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わかった事

作者: 高谷咲希

――――わかった事が、いくつかある。


私には、信頼できる友人がいた。

彼女には恋人がいた。

優しくて、面白くて、ちょっと意地悪で。

私は、そんな彼が好きだった。

叶うことはないと、思っていた。


彼は私に言った。

「抱きしめていいか」と。

「手をつないでいいか」と。

最初は断った。

いくら好きでも、彼女の泣き顔は見たくなかったから。

見なくても、想像するだけでも、辛かったから。

でも、断り続けるのは苦だった。

「いいよ」って、言ってしまった。


浮気相手になって、何日経ったころだろう。

彼が彼女に別れを告げた。

嬉しかった。

初めて彼女に勝った気がして。

やっと、彼女より勝るものができたと思った。


でも、それは違った。


一人になると、彼女への罪悪感で押しつぶされそうで。

彼女がふわりと笑うたび、泣きたくなって。


――――わかった事が、いくつかある。


一つは、私は結局、彼女には勝てない事。

頭なんて、あがらないという事。

一つは、こんな私でも、好きになってくれる人がいたという事。

一つは、私の周りには、素敵な人が何人もいるという事。

涙が出そうなくらい、優しくて、温かい。


一つは……。

彼女との関係は、『親友』より『恋敵』のほうがしっくりくること。


最初に繋いだ絆はそのままに、今を歩いていける気がする。

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