第11話 予言について
オーバーリアクションをしていたのは私だけど先陣を切ったのは北本さん。
「ちょっと待ってください!!クロノリング旧型が作られたのは1000年前です。そして製造停止になったのは数百年前…。水谷教授が生きていたのは5000年も前ですよ!?そんな時代にそれほど高度な技術があるなんて....」
《当時、水谷教授は今よりもはるかに上の高度な技術を身につけていました。そして北本様がおっしゃった通り、クロノリング旧型は1000年前に開発されました。しかし私は水谷教授によって作られた世界初の初期型クロノリングなのです》
「初期型クロノリング!?」
さっきまで1番驚いていたは私だけど今は北本さんに変わってる。それもそのはず。クロノアが言っていることが事実なら世紀の大発見なのだから。
そんな空気感に飲まれず、向かいに座ってる校長先生は何かを考え込んでいる。
《性能は旧型の方が若干上です。しかし、システムAIに関しては私の方が圧倒的に上です》
「つまり、システムAIに関してはクロノアの方が優秀ってことだね。でもなんで水谷教授はクロノアを作ったんだろう?」
《それは後世へ繋ぐためです。水谷教授は独自に開発したタイムホールを使い5000年後の未来に行きました。そして予言が本当であると確信したのです。ですが予言を信用してくれる人はいません。そこで予言に関する情報を集め、その情報を全てクロノリング初期型に記録しました》
「なるほど.....予言は事実か....」
「真日奈さんがつけているクロノリングが初期型だとして世紀の大発見すぎますよ」
クロノアの話を聞いて2人は項垂れていた。
5000年前に生きていた水谷教授は高度な技術を身につけていて、クロノリングの初期型を作った。しかも独自でタイムホールまで作っている.....。これが史実ならどれほどの大発見だろうか。
2人はため息をつくばかりでこれ以上は話が進まなさそうだったので私はクロノアに聞いてみた。
「そうだクロノア、私が吉太の時代に行った時なんで腕に付いてたの?」
《はいマスター。私は水谷教授に作られた後、タイムホームの中の異空間へとわざと投げ込まれました。そこで長い年月を過ごし.........気づいたらマスターの腕に付いてました》
「それ説明になってないよね??」
どうやらクロノアにも分からない様子。
まぁ、運命的な出会いってやつかな!!
するとさっきまで項垂れていた校長先生がバッと立ち上がった。
「ややこしくなるからこの話は一旦なしだ!なし!!本題へ戻る!!」
長い脱線の末、ようやく本題へ。本題はここ時環アカデミーに入学してほしいというお願い。
「でも私は今通ってる高校もあるし、家族や友達だっているわけで急に入学してと言われても.....」
《マスターには入学するしか選択肢はありません》
「え?なんで?」
《クロノリングの初期型の使い手、尚且つ予言に出てくる異人の1人かもしれない。そしてその予言が事実であることを政府に知られた場合、是が非でもマスターを捕まえるでしょう》
「嘘っ!!??」
「それだけ真日奈さんの力が重要なのです」
「そして政府は嫌な奴ばっかりだ。キミを捕まえるためなら家族や友人に危害を加えてもいい.....そんな風に考えるだろうねぇ」
「そんな.....」
私が現代へ帰ればみんなに何かあるかもしれない。そんなのは絶対にやだ....。
「そこで提案だ。キミはこの時環アカデミーに入学しないかと声がかかっている。もし入学してくれるのならキミとクロノア、家族や友人達の安全を保障しよう」
《校長先生の提案にのることを推奨します。これにより万が一、予言が本当であると政府にばれたとしてもマスターに手出しはできにくくなります》
「私からもお願いします真日奈さん。私が責任を持って守りますのでどうか入学していただけないでしょうか?」
「えぇ〜誠司それって告白!!??」
ドガンっ!!
「.......あ」
からかってきた校長先生の顔に向け、思いっきり拳を振るった北本さん。校長先生はそのまま壁の方へと飛んでいった。その光景を見てつい声が出てしまった。
「満のことはお気になさらず、それでどうでしょうか?」
私は家族や友人を危険に合わせたくない。クロノアも言ってたし、入学することが1番安全なことなのかもしれない。
「......わかりました。私、時環アカデミーに入学します」
私は決意を固め、入学することを選んだ。
「そう言ってくれると思ったよぉ〜」
「あ、無事だったんですね。よかった」
校長先生はふらつきながらソファーへと戻って来た。
「入学してくれて超ハッピー!って言いたいけどやることが山盛りなんだよねぇ〜」
「そんなにあるんですか?」
「あるある〜!むしろありすぎて潰れちゃうかも!」
校長先生はどこからともなく大量の書類を持って来た。しかし、北本さんに「おまえは真面目に仕事しなさい!」と書類ごと校長室の机に戻されてた。
「え、あの書類私のじゃなくて全部校長先生の??」
《分析が完了しました。あの大量の紙は校長先生宛の書類や生徒に関する重要な書類です。おそらくは溜め込んでいたものと推測します》
「あ........そういうことなんだ」
一旦、ガミガミやりとりをしている2人を放っておく。私はずっとソファーに座って話をしたり聞いたりで疲れたので一度立ち上がって背伸びをした。
<続く>




