Chapter3 真日奈の苦悩
「とりあえず人が多いところには出たけど...」
道幅が広くなっている道路。いろんな人たちが歩いている。
「この中から探すの無理じゃん...。まあ考えても仕方ないか」
真日奈は一度深呼吸をして仕切り直す。そして意を決して声をかけやすそうな女の人に話しかける。
「す、すいません!聞きたいことがあるんですけど〜」
「え?ごめんなさい。急いでるので」
女の人は急ぎ足で行ってしまった。真日奈は結構傷つくなーと思いつつも続ける。
「すいません!今大丈夫ですか?」
「あら〜ごめんなさいね〜今日は孫の誕生日なのよ」
「すいません!聞きたいことが...」
「これからデートなの!急がなきゃ!」
「もう!なんでうまくいかないのー!!」
真日奈は近くのベンチに座り、肩を落とす。聞きたいことすら聞けなく、この先真っ暗だという顔をしている。そんな時ふと思い出してウォッチをみる。
[残り時間:23時間]
「かれこれ40分経っちゃったんだ。本当どうしよ。このままだとハッピーエンドにもできないし帰れないよ!!」
深いため息をついて考える。
その時だった。
「お嬢さん。さっきからため息ばかりついてどうしたんだい?」
「え?」
今まで地面に向けていた顔を上にあげる。
するとおばあさんが立っていた。
「さっきからずっとため息ばかりじゃないか。困ってるのかい?」
真日奈は藁にもすがる思いで聞いてみる。
「私、裏屋吉太郎って人を探してるんだけどなかなか見つからなくて...」
「おや、よしくんのお友達かい?」
「おばあちゃん知ってるの!?」
「知ってるも何もうちの孫だよ」
「えーー!!」
真日奈は嬉しさと驚きで頭がいっぱいだった。さっきまであんなに大変だったのに落ち着く暇もなくいろんな情報が一気に飛び込んできた。真日奈は一旦深呼吸をして改めて聞く。
「私、吉太郎に用事があってさ。家教えて欲しいんだけど」
「ちょうど帰るところだったし、一緒に来るかい?」
その誘いがすごく嬉しくて飛び跳ねる。
「うん!」
そしてその場を後にして吉太郎の家へ向かう。真日奈は安心しきった顔でおばあちゃんと並んで歩く。
「よしくん、友達がいるならいるって言えばいいのにね〜」
「え?」
その一言で真日奈は歩く足が止まってしまった。
「おばあちゃんなんか知ってるの?」
「おや?よしくんのお友達じゃないのかい?」
真日奈はおばあちゃんの方へ走っていき慌てた様子でごまかす。
「えーと...あのー...すごーく小さい時に一回遊んだだけで...その...覚えてないかもしれないな〜って!」
「おやおや。そうだったのかい。」
真日奈はほっと心を撫で下ろす。
そしてまた歩きながら話をする。
「よしくんは全然友達の話をしないから心配してたんだよ。学校は楽しい?お友達はいるの?って聞いても答えてくれないんでね〜」
「そうなんだ...」
真日奈はもしかしたら友達できてなくて困ってるのかな?と予測した。とりあえず行って話をしないことにはわからないので家に向かった。
「ここだよ」
「ここ?」
どうやら家に着いたようだ。そこは一軒家だが少し昔の時代ということもあり外壁が剥がれかかっていたりしていた。すごく正直に言うと“ボロい家”だった。
-ガラガラ-
「今帰ったよ」
おばあちゃんが中に入ってこっちを向きながらおいでと手をふる。それに気づいて急いで後に着いていく。
「おじゃましますー」
家の中も家具家電はあるけど本当に昔って感じのものだった。
「よしくん!お友達が来てくれたよ?」
おばあちゃんは扉の前で言う。だが返事は返ってこない。
「ごめんね〜。いつもこんな感じなのよ。お茶でも入れるからゆっくりしていってちょうだい」
おばあちゃんが真日奈に言い、お茶の準備をしようとしていた。
「おばあちゃん。私と吉太郎の2人で話をさせて」
「ええ...。それじゃあお茶を入れて待ってるわね」
おばあちゃんが戻り、真日奈は扉と向き合っている。そして扉の向こうにいるであろう吉太郎に話をする。
「ねえ、なんでこの部屋にずっといるの?」
<続く>
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次回!「Chapter4 吉太郎」