第16話 新しい友達
「わざわざありがとうございます」
私は馬車に乗り、しばらく揺られる。
車しか乗ったことなかったからわからなかったけど意外と馬車もいい。むしろ私は馬車のほうが好きかも。
「気にしないでよ~、おじいちゃんの馬車を直してくれたお礼だからさ! それより、まだ名前言ってなかったね。私は山井幸来。高校2年生、17歳だよ!」
「高校2年生!?同い年だ!!私は安西真日奈!」
「え!同い年だったんだ!ビックリ!!ねぇ、どこの学校通ってるの??」
私は「え~と…」と口ごもる。
通ってる高校言ってもいいんだけど、この時代の人からしたら「え、どこ?」ってなるよね。時環アカデミーって言いたいけどまだ試験受けてないし〜......。
私は腕を組んで悩む。
「あれ?その腕に付いてるのってもしかしてクロノリング??」
「え?」
幸来は真日奈の腕についていたクロノアを指差す。
「そ、そうだよ、私の相棒のクロノアって言うの」
「やっぱり!!クロノアって言うんだ〜私も着けてるんだよ」
そう言うと袖を少しめくってクロノリングを見せてくれた。
形も色も北本先生が着けてるクロノリングに似てる....。つまり新型ってことかな。
「へぇ〜!名前とかないの?」
「私はないよ?むしろ真日奈みたいに名前つける方が珍しいもん」
私はさらにグサっ!と心へのダメージを食らった。
分からなくもないかも。機械に名前つけてるってことだし、なかなかそんな人いないよね....。
「もしかしてクロノアを付けてるってことは時環アカデミーの学生だったりする??」
幸来の口から“時環アカデミー”と言う言葉が出てきて驚く。
「え〜っと、その....実はまだ試験受けてなくて....」
「てことは時環アカデミーの試験受けるんだ!」
「うん、そのつもりなんだ」
「入学試験、想像を絶するくらい独特だから気をつけてね?」
「想像を絶する.....」
一体どんな入学試験を考えているんだ?あの校長先生は.......はぁ〜.......ん?
「なんで幸来が時環アカデミーの試験のこと知ってるの?」
よく考えてみたら知ってるよ〜的な口ぶりだったし。受けたことあるのかな?
「知ってるも何も私、時環アカデミー エンドガーディアン科だもん」
「ええぇぇ!!??」
「そんな大声で驚くことじゃないでしょ!」
つい大きい声を出してしまった。
「驚くことだよ!私、絶対入学したいんだけど試験内容分からなくて困ってたんだから!!」
困り果てた末、たどり着いたのがショッピングだけど。
「そんなに入学したいんだ、でもなぁ〜試験内容を話すのはダメだって口止めされてるし......アドバイスくらいならあげれるかも!」
「アドバイス!?私なんでも聞くよ!!」
「ん〜そうだなぁ〜.......家に帰るまでが試験だよ」
「家に帰るまでが試験??」
私は首を傾げる。
家に帰るまでが試験ってあれかな?家に帰るまでが遠足だからね?的なやつかな?
「そっ!だから頑張ってね!」
それからしばらく馬車に乗りながら話しているとようやく街が見えてきた。
「ほら、見えてきたよ?あれが“アルタレニア街”。学園都市の中で一番大きい商店街だよ」
遠目だがしっかりと見える。今走っているのどかな風景とは明らかにそこだけ違う雰囲気がある。
「へぇ〜!すごい大きい商店街だね!」
「アルタレニア街にはた〜くさんの物が売ってるから中には珍しい物もあるかもよ?」
「楽しみだなぁ〜、そういえば幸来は馬車に乗ってどこに行く予定だったの?」
「アルタレニア街の商店街に牧草を取りに行くところだったんだよ」
「牧草!?もしかして牧場やってるの?」
「そうだよ。今日はアカデミーがたまたま休みだったから家の手伝いをしてたんだ。そしたら牧草が無くなってることに気づいて行きつけの牧草屋さんに連絡したらすぐに取り寄せてくれたから今から取りに行くって感じ!」
幸来は笑って答えた。
その途中で釘が.....ってことだったんだ。
「真日奈は何にか欲しい物でもあるの?」
「私は....気分転換に買い物でも?ってクロノアと」
「もしかして真日奈って引っ越してきたばっかり?」
「そ、そうなの!入学試験受けるために最近引っ越してきたばっかりで何も分からなくて.....」
我ながらいい嘘がつけたのではないだろうか?嘘には変わりないが内心そう思っていた。
「やっぱり!じゃあさ、私が案内してあげるよ」
「えぇ!?でも幸来は牧草が....」
「ホッホッホ、それはワシの仕事じゃな。若者はたくさん遊んでくるといい」
「ありがとうおじいちゃん!」
おじいちゃんが牧草を取りに行くことになった。その間、私は幸来と一緒に商店街を回ることにした。
<続く>




