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第9話 時環アカデミー

私は驚きのあまり大声を出してしまった。


「待って待って待って!!西暦3500年!?嘘でしょ!!??」


《いえ、事実です》


「いやいやいや!!いくらなんでもそれは....」

「本当の事ですよ。ここは西暦3500年......つまり真日奈さんのいた時代から1280年後の未来です。」


..............。

真日奈の頭の中は一旦フリーズする。


「今日ってエイプリルフールだったり?」

「しませんね」


北本ははっきりと言った。その言葉に私はポカンとしていた。

絶対に認めたくない!!未来に来た!?そんなのタイムマシーンないとできないじゃん!!無理だって!!絶対無理無理!!


《マスター。現実を見ることを推奨します》


「.......はぁ〜。クロノアって絶対友達いないタイプでしょ」


私はまだ現実を受け入れられないまま、とりあえず先を急ぐ。

校長先生を待たせるのはよくないし、もういっそのことなんでも来い!!って精神で行こう......。


「それでは改めて校内をご案内します。」


北本についていく私。校舎内はどこか特別という感じではなかった。どちらかというと普通の学校。ちゃんと廊下もあり、教室、靴箱まである。


「なんか思ってたのより普通の学校って感じ....」

「エンドガーディアンを育成する学校と言っても建物内は普通の学校と何も変わりません」

「そういえば校舎に入ってから生徒と会わないけど授業中?」


校舎に入る前は制服を着た人がいたけど建物に入ってから誰1人としてすれ違わない。それにシーン...と静まりかえってる。


「今日は野外授業なので校舎内に生徒はいないんです。外にいた生徒は主に就活中の生徒ですね」

「へぇ〜野外授業か.....」


私の学校は野外授業なんてないからどんな授業かちょっと興味はある。

もしや修学旅行的な!?美味しい物食べて歴史ある場所まわって.....みたいな感じかな!!


「あの野外授業って何するんですか?」

「野外授業はエンドガーディアン科とコンシェル科で内容が違ってきます」

「コンシェル科??」

「あっ、詳しく説明していませんでしたね。申し訳ありません。時環アカデミーには“エンドガーディアン科”と“コンシェル科”と2つの科があるんです。


エンドガーディアン科は説明した通り、エンドガーディアンになるために学ぶ科です。


コンシェル科はコンシェルになるために学ぶ科です。コンシェルとは、エンドガーディアンと人生本を繋ぐ仲介役のことです。ごく稀ですが人生本にも相性というものが存在するらしく、どのエンドガーディアンなら相性が合うか探す役目もあります。簡単に言えばエンドガーディアンをサポートする科ですね」

「それだけエンドガーディアンは大変ってことなんですね.....」

「そうです。それと、裏屋さんは時環アカデミーのコンシェル科の卒業生なんですよ」

「え.........え??」


北本さんの話によると、時環アカデミーのコンシェル科を首席で卒業したらしい。卒業後は西暦2220年で書店を開きつつ、エンドガーディアンをサポートしていたそう。

え......やば。


「おっと、話が脱線しましたが野外授業についてですね。エンドガーディアン科は森に行って動物と会話する授業、外国で2人1組になってホテルまで帰ってくる授業、あとは滝に打たれる授業を2泊3日で行います」

「え........それさ、もう修行だよね??」


なんか思ってた感じじゃなかったっ!!!

全然違ったぁぁ!!っていうかそんなことして生きて帰って来れるか!!!


「エンドガーディアンになるためには必要なことなんですよ。そしてコンシェル科ではパソコン等のシステム機器を作る授業、夜中にホテルを抜け出す授業、あとはひたすら勉強する授業を2泊3日で行います」

「コンシェル科も意外とやばかった.....」

「コンシェルになるために必要なことなので」


話の次元が違いすぎる!!

しばらくそんな感じの話を聞きながら歩いていると校長室が見えてきた。“校長室”と書かれた看板がレトロ風のドアに付いていた。私は緊張のあまり息を飲んだ。そして北本がドアをコンコンとノックした。


「北本です。安西真日奈さんをお連れしました」

「入れ」


ドアの向こうから男性の声が聞こえて、北本はドアを開ける。校長室にはソファーが2つあって壁際には本がぎっしり並べられていた。


「失礼します」

「し、失礼します!!」


私は北本の後に続くように言った。目の前には机に肘を置いてこちらをじっと見ている校長先生がいた。イメージとは違い、見た目はまだ若い。20代か30代くらいだろうか。


「よく連れて来たな北本先生」

「校長先生のご指示ですので」


校長室に入って2人が話し始めた瞬間、場の空気が一気に重くなった。こんなのは初めてだ。余計に緊張して力が入る。


「お前が真日奈とやらか?」

「は、はい!そうです!」

「ほぉ〜?」


校長は椅子から立ち上がり私の目の前まで歩いて来て顔をのぞいて来た。


「ん〜......ちょー可愛いじゃん!」

「.....え?」

「写真で見るより実際見た方がちょ〜可愛い!!ツーショット撮ってみんなに自慢しようかな!!」


たった今、校長先生へのイメージが壊滅しました。

校長先生??え、本当に校長先生??え?え?


「はぁ.........迷惑だからやめなさい満」

「えぇ〜いいじゃん!!だって転校生なんて滅多に来ないよ!?」

「まだ入学すると決まったわけじゃない」


私を置いて話し始める2人。


「あ、あの.......」

「!すいません真日奈さん。ほら、自己紹介から」

「分かったって....。僕がここ時環アカデミーの校長、神永満(かみながみつる)だよん!!仲良くしてね✨」


校長先生というイメージを壊し、もはや生徒だとしか思えない性格の人だった。

もしかして未来の校長先生ってみんなこんな感じだったりする??


<続く>

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