義父、襲来!
「だからな、私は、別にお前たち2人の交際自体に反対しようって言うんじゃない。お前は過去に、見事私の無理難題をこなしてみせた。お前のことだってある程度認めている。…だがな、節度ある付き合いをしろと言っているんだっ!まして、家で2人きりなど!」
「だ、駄目でしょうか…?」
「駄目だと言っているだろうが、この義息子っ!あんな可愛い娘を前に、貴様を正気を保てるんか!?」
「確かに……い、いや!そ、それくらい耐えてみせますよ!てか今まで俺がどんだけ柚花の可愛さに耐えてきたと思ってるんですか!?」
「口でなら何とも言えるだろうが!さっきの状況はどう説明するんだ!?」
「いや、あれはちょっと説得を…」
そのとき和室の扉がバンッ!と開いた。
立っていたのは、柚花である。柚花は、リビングで待機させられていたのである。
和室にて光邦さんに事情聴取を受けていた俺は、告白の最中だったために、扉の向こう側の柚花の様子が気になって仕方がなかったのだが。
今の柚花はそれよりも、俺に詰め寄る自分の父親にちょっとばかし腹を立てていた。
あ、もう俺の告白忘れられてるわ、コレ。
「もう、お父さん!いい加減にして?蒼くんを困らせないで!」
「し、しかし…」
「お・父・さ・ん?」
「あ、ああ、はい…」
柚花を溺愛している光邦さん。娘に牽制されては、強く出れなかった。
「蒼くん、ごめんね?」
「いや、構わないけどーーー」
俺も俺で、柚花に告白したことよりも、優先すべき懸念すべき事項があった。
近くに寄った柚花にこっそり、耳打ちする。
「…柚花って、ご両親に俺と別れたこと、伝えた?」
「あ…!ううん、まだ…、い、今言った方がいい?」
とんでもないことを言い出した柚花に、頭を下げる勢いでこそこそ叫んだ。
「す、ストップ!一生のお願いだから!それ絶対言わないでほしい!言ったら、光邦さん、二度と復縁許して貰えないと思うので…」
「あ、うん、そ、そうだね…それは大変だね!わかった!う、うん一生黙っとくね!!」
……この子、本当に俺と別れたのかな?
俺が頼めば、何でも了解しそうだから困る。
一生黙っておいてくれるなら、こちらとしても本望だが、それしたら柚花は二度と俺以外と付き合えないことになるんだけどな…。
柚花は、何か気付いたようにハッとした。
「あれ?ねえ蒼くん。じゃあ、私たち…私のお父さんとお母さんの前では、彼氏彼女として過ごさなきゃいけないね…?」
「一生のお願いです。駄目でしょうか?」
わざとらしく、しかし、自然に表情をキメた。
……自分で言うのは、恥ずかしいが、知ってる。
柚花はめちゃくちゃ俺の顔が好きなのである。
付き合ってる間、何度顔にラブコールされたか…。
まあ、柚花が好きでいてくれるなら俺の内面だろうが外面だろうが、あまり気にならない。
ありがとう、父の遺伝子。
流石、美人の母さんを骨抜きにしただけはある。
柚花は、はぁ〜っ!と息を吸った。
「蒼くん、上目遣い、カッコいい…!いいよ!一生、お父さんたちには、秘密!」
ちょろすぎる…ほんと、俺みたいな男に騙されないでほしい。
やっぱ、この子俺と別れたの忘れてない?
「さっきから2人して何をこそこそしておるんだ」
光邦さんが疑わしげな目をしている。
目力が凄い…
俺は慌てて顔を下げた。
「い、いえ、何でも…」
じー、と相変わらず、疑惑の目を向けられる。
何に対して!?
光邦さんは、はあと息を吐いた。
「しばらく見ないうちに、腑抜けおって…貴様、私の前でデレデレしおって…!うう、柚花、私にはそんな顔してくれんのにぃ…!」
私怨やん。
「よし、来い、義息子っ!抜き打ちテストじゃっ!お前が本当に柚花に相応しい男なんか、もう一度私が直々に確かめてやるわい!」
「ええ!?お父さん!??」
柚花は、ぽかんとしている。可愛い。
俺は光邦さんにならって、席を立った。
ーーー案の定来たな…抜き打ちテスト。
そろそろ来る頃だと思ってた。




