第15話 暇つぶし
北本先生を見送った私は玄関で立ち尽くしている。
「このあとどうしよう...」
試験対策をしようにも問題が分からないのでできない。かと言って何もしないで過ごすのも嫌だ。
「ねぇクロノア、暇つぶしに何かできることない?」
《暇つぶしですね。検索します........マスターにおすすめな暇つぶしが一件ヒットしました》
「どんなこと?」
《ショッピングです》
「え、ショッピング?」
私は「えぇ〜」と呆れた。
「ショッピングっていつでもできるし、私、お金持ってないから何も買えないよ」
《現金については北本様より、資金を頂戴しましたので問題ありません》
「え、嘘....、っていうかいつの間にもらってたの!?」
クロノアによると私が書類にサインしてる時にだって。まぁ、何もすることないし?ショッピングに出かけるのもいっか。
「じゃあショッピング行こっか!私、この土地よく知らないから案内は任せたよクロノア」
《はいマスター。それではナビを開始します》
クロノアのナビの元、ショッピングに出かけることにした。寮の外に出て敷地内を通り、いよいよ学校の外へと出た。
「どんな街並みなのかな〜?きっとすごいもの見れると思うんだけどな〜」
《マスター、何も変わりませんよ》
「変わらないことないじゃん。だって私のいる時代から何年経ってると思ってるの?」
歩きながらクロノアと話す。ようやく建物が見え始め、道路も見えてきた。建物の作りは全然変わらない?感じがする。しばらく辺りを見回しながら歩いていると、何故か道路上を馬車が走っていた。
「え?馬車?しかも道路の上を??」
私は馬車に見入ってしまったが気のせいだろうと足を進める。しかしその後もすれ違うのは馬車ばかり.....。
「ちょ!クロノア!!どういうこと!?」
《ようやく気づきましたか?マスター》
「“気づきましたか?”じゃないでしょ!!道路の上を馬車が走ってるっていつの時代よ!!」
《マスターから見て、左斜め上をご覧ください》
「左斜め上??」
歩く足を止め、言われた通り左斜め上を見ると看板が設置されていた。
「えっと....“この先通学路につき、馬車以外の乗り物は禁止”...........え??」
《この先は通学路なので、馬車以外の乗り物が禁止されています。ですので学校への送迎も馬車のみです。よって何も変わりません》
「変わりあるでしょっ!!っていうか変わりしかないし!!だいたい私がいた時代でも馬車はあんまり見かけないよ!?」
私はクロノアに驚きをぶつけたものの、「変わらない」の一点張りだった。つまり受け入れるしかないってこと。仕方なく、止めていた足を進める。
「何が“何も変わりませんよ?”だ。全然変わってるじゃん....」
クロノアへと愚痴を言いながらもナビを聞き、歩く。
「どうしようかのぉ〜.....」
「ん?」
すると道路の傍らで何やら困っている様子の老人がいた。その隣には同い年?くらいの女の子も立っている。
「もしかして壊れちゃったの?だからあれほど言ったじゃん、おじいちゃんの馬車古いから点検したら?って」
「今まで平気だったから大丈夫じゃろうと思って....」
「もう....」
私はその光景を歩きながら見ていた。
「もしかして壊れちゃったのかな?」
《マスター、助けに行くことを推奨します》
「え!?もちろん助けてあげたいけどさ、私馬車について知らないし、なんだったら触ったこともないんだよ?」
《マスターなら大丈夫です》
私は渋っていたが、クロノアが言うので声をかけてみることにした。
大したことできないと思うけど......。
「すいません、どうかしたんですか?」
「ああ、ちょっとここの釘が緩んで取れてしまってのぉ〜」
「おじいちゃんの馬車、ボロかったから仕方ないんだけどこのままじゃ家に帰れないし.....」
私は2人の話を聞いた。
けど、ん??.........ってことは?
「え〜っと、釘を打てばいいんですか?」
「そうじゃ、ハンマーも釘も積んでいたからあるんじゃが」
「釘を打つなんて昔のこと、職人さんくらいしかできないから悩んでるの」
「昔のこと......」
私はちょっとショックを受けた。
そっか、この時代の人にとっては昔なんだ....。建築だって進化してるだろうし、釘を打つなんて機会ないか......。
私は、小声でクロノアに話しかけた。
「もしかして分かってたの?」
《一度教えたことなので分かりますよねマスター》
やられた。絶対分かってたんだクロノアは。
「あの!私、釘を打てるのでお手伝いしましょうか?」
「えぇ!?」
「なんと!!じゃあお嬢さんにお願いしようかのぉ」
私は老人からハンマーと釘を受け取り、緩んで取れたという場所に釘を打ち込む。
なんか懐かしい感じ。クロノアと出会ったばかりの頃、私も打ち方分からなくてクロノアに聞いたっけ....。
「ふぅ〜、こんなものでどうでしょう?」
「おぉ〜!!完璧じゃ!!」
「しかもすごく上手に打ってある!」
私は2人にベタ褒めされ、感謝の言葉をたくさんもらった。
「そうじゃ、何かお礼を....」
「いえいえ!気にしないでください!」
「でも......、あ!ねぇ、あなた歩いてるってことはどこかに行く予定だったんじゃない?」
「あ、はい。これからショッピングに行こうかと....」
「じゃあ送ってあげるよ!おじいちゃんの馬車でね!!」
そう言われ、私が直したおじいちゃんの馬車に乗ってショッピングに向かうことにした。
<続く>




