Chapter.1 本との出会い
完全オリジナル作品です。
※誤字・脱字があるかもしれません。
※更新は不定期です。
※初心者です。
(今日は何しようかなー)
教科書と睨めっこしながら考えている。
ー安西真日奈ー高校2年生。どこにでもいる普通の高校生。友達も多く、大きな悩みもない。
(そうだ!今日は雫を誘ってカラオケに行こう!)
キーンコーンカーンコーン
そんなことを考えているうちに授業の終わりのチャイムがなる。授業は終了。部活に向かう人やすぐ帰る人、クラスで立ち話をしている人、いろんな人がいる。
そんな中でもお構いなく、真日奈は真っ先に雫の席に向かう。
「雫!今日一緒にカラオケ行こうよ!」
ー宮本雫ー高校2年生。真日奈とは真逆の性格で物静かで冷静。成績は常にトップクラス。
「ごめん。今日は塾があるんだ。それにテストも近いから勉強したくて」
「そっか...。まっ、いいや。また今度ね!」
雫はカバンに教科書をしまって駆け足でクラスを後にする。1人残ってしまった真日奈は考えるが面白い案が思いつかない。
(仕方ないから今日のところは帰ろう)
真日奈も教科書をカバンにしまい、学校を後にした。
帰り道、つまらなさそうな顔で歩く。石を蹴ってみたり、少し遠回りをしてみたり。しかし、いつもの日常だ。
(なんか面白いことないかなー)
考えながら歩いていると目の前に古びた本屋さんがあった。もちろんいつも通っている本屋さんだ。だが今日は無性に気になってしまった。
(予定ないし、ちょっとよってみようかな)
中に入ると古い民家のようだった。壁は色褪せていて、床には埃が溜まっている。本の種類も多くはない。しかも棚を見ると全て小説のようで今どきの漫画は一切なかった。
(やっぱ帰ろ。小説には興味ないし)
お店の外に出ようと玄関の方に向かった。
「お嬢さん、もう少し見ていかないかい?」
声がした方を振り向くとおじいさんが座っていた。無視してそのまま帰るのもいいが人としていけないと思い、立ち止まる。
「えーと、私本には全く興味ないんで」
「まあまあ、そう言わずここに座るといい」
おじいさんの口車にのせられ、仕方なく椅子に座ることになった。だが気まずい。何を話したらいいかわからず、無言が続く。
「お嬢さんは人の人生に興味はないかい?」
「え?」
やっと話題が出たかと思うとこの質問。なんて答えたらいいかわからず、とりあえず適当に答える。
「興味がないわけじゃないですけど...」
「ではこの本を読んでみなさい」
渡されたのは埃がかぶった色褪せた本。題名や作者名、絵なども何も書いていないちょっと変わったシンプルな本だった。
「私、読むの嫌いなんですけど」
「とにかく読んでみるといい」
おじいさんのにっこり笑った笑顔には逆らえない。仕方なく読んでみることに。本を開くと物語が始まった。この本の内容は、天涯孤独だった1人の少年が人を愛するということを知るというものだった。本のはずなのにまるでその少年の人生を見ているようでページをめくる手が止まらなかった。どんどん読み進めていき、半分まで到達した時、次のページをめくると白紙になっていた。
「あれ?」
その次のページもそのまた次のページもずっと白紙だった。物語が終わったわけでもなく、破られているのでもない。
「この後、白紙になってるんだけどなに?」
おじいさんに聞くと微笑んで答えた。
「その本は人生本といって本当にあった誰かの人生を一冊の本にしている。ちなみにその本はわしの人生本じゃ。その本をお嬢さんの力で終わらせてほしいのじゃ」
「え?は?あ、あの〜。理解できないんですけど」
頭が混乱してパニックになる。本を読んでと言われたから読んで、続きが気になるから聞いたのに突然物語を終わらせろとか無茶をいう迷惑なおじいさんにしか見えない。
「普通の本でもそうだが、必ずハッピーエンドになるわけじゃない。でもわしはできる限りその人にとってハッピーエンドになるように終わらせてあげたいのじゃ」
そう語るおじいさんの表情は真剣な顔だった。おじいさんということもあって言葉の重みが違って聞こえた。
「この物語をハッピーエンドで終わらせればいいだよね?」
「そうじゃ。お願いできるかのう?」
「うん!いいよ!」
困っている人は放っておけない性格というのもありハッピーエンドにすることに。だがこの時の真日奈はまだ知らなかった。人生本を、一冊の物語をハッピーエンドにする難しさを...
<続く>
この作品をここまで読んでくださりありがとうございます♪
次回!『Chapter2. 人生本』です!