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『おなごが困っていたら助けなさい』という祖父ちゃんの遺言を守って助けまくったら大変なことになった  作者: マノイ
再会編

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28. 大変なことになった 4の4  完結!

「クロエさん」

「ハーイ!」


 幼い頃に出会ったフランス人の女の子。

 再会した時はとんでもない美人さんに成長していた。

 その見た目に反して中身が子供っぽく、ベタベタと甘えてくるところがまたたまらない。


「ずっと僕の事を覚えていてくれてありがとう、嬉しかったよ」


 でも僕はクロエさんのことを覚えていなかった。

 そのことを申し訳なく思うけれど、クロエさんから気にしないで欲しいと言われている。

 助けられた方が印象に残るのは当然のことだからと。


「日本語がとても上手になったね」


 普段はカタコトっぽく話しているが、実は自然に会話が出来る。

 アニメで勉強したからカタコトの方が『萌え』るという概念を知っているため狙っているのだ。

 勉強したことで日本の事が好きになり、国語や古文漢文についてはトップクラスの成績だったりする。


「僕が生まれ育ったところを好きになってくれたのも、心から嬉しいよ」


 すべては僕の事を知りたかったから、なんて言われた時は内心動揺しちゃった。

 だってそこまで想われてるんだよ。

 嬉しくてたまらないに決まってるじゃないか。


「いつかクロエさんの生まれ育ったところにも行ってみたいな」

「わぁお、結婚前の顔合わせですか?」

「あはは、今はまだ違うよ。でもご家族の方にも挨拶しないとね。こんな素敵なマドモワゼルに育ててくれてありがとうございますって」

「むふぅ」


 クロエさん、妄想の世界へ。




「清田さん」

「は、はい!」


 中学の時の同級生。

 当時は僕の事を好きだったと告白されたけれど、今どう思っているのかなんて一目で分かる。

 爽やかで笑顔が眩しくて照れ顔が可愛らしい、普通の女の子。


「あの時、告白してくれてありがとう」


 過去の話とはいえ、素直に告白してくれた人は清田さんが初めてだ。

 あの時は慌ただしかったから考える余裕が無かったけれど、家に帰ってから思い出して悶えたよ。

 これまで様々な形で好意を寄せられたけれど、直接的な好きの言葉が一番嬉しいね。


「実は僕も清田さんの事、気になってたんだよ」


 恋愛を意識しないといっても僕も男だ。

 好きな女の子、気になる女の子は何人もいた。

 スポーツ少女で笑顔が眩しい清田さんは、もちろんその中に含まれている。


「不思議だよね、二人とも全然話したことないのに」


 片や『協定』、片や祖父ちゃんの教え。

 特殊な制約が僕たちの気持ちを隠していた。

 そう考えると、僕たちの関係があまりにも歪なものだったと気付かざるを得ない。


「あの時の気持ちが今もまだ続いているのかを僕は確認したい」

「それって!」

「だから学校は違うけれど、沢山会ってお話したい」

「うん……うん!」


 あれ、でもこれだと清田さんを倒すにはちょっと心許ないかな。

 別にこだわってるわけじゃ無いけれど、ここまで来たからには清田さんも倒れる程に喜ばせたい。


「そうだ、大事なことを言い忘れてた。清田さんのこと、『好き』、だったかも」

「好き……椙山君が私を好き……」


 清田さん、無事に倒れ込む。




「美羽子さん」

「は~い」


 祖父ちゃん道場に通っていた綺麗なお姉さん。

 真剣に修行に打ち込む姿が格好良く、僕の頭を優しく撫でてくれる姿に癒された。

 その憧れのお姉さんに今の僕は男として向かい合っている。


「やっと美羽子さんを守れる男に近づけました」


 もう守れるなどと自惚れたりはしない。

 僕が持っている力なんて、そのほとんどが借り物だから。

 あらゆるものから美羽子さんを守るには、まだまだ人生を重ねて精進が必要だ。


