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0. プロローグ
『おなごが困っていたら助けなさい』
それが祖父ちゃんから僕に向けられた最後の言葉だった。
僕は幼いころから祖父ちゃんっ子で、近所にある祖父ちゃんの家に入り浸っていた。
祖父ちゃんは僕に色々なことを教えてくれた。
その殆どが女の子の扱いに関してだった。
『和也、おのこならおなごには優しくしなさい』
祖父ちゃんは口癖のように何度もこの言葉を繰り返した。
だからだろうか、僕はそれが当たり前だと思っている。
女の子には優しくし、困っていたら助けるのが男の役目だと信じている。
でも不思議なことに、僕は女の子と全く縁が無かった。
小学校、中学校と共学の普通の学校に通っていたのに、困っている女の子に出会わなかった。
むしろ女の子から避けられているのか話しかけても妙によそよそしくて友達にすらなれなかった。
祖父ちゃんから教わったことを全く活かせなくて悲しかったけれど、良く考えたら良いことなんだよね。
だって困っている女の子が居ないという事だから。
高校生になっても僕の環境は何も変わらなかった。
きっとこのまま女の子に縁が無いままに、何事も無い平和な日々が続くのだろうと思っていた。
高校二年生になるまでは。




