25. 大変なことになった 4の1
投稿後に 4の1 と 4の2 に分割しました。
内容に変わりはありません。
「みんなに話があるんだ」
ゆ~ちゃんの挑戦を退けた後、道場でみんなと向かい合って座った。
美少女が21人も居るとクラクラするな。
ちなみにゆ~ちゃんはまだ不貞腐れているけれど大人しく座ってくれている。
「今までごめんなさい」
突然の謝罪にみんなとても驚いている。
ひらがなでぽか~んと書きたくなるような可愛らしい感じなのがたまらない。
「みんなの気持ちに気付いていたんだ」
言い訳などしない。
みっともないし、そもそも言い訳にもなってない。
祖父ちゃんの教えに従っていたなど、女の子達には何も関係ない話なのだから。
だから僕がするのは謝罪と、そして決意表明。
僕のことを想ってくれている女の子、ゆ~ちゃんと再会した時にそうしようと決めていたんだ。
全員同時にやらないと不公平になっちゃうからね。
「お詫びってわけじゃないけれど、僕がみんなのことをどう想っているのか、素直な気持ちを隠さずに伝えようと思う」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
「!?」
これこそが女の子達が最も知りたがっている事だろう。
だから恥ずかしいけれど僕は率直な気持ちを伝えることにした。
関係を前に進めるという意思を篭めて。
「まずは山瀬さん」
「は、はひっ!」
最初に仲良くなった女の子。
今思えば、あれこそが『協定』を越える最初の一歩になっていたのだろう。
だからと言ってクズ男達に感謝などしないが。
「いつも僕のことを助けてくれてありがとう。感謝してる」
僕が何かを疑問に思うと、絶妙なタイミングでスススと寄って来て説明をしてくれる。
思えばアレは僕のことをずっと見ていたから出来た事なのだろう。
「でもごめんね、多分そのせいでアピールしにくかったんじゃないかな」
みんなでふざけている時はノって来るけれど、自分から積極的になることは少なかった。
恐らくは僕と会話をする機会が多かったから他の女の子に遠慮していたのだろう。
もしかしたら、それもまた『協定』の一つなのかもしれないけれど。
「それにあんなことがあったから少し遠慮してたんだ」
男に襲われかけたことでトラウマがあるのではと思い、異性を意識させる会話をしないように特に気を付けていた。
でもそれが逆に山瀬さんを不安にさせていたかもしれない。
自分は僕に興味を抱かれていないのではと。
「だからはっきりと言うね。山瀬さんはとても可愛いよ」
「ふぇっ!?」
「傍にいてくれると安心するし、時々『まねこねこ』のキーホルダーを撫でてる表情が可愛らしいし、清潔感があって素敵だし、実は何度もドキドキさせられてた」
「ぷしゅぅ……」
あらま、溶けちゃった。
「関さん」
「はい」
いきなり僕に突っかかって来た女の子。
キツイ口調で詰め寄られたのは久しぶりだったから面食らってしまった。
でもその理由はとても素敵なものだった。
「家族想いで努力家の関さんを、僕は尊敬している」
妹を大学に行かせるために奨学金を狙っていたけれど僕にテストで勝てなくて焦って嫉妬してしまった。
とても真面目で家族の事を大切にしているところに加えて、焦って暴走してしまう人間味あるところが逆に魅力的だった。
僕よりも授業内容をしっかりと理解出来ているところも凄いと思う。
「そんな関さんと成績を競う合うのが楽しくて仕方ないんだ」
程良いライバルがいなかった僕にとって、関さんとの本気の勝負は青春を謳歌している気がして楽しかった。
関さんは気付いていないけれど、負けた教科があると滅茶苦茶悔しかったんだからね。
僕達の関係が変わろうとも、これからもずっと続けていきたいなと心底願う。
「でももしかしたら関さんは最初の出会いを気にしちゃってるかな」
不条理に僕を責めてしまった。
それが負い目となって積極的になれないのかもしれない。
なんとなくだけれど、そう感じていた。
「僕は全く気にしていないどころか関さんみたいな綺麗な人に話しかけられて本当に嬉しかったんだ。こんな眼鏡の似合う知的美人さんが彼女だったら幸せだろうなって」
「はうぅ」
「そうやって照れて倒れてしまう所が可愛らしいし、見た目の大人っぽさに反して初心なところがあるのも男心をくすぐるよ」
「はうぅ」
関さんも溶けちゃった。これ以上は無理そうかな。
「畑尾さん」
「はいですぅ!」