「小さい頃に与えてくれたものを少しずつ返します」


 修行に付き合ってくれて、一緒に遊んでくれて、勉強も見てくれて、相談にも乗ってくれた。

 今の僕があるのは間違いなく美羽子さんのおかげでもある。

 その恩と憧れという名の恋心もどきのお礼をしたかった。


「なんて格好つけてしまうのも、美羽子さんがぐっと綺麗になって慌ててるからなんですよ」


 幼い頃の想い出は美化されがちだというのに、再会した美羽子さんの美しさは想い出を越えていた。

 女性はみんな女の子として扱うのが祖父ちゃんの教えであり僕のポリシーでもあるけれど、大人の女性の魅力は決して無視できない。

 婦警さんっていうのもズルいよね。異性として見ようとすると何故か背徳感があるもん。


「僕にとって美羽子さんは憧れのお姉さんであり、魅力的な異性です。昔も今も、そしてこれからも」

「ふふ、嬉しい」

「あなたのパートナーに相応しい男になってみせます」

「…………はい」


 美羽子さん、未来を夢見る。




「霊峰さん」

「やっほ~」


 中学時代に最も多く関わりがあった女の子。

 その大半が怒られたことばかりだったけれど、その半分が照れ隠しだったと今では分かっている。

 そしてもう半分の意味をつい先日教えてもらうことが出来た。


「大切なことを教えて下さりありがとうございます。その後は大丈夫でしたか?」


 『協定』について僕にバラしてしまったことで、女の子達からペナルティを受けていないかが心配だった。

 笑顔で頷いているから問題無いのかな。

 良かった。僕が前に進むと決意したきっかけをくれた人が悲しむ姿なんて見たくなかったから。


「それにしても、何度見ても中学校の頃と印象が違って未だに混乱します」


 厳格で真面目な風紀委員長が、怒られる側の人間に変わっていた。

 きっとどちらも本当の霊峰さんなのだろう。

 性格的な面と女の子としてはっちゃけたい願いの両方を持っていただけの事。


「でもどちらも魅力的です。むしろギャップがあってインパクト十分ですよ」


 どれだけ違っても霊峰さんが可愛らしい女の子であることには変わりは無い。

 今は露出が多くて見ていて少し照れ臭いけれど、だからこそスタイルが良いと分かる。

 変化に惑わされずに落ち着いて見れば、なんてことはない普通に美人な女の子だ。


「思春期まっさかりの僕に霊峰さんみたいな美人の先輩が話しかけてくれて色々と大変だったんですよ」

「むぅ、それは風紀を乱す発言かな」

「あはは、そうかもしれません。霊峰さんとなら風紀を乱したいななんて、実は今でも思ってます」

「ぴゃあ!」


 霊峰さん、羞死。




「ゆ~ちゃん」

「むすぅ~」


 まだまだ不貞腐れている幼馴染のゆ~ちゃん。

 切磋琢磨して武術の腕を磨き合った女の子。

 最初は僕に勝ちたいだけだったのに、いつの間にか僕を手に入れたいに変わっていた。


「ゆ~ちゃんが本気で向かって来てくれたから、僕も本気で相手してるんだよ」


 決して手を抜くことは無く、ゆ~ちゃんに実力差を思い知らせる。

 それはゆ~ちゃんが嫌いだからでは無く、ゆ~ちゃんの想いを真剣に受け止めている証だ。

 そのことをゆ~ちゃんはちゃんと分かっている。


「幼馴染って良いよね。僕、ゆ~ちゃんにたっぷり甘えちゃってた」


 ゆ~ちゃんが相手なら自分を飾らずありのままをさらけ出せる。

 家族以外で最も心を許している相手と言っても過言ではない。

 ではそこに恋心が含まれているのかどうか。


「実は僕もゆ~ちゃんのこと、とっくに女の子として意識してたんだよ」


 幼馴染という特別な距離感を保ち続けているフリをしていたけれど、本当はゆ~ちゃんと同じで滅茶苦茶意識していた。

 だってゆ~ちゃんってかなりの美人なんだよ。

 修行して鍛えたことで、美しさだけではなくスタイルの良さにも磨きがかかっていて絶世の美少女に成長していた。


「会う度にドキドキが大きくなって、そろそろ陥落しちゃうんじゃないかって不安だった。今日だってみんなとの関係がなければ我慢できずに押し倒してたかもしれないよ」

