第14話 入学試験の説明
「ん......」
真日奈が目を開けると既に朝になっていた。時計がないから何時か分からないけど意外とスッキリ寝れた。体の疲れも一切ない。さすが高級ベッドと言ったところだろうか。
「朝だぁ〜」
ベッドから立ち上がり、カーテンを開けて朝日を浴びる。ぐぅ〜と背伸びをして顔を洗ってとりあえず服を着替える。制服はまだないので私服。そもそも入学できるか分からないし。
「早起きはいいよね〜」
《おはようございますマスター》
「クロノア!おはよう!私今日早起きでしょ!!」
真日奈は自信ありげに胸を張って、クロノアに問う。
《マスター。現時刻は11時45分です》
「ん?」
《現在時刻は午前11時45分です》
「.....えええぇぇぇ!!!!」
寮生活初日から大寝坊です。
「なんで起こしてくれなかったのさっクロノアっ!!!」
《マスターに言われませんでしたので》
「いやっ!私はクロノアにっ!!!」
真日奈は昨日のことを思い出すが、頼んだ記憶がない。頑張って探しているがどう頑張ってもなかった。
「頼んだ......はずだった」
真日奈は肩を落としてガックリしていた。
「...じゃないや、もうそんな時間!?北本先生が来てるかもしれない!!」
真日奈は慌てて部屋から飛び出し、寮の外へ出ようとした。
「あ、起きたんだねおはよう〜」
声をかけてくれたのは翡翠。玄関を掃除している最中だった。
「す、すいませんっ!!!寝坊しましたぁぁ!!」
真日奈は頭を下げる。しかし翡翠はニコニコしながら「こっちおいで」と言った。不思議に思ったが、ついて行くことに....。
「さぁ、どうぞ」
翡翠は食堂でおにぎりを2つ、真日奈のために取っておいてくれたのだ。
そういえば朝ごはん忘れてた.....。って言うかお昼ごはん?かな。まぁどっちでもいいや!
「いただきます!」
普通のおにぎりだったけどすごく美味しい。お米ももちもちしてて最高!!
「あ、そういえば北本先生は.....」
恐る恐る聞いてみる。
「きっと疲れてるだろうから起きたら連絡くださいって言ってたからさっき連絡しておいたよ〜。もうそろそろ来るんじゃないかな?」
「え.......北本先生、神だ」
ここまでの配慮....私の中では神に値する!!
しばらく食堂に座っていたら本当に北本先生が来た。
「あ、おはようございます」
「おはようございます真日奈さん。ゆっくり寝れました?」
「はい!おかげさまで!」
スーツを着ているから授業終わりに来た感じ?
北本先生は真日奈の向かいの椅子に座った。
「お疲れ様です北本先生、はいこれ」
いつの間にか準備してたお茶を翡翠が北本先生の前に差し出す。
「わざわざすいません...」
「これくらいお安い御用ですよ〜。じゃあ真日奈さん、頑張ってね♪」
「はい!」
そう言って翡翠は食堂を後にした。
「では、昨日ご説明できなかった部分について説明しますね」
「よろしくお願いします」
「昨日、入学手続きをしましたがこれで完了ではありません。入学するには“入学試験”に合格してもらう必要があります。入学試験の内容は私にも分かりません。試験の合格者は数人程度。受験者は今のところ30人です。厳しい試験だと思いますが大丈夫でしょう。何か質問はありますか?」
「.....っていうか質問しかないですよねっ!?」
私はテーブルにバンっ!と手を置いて立ち上がった。
「まぁまぁ、落ち着いてください」
北本先生に促され、椅子に座り直す。
「まず、試験内容が分からないってどういうことですか?」
「ここの学校の試験内容は全て校長先生が決めるんです。しかし、校長先生が“同じ問題じゃつまんない”と言って毎年変わるんですよ」
私は校長先生の笑顔を思い出した。
校長先生って恨むべきか....。
「じゃあその毎年変わる試験を北本先生たちには知らされないんですか?」
「そうです。教職員も試験当日に初めて試験を見るんですがまぁ....なんと言いますか.....まぁ....」
ちょ、それ1番気になる答え方じゃん!
「ちょっとでも教えてくれたり?しませんよね?」
「職員なので言えませんが、校長先生の試験は独特だと言うことだけ言っておきます」
私は「あはは...」と苦笑いをした。実際校長先生の考える試験なんて思い浮かばないし、逆にちょっと怖い。
「合格者が数人って毎年どれくらいの人が合格してるんですか?」
「そうですね〜。去年は2人、一昨年は1人でした」
「え?」
「平均して大体30〜40人が来るんですけど合格するのは1桁です」
「めっちゃ倍率高いじゃん!!そんなの聞いてないですよ!?」
《マスター。ここ、時環アカデミーは限られた人のみが入れる学校です。合格者データを分析した結果、北本様がおっしゃる人数は妥当です》
「え、そうなの??」
クロノアによると、合格者数は毎年1桁らしい。
「私合格できる自信ないんだけど...」
「真日奈さんなら大丈夫ですよ。しかし、入学試験と編入試験を一緒にやるなんて普通じゃ考えられないですからそこだけは文句言っていいと思います」
「よし、今度言いに行こう!!......って思うんだけど、入学試験と編入試験って一緒なんだ」
《このアカデミーは長年、入学試験と編入試験が一緒です》
「へぇ〜。私は編入試験?に入るのかな?」
「真日奈さんの場合は編入試験という扱いです。」
私はお茶を飲みながら話を聞いていた。
「あ、そういえばその試験はいつなんですか?」
「試験日は明後日です」
「明後日!?」
意外と早かった。でも試験準備をできないわけでもない。まぁ、何出るか分からないんだけど。
「そうだもう一つ。真日奈さんと一緒にいるクロノアさんは試験には持ち込めませんのでこちらでお預かりします」
「クロノアも一緒じゃダメなんですか!?」
「一応試験ですので」
それもそっか。クロノアってAIだからなんでも答えられるし、試験に持ち込んだら不正行為ってなるよね...。
《たまには私に頼らず、自分で乗り越えてくださいマスター》
「マスターに向かってなかなか言うようになったじゃんクロノア〜??」
私とクロノアは火花をバチバチさせて喧嘩が始まりそうな雰囲気を出していた。しかし、目の前に北本先生がいたのでなんとか抑えることができた。
「クロノアさんとも上手くやっているようで安心しました」
「どこを見ればそう思いますか?」
「全部ですね。試験当日は誰か手の空いている教員が真日奈さんを迎えに行きますのでこの寮でゆっくり過ごしていてください。私は授業もありますのでこれで失礼します」
北本先生はお茶を飲み終え、椅子から立ち上がった。
「いろいろありがとうございました」
「それでは試験当日にお会いしましょう」
私も立ち上がって北本先生を玄関まで見送った。
<続く>