僕はおもむろに彼女の傍へに近寄った。
そして右手を頭の上に優しく乗せる。
「ふぁあああああああぁ!」
相変わらず撫で心地が良い。
他の女の子達に遠慮して我慢していたのだけれど、これからはあまり気にせずにやってみよう。
だってこんなにも幸せそうな顔になるのだから。
「畑尾さんと言えば、やっぱり趣味だよね」
人には中々言えない趣味。
最近は割と大らかになって来たとはいえ、オープンにするにはまだまだ難しいだろう。
本当は同じ趣味の人と語らいたいだろうに。
「趣味に夢中な畑尾さんの姿はいつ見ても輝いていて素敵だよ」
何処が素晴らしいのかを嬉々として説明する畑尾さんの目はいつもキラキラしていた。
その姿を見る度に、もっともっと喜ばせてあげたいと強く思うようになった。
だってその時の笑顔がとんでもなく可愛いから。
「一緒にお話しするのが楽しくて、抱き寄せて撫でてしまいたくなる衝動を抑えるのに必死だったよ」
「はいぃ!?」
「少し舌ったらずなところとか、興奮すると饒舌になっちゃうところとか可愛すぎるでしょ。ごめんね、実はドキドキして話を聞いてなかった時もあったんだ」
「ぴゃあぁ!」
ノックダウン完了。
「草間さん」
「…………ワクワク」
わくわくされちゃったか。
無口系キャラに見えて案外話をするしお転婆な女の子。
草間さんと言えばまずはこれだろう。
「はい、あ~ん」
僕は今日のために用意してあったナポリタンを取り出して草間さんの口に突っ込んだ。
いつかの赤スパ返しだ。
あの後自分で調べてその意味を知り、ユニークな発想だなって感心したよ。
「今度一緒に料理しようね」
手料理が苦手だった草間さんは昔のこと。
今では何でも美味しそうに食べるし、作る方もかなり上達した。
実は他の子達にバレないようにとこっそりとお昼のお弁当を分けて貰っているけれど、どんどん美味しくなっている。
「もちろん二人っきりでね」
でもそれ以外のことについて僕は壁を作っていたかもしれない。
あ~んだけでも距離が近いのにそれ以上は他の女の子達と比べて不公平だと無意識で思っていたからだろう。
『協定』を恐れず積極的にアピールしてくれたのだから、ちゃんとお返ししないとね。
「これでも草間さんのアプローチに毎回ドキドキしてるんだよ。あ~んの時に口にソースがついたのを見てキスしてぬぐい取りたくなったことだってあるんだからね」
「…………ぽっ」
「といっても草間さんは僕の気持ちを信じてくれなさそうだから行動で示すね」
「…………ふぇ?」
他の女の子達よりも体型がその、アレなので魅力が無いと思い込んでいる節があるんだ。
そんなことは全く無いのにね。
だから僕はそれを証明するために、彼女の手を取り、その甲に軽く口づけした。
「流石にそれはヤバ」
難関だった草間さんも撃破。
「検見川さん」
「ようやくアタイの番や。アタイもキスしてもらえるんかいな」
初めて祖父ちゃん関連の皆さんの力を借りたのが検見川さんの事件だ。
尤も、僕らにとっては事件なんて大げさなものでは無かったけれど。
未だに彼らから『あの時の女の子との仲はどうなったんだ』って聞かれるよ。
「いつもの服を着てくれたら考えても良いかな、なんてね」
あの喫茶店でのメイド服は彼女にとても似合っている。
露出が少なく体のラインも出ない落ち着いたものだけれど、何故かドキっとさせられてしまい彼女目当てで店に行ったことが実はある。
エセ関西弁には似合わなそうなのに。
「それにもう少し自分を大切にしてくれたら嬉しいな」
自分が夜の世界に売られそうになっているのに僕の事を気遣ってくれた。
あの衝撃は未だに忘れられない。
同人誌作成のお手伝いもそうだけれど、自分が苦しくても相手を気遣う優しさは尊いものだ。
だからこそ僕は検見川さんのことが心配で力になりたいって思ってしまう。
「そしていつもの怪しい関西弁で気さくに話しかけて欲しい」
以前、何故エセ関西弁を使っているのか聞いたことがある。
理由は単純に可愛いから。
メイド服も気に入っているようだし、可愛い形作りが好きなのかもしれない。
「そうしたらいずれ自然にキスしちゃうかも。だって優しくて思いやりがあって可愛いもの好きな女の子とか男心を鷲掴みにするに決まってるでしょ」
「それはアカンでー!」
「しかもそんな素敵な女の子がいつも少し照れ臭そうにしてるんだよ。可愛くて抱きしめたくなったことが何度もあるよ」
「うひゃー!」
検見川さん、アウト。




