日常3
まだ、暗く日の光も差し込まないような時間帯。星が僅かに輝きキラリと流れ星が流れた。
会社が潰れて無くなりますように
と晃は急いで三回唱えた。
「よし!」
何が良いのかわからない。
本日も目の前に愛車様がおられる。
暗いためライトで照らしながら、早速点検を始めた。
ほんの僅かなことかもしれないが、キチンと点検をするだけで生存率はグッと上がる。
特にバイクは身一つな上に、転ければ時には死への片道切符だ。
大型の車に牽かれれば五体バラバラだって夢じゃない。
それ程危ないのに何故のるのか?
それは、秘密です。
一通り点検が終わると今度は暖機を始めた。
出る前はキチンと暖機をしないと、エンストを起こしてしまうことがある。
坂道やカーブなんかで、エンストしてしまった日には下手をすれば御陀仏だ。
総重量200㎏に押し潰されかねない。
もしくは、バイクが破損することは避けられない。
だから念入りにチェックや暖機などをしておくに限る。
ブォンブォンとエンジン音が辺りに響いた。
会社の荷物を積み、ライダー特有のジャケットからヘルメット、プロテクターまで全てを装着する。
これら全てを総額にすると、数十万はする。
なんといっても、身を守るものだ。
車と違い、失敗すれば独りで空を飛べて場合なよっては死への片道切符だ。
少しでも、安全な方が良い。
ご近所様に朝から煩くしてごめんなさいと、心の中で詫び入れつつソッと愛車に跨がった。
今日も会社と言う戦地へと向かう。
今日もがんばろう…
フニャフニャとしたやる気のない顔をしていた晃だが、
目の前を軽自動車が走った瞬間に目つきが代わり全力で追い回し始めた。
凄い爆音と共に兄が会社に出勤したのを確認して、伸と三咲は起きた。
相変わらず凄い音だ。目が一発で覚めた。
目覚ましの代わりのようだ。
眠い目を擦りながら、二人はジャージに着替えてランニングに向かう。
二人の朝の日課だ。
タンタンとリズミカルに、二人は朝焼けの道を走り出す。
晃が点検していた時間よりも、わずかに日の光が差し込み始め、二人の走る道を照らし出す。
朝焼けのアスファルトが、なんとも言えない色合いに輝き心が踊った。
朝の空気も澄み切り、とても気持ちがよい。
整備された道の木々も目を覚ましたかのように風に揺れている。
夏の蒸し暑さも忘れて二人は走った。
武道をしている二人にとっては、このランニングは大切な日課だ。
武道の作法を行うに置いても、丹田から下の足腰は重要な役目を担っている。
こうした毎日の積み重ねが、強さを作って行くのだろう。
二人は黙々と走り続けた。
無言のランニングも終わり、家で汗を拭う。
息が切れて汗だくでベタベタだが、どこかスッキリとしており完全に覚醒した。
授業中には、よく寝れるだろう。
先生が聞いたら、激怒するような事が思い浮かんだ。
「あぁ疲れた」
ランニング後の静寂は伸によって容易く破かれた。
「そうだな、なんでこんなに頑張ってんだろな」
三咲は柔らかい髪をクルクルと指に巻ながら苦笑した。
「えーランニングが好きだからじゃない??汗かくとスッキリするしさ」
お気楽なし伸らしい返事だ。
「そういやさ、みー兄ぃ昨日だけどさ!母さん相変わらずいきなりだよな!俺らの都合まるっきり無視だもん!」
ブーブーと頬を膨らまして、ぶーたれる弟に苦笑いで答え少し考えた。
母は唐突に予定を放り込むのは何時ものことだ。
ただ、今回なんで博物館なんて微妙な所を選んだのか少し不思議だった。
家族で出かけるのなら、出来たら、もう少し遊べるところが嬉しいし何より母がそんなに博物館などが好きなタイプではなかったはず。
まぁ考えても仕方ない。
早く朝食と着替えを済まさないと遅刻する。
少し慌てて呑気な伸を引っ張り、急いで準備に向かった。
この時までは何時も通りに1日が終わると思ってた。
コノトキマデハ




