閑話 大変なことになった(BBQ編)
閑話編の〆です。
今回こそ本当に閑話って感じで内容が無いです。
「そろそろ焼けるよ~」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「は~い」
「いやいや、順番に来てって言ったでしょ。全員で来ないで!」
それに片栗先輩と山瀬さんは僕と一緒の調理組だから返事しなくて良いのに。
女の子達も分かっていてふざけていたらしく、一旦集まったものの散ってくれた。
「流石にこれだけ多いと大変だね」
「椙山様も休憩なさって下さい」
「私達が頑張るからさ」
「あはは、ありがと。でもこういうの好きだからもう少しやらせてね」
トングを使って焼けたお肉や野菜を差し出された紙皿にポンポンと乗せ、空いたスペースに新たな食材を乗せる。
「…………あ~ん」
「トングで!?」
「なぁなぁビール何処に置いてあるっけ?」
「ああ、僕が継ぎますよ」
「マジか。サンキュな」
「追加の食材持って……はわわ」
「あぶない!」
「はわわ。こけちゃうとこでした。支えてくれてありがとうございます!」
慌ただしいけれど面倒を見るのがとても楽しい。
僕ってこういうのが好きだったんだな。
今日は夏の最後に女の子達と一緒に河原でバーベキュー。
僕は広い網の前に陣取って絶賛調理中だ。
「椙山先輩の手料理が食べられるなんて感激です!」
なんて金森さんが感激しているけれど、バーベキューを手料理と言って良い物だろうか。
下ごしらえとかは拘ってるけどね。
「じゃんじゃん焼くからどんどん食べてね」
僕を入れて十七人もいるから焼いても焼いても追いつかない。
だから無心になってひたすら焼くだけだ。
「センパイ」
「旦那様~」
そう、水着に目を奪われることなく焼き続けろ。
なんでよりによってこの二人だけ水着なのさ!
しかも今日は二人とも以前と違って露出が多い際どいの着てるし。
僕のちょっとした心境の変化もあり、これまで以上に邪なドキドキを感じてしまうから本当にマズイんだ。
「ほ、ほら沢山おたべ」
「もう少しでレッツゴーホテルな気がするのに」
「陥落間近ですね」
「沢山おたべ!」
お皿に山盛りにすることで強引に次の女の子達と入れ替わってもらった。
危ない危ない。
「おっし、オレ達と交代な」
「え?」
「私もやるですぅ」
「和也君は休んでね」
「いや、僕はまだ……」
しまった。
絶好のポジションから押し出されてしまった。
火を使っている時は絶対にふざけないように念を押していたので女の子達は程良く距離をあけて接してくれていたけれど、そこから離れてしまったら何が起きるか分からない!
何処となく女の子達の目つきが怪しく光っているような気もする。
「椙山クン、こっちや!」
早速捕まってしまった。
「検見川さんその格好は!?」
なんと検見川さんは河原なのにメイド服を着ていた。
しかもいつものあの店でのシックな物ではなく、丈が短く胸元も強調されるアレなタイプのメイド服だ。
何がとは言わないけれど、ちょっとかがんだだけで見えそうだ……
「椙山クンのエッチ」
「何のことかな!?」
その服を着ている検見川さんがすでにエッチではないか、なんて言ったら逆効果な気がするので絶対に言えない。
こういう時は男は黙って非難を受けるものなのだと祖父ちゃんも言っていたしね。
「こっちへ」
「どうぞ」
あれ、仲良し姉妹も似たようなメイド服を着ている。
「もしかして二人がデザインしたの?」
「そう」
「似合ってる?」
「う、うん。とても似合ってるよ」
いや、えっちぃ服だからこの場合は似合ってない方が良いのだろうか。
でも可愛い服であることには間違いないし……ぐぬぬ、難しい。
「うふふ」
「うれしい」
どうやら正解だったようだ。
連れていかれた場所には少し大きな背もたれ付きのアウトドアチェアが置いてあった。
