、脇腹を押さえながらも素直に謝っておく。


「ったく、えーとどこまで話したっけ?……クロエ?」


クロエの方を向くと、皐月はクロエもおかしな方を見ていることに気付いたようだった。


怪訝そうな顔で、クロエの目をじっと見ている。


「え、ああ、説明ですよね、その、味方が青で敵が赤ってところまで……」


「……はぁ。その味方の弾はノーカン。で、敵に撃たれたら撤収。この小屋まで戻ってくる。戻ってきたら服を洗って、教官の確認を受けて、それから着替えをもらって戦線復帰。明朝ヒトマルマルマル時から訓練開始。ルールはこれで以上。質問は?」


全員がその場で腕組みをして考え込んだ。


ちょっとしてからシャーロットが手を挙げた。


「怪我をした場合は退場?どの程度までの怪我なら戦闘を継続できる?」


「擦過傷くらいでしょう。感染症の危険性もあるから、そのときは直ちに正しい処置をすること。そうね、自分一人で処置できないくらいの負傷が退場の基準だと思うわ」


次に茉莉が手を挙げた。


「装備はどういう装備なんだ?ベルゲン背負って行くのか?」


うんざりした顔から、もう背負いたくないという気持ちが非常に透けて見える


「それは自由だそうよ。何も持たなくてもOKだし、逆にベルゲンに持てる限りのものを詰めるのも問題ないわ」


次にサーシャが手を挙げた。


「制限時間はあるのー?」


「制限時間はないそうよ。相手のフラッグを倒すまで、ずっと続けることになるわ」


次に俺が手を挙げる。


「弾はどうなるんだ?それだけ長時間……、おい、今タマつったときに目線がこっちに動いた奴は素直に手を挙げろ」


くそ、全員目を逸らしやがる……。


「弾薬の補給はどれほどあるのでしょうかっ!!」


怒りを込めて、俺は改めて言った。


「そんなに怒らない。みんな冗談なんだからさー」


「じゃあ俺も冗談でお前らのシャワー覗かせろよぉ」


「弾薬はほぼ無限に補給できると考えてもらってもいいわ。この小屋に倉庫があって、そこにおっきな木箱が10箱くらいあったから」


「無視すんなよぉ。シャワー覗かせろよぉ」


「い、以上、ミーティング終了!解散!終了報告行ってきまーす」


あ、逃げた。



*********


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