「ほ、本当! 本当に本当!?」

「本当だよ。椙心流現代武術を継承した身として武術では負けるわけにはいかないけれど、恋の勝負ならすぐにでも負けそう。そのくらいときめいてるんだ」


 ゆ~ちゃん、喜びの舞。




 これにて全員倒してゲームクリア。

 ってマズい、途中から趣旨を無視して女の子の心を揺さぶることに夢中になってしまった。

 みんな混乱しちゃってるよ。


 そんな女の子達を見ながら改めて思う。

 良くこんな美少女や美人ばかりが集まったなぁ。

 そしてその女の子達に想われているなんて、世の中の男性達に刺されてもおかしくない。

 返り討ちにするけれど。


 果たして僕は、心に決めた一人を見つけることが出来るのだろうか。

 目移りする程に魅力的な女の子達を差し置いて、どうしてもこの人が良いって思えるのだろうか。


 でもやらないと。

 結果的にとはいえ、これだけ想われるようになったのは自業自得なのだから。

 せめて自分の意思ではっきりと想いを決めて伝えなければ。


 最後にその決意表明をする。


「僕の想いは今伝えた通り。みんなのことが心から魅力的だと思ってるし大好きだ。だからこれから自分の気持ちとみんなの気持ちに真摯に向き合って、想いを定めようと思う」


 これから僕らは今まで以上にドタバタな毎日を過ごして想いを育……







「椙山くん……ちょっと良いかな」


 あれ、山瀬さんが起き上がった。

 まるで熱中症かのように真っ赤な顔でフラフラしてるけれど大丈夫かな。


 というかもう話を締めるところだから、終わってから話をしようよ。

 ほら、未来を程良くぼかして終わらせる良くある終わり方が出来そうだったんだよ。


「椙山くんは……一つ……勘違いを……してるよ」


 あれれ、どうして服を脱ぎ始めてるのかな。

 そうか、暑いんだ。

 真っ赤なのは暑かったからだったんだ。


 他のみんなもゆらりゆらりと立ち上がって脱ぎ始めてる。

 おっかしいなぁ。

 この道場、風通りが良くて結構涼しいんだけど。


「普通は……それで……良いのかも……しれないけれど」


 まるで草間さんみたいな話し方だ。

 でも本当に心配だよ。

 熱にうなされているような感じだもん。


「椙山くんは……普通じゃ……ないの」


 おや、僕の方にゆっくりと歩き出したような。

 まって、脱ぎながらこっちにこないで。

 それ以上脱がないで!

 スカート落とさないで!


「あんなこと……言われたら……我慢出来ないよ」


 我慢して。

 何のことか分からないけれど我慢して!

 鈍感止めるって言ったけど、ここは鈍感になるよ!


「好き……欲しい……譲れない……何としても……」


 下着に手をかけないで!

 やめ、ほんと、やめ。

 肌色が迫って来るうううう!


「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」

「抱いて!」


「イヤアアアアアアアアアアアアアアアア!」




 肌色にもみくちゃにされて理性が薄れゆく中、最後に祖父ちゃんの声が聞こえた気がする。


『だから止めろと言ったじゃろうが……』




 『おなごが困っていたら助けなさい』という祖父ちゃんの遺言を守って助けまくったら大変なことになっちゃった……

これにて完結になります。

ご愛読ありがとうございました。




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― 新着の感想 ―
[一言] お疲れさまでした。丁度タイトルを回収したところで終わった、という感じでしょうか。確かに大変なことに。 じいちゃんの遺言を、最後の最後で守り切れなかったための結末ですか。まあ、仕方がないですよ…
[一言] 完結までお疲れ様でした!いつも楽しみにしてて更新される度に読んでたので寂しいですね笑、次の長編次回作も待ってます!!!
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