こんな大きいの持って来たの誰ですか。
「ほな、座って座って」
「うん」
へぇ、結構座り心地が良いんだ。
もっと硬いのかと思ってたけれど、思いの外気持ち良い。
「これ良いね。みんなも座る?」
「ウチらはこのままでエエよ」
「メイドさんだから」
「気にしないで」
気にしないでって言われても、女の子達が立っているのに僕だけが座っているのは嫌だな。
どうにか理由をつけて立ち上がりたい。
そう思っていたら、更にもう一人やってきた。
「す、す、椙山君、お肉持って来たよ」
「関さん!?」
お肉が乗ったお皿を持って来てくれたのは関さんだ。
なんと関さんは検見川さん達と同じ露出が多いメイド服を着ていた。
あの真面目な関さんがこんなことをするなんて。
「ど、どう、かな……」
ヤバイ。
今日一でヤバイかも。
滅茶苦茶照れながらスカートの裾を少し引っ張って見えないように気にする仕草がとてつもなく色っぽい。
そしてそれをやっているのが真面目な関さんという普段とのギャップに堪らなくドキドキする。
「似合ってる……よ」
「あ、ありがとう」
か、可愛い……
はっ、僕は何を言ってるんだ。
関さんが可愛いのは当然、じゃなくてじっと見るのは失礼なんだって。
落ち着け、落ち着け僕。
「はい、椙山君。あ、あ~ん……」
「え?」
あろうことか、関さんは僕に箸でつまんだお肉を差し出して来た。
それの何が問題かって、僕は座っているから関さんは前かがみになり大きく開かれた胸元が……
「はむっ!お、おいしいよ!」
「良かったです」
そこで嬉しそうにするのとか、反則だと思います。
「それじゃあ次……」
ええ、これってまだ続くの。
自分で食べるけど。
というか、その服でかがまないでくださいお願いします。
その願いが通じたのか、それとも偶然か、助けが来た。
「おにいちゃ~ん!」
「美来?」
美来が来て僕の膝上に飛び乗ったのだ。
みんなと一緒なのに子供っぽく甘えるなんて恥ずかしくないのかな。
「どうしたの?」
「おにいちゃんがデレデレしてるから怒りに来たの」
「デレデレしてないよ!?」
そりゃあ少しは動揺したけどさ。
ってそういうのをデレデレって言うのか。
反省しなきゃ。
いやいや、だとしても妹が怒るのはおかしいでしょ。
「美来さん、それは流石にやりすぎでは?」
「素でそんなん出来るとか羨ましすぎや」
「私達は」
「我慢してるのに」
「ふ~んだ。兄妹のスキンシップだも~ん」
女の子達がワイワイしているのを聞きながら僕は辺りを見回した。
十六人の女の子。
この夏たっぷりと遊んで絆を深めた大切な人達。
新たな一面に気付き、新たな魅力に気付き、何度も何度もドキドキさせられっぱなしだった。
こんなにも沢山の幸せを貰って、僕は彼女達に何かを返せるのだろうか。
そして僕は心に決めた一人を選べるのだろうか。
「センパイ、私も上に乗りたいです。むしろ乗って下さい」
「旦那様が望むならどんなポーズでもお取りします」
おっと、危険な二人がやってきたぞ。
僕にはこの先の展開が手に取るように分かる。
二人に対抗した女の子達がどうにかして肌を晒し、僕に触れさせようとして来るんだ。
これまでは素知らぬ顔で避けてたけれど、今の僕がそれを喰らったらマズそうな気がする。
全力で阻止しないと。
もうすぐ夏が終わり、二学期が始まる。
一学期の間にこんなにも沢山の女の子達と出会った。
夏休みの一か月の間に仲をかなり深めて僕の心に小さな変化が宿った。
二学期には果たして僕らの関係はどうなってしまうのだろうか。
「椙山君、何か変わった?」
そんなことを考えてぼぉっとしていたら不思議そうな顔をした関さんに顔を覗き込まれ、僕は何故か猛烈に照れくさくなり顔を背けたのであった。
次回から最終章に入ります。
ヒロイン増やそうと思えば延々と増やせますがマンネリになりますからね。




