武器を受取る
「「「「うぉおおおおおおおおお!」」」」
僕達がスクワードの街を歩くと割れんばかりの歓声が起こった。
歓声を受けているのは――、
「「「「「パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー! パンティー!」」」」」
この国の第四王女であり、【SR勇者】である、パンティー・ライン・ビッグベニス姫だ。
彼女は白銀の長い髪を靡かせ大型のカブリオレ馬車から民衆に手を振る。その表情は彼女らしく仏頂面だが、それが武を極めし厳格な勇者を思わせ、民衆は憧れと尊敬の眼差しを向けた。
僕達はパンティーの馬車を取り囲み、同じ歩調で行進する貴公子団の後ろを歩いている。
「パンティー様、凄い人気ニャンね」
「突如現れた神話級モンスターをたまたま居合わせた勇者様が討伐し、しかも復興費まで寄付してくれる、という話しになっていますからねぇ。クスクス」
アナルは楽しそうに語る。
ここ数日、アターシャとアナルは、スクワードの領主オルフォンス公爵と何度も会談をし、そのようなプロパガンダを作り民衆を誘導している。
当初、協議は――、
アターシャは勇者パーティーが街を救ったのだから感謝し謝礼を払え、というスタンス。
オルフェンス公爵は勇者がこの街に来たから今回のような事件が起きた、というスタンス。
そこから始まり、アターシャが復興費をチラつかせ、目がくらんだオルフェンス公爵は、証拠無しに勇者を疑うよりも復興費を多く引き出す方向に舵を切る。そしてアターシャに協力することとなった。
勇者を持ち上げたいヤリマン公爵家側の狙いと、復興費を引き出したいオルフォンス公爵家側の狙いが折り合い、オルフェンス公はパンティーを英雄にするよう全力で動いている。
カブリオレ馬車のパンティーの横には金髪の大聖女アターシャ・ヤリマン公爵令嬢が澄ました顔で鎮座している。
内心では高らかに笑う姿が容易に想像できるな。
◇
僕達が訪れたのはバイブ武具店。
店の前に着くと伝説の鍛冶師ファニー・キャロンさんが出迎えてくれた。
臙脂の髪、尖った耳、幼女のような顔と体形だが、彼女は198歳のエルダードワーフだ。
「よう!てめーら!待たせて悪かったな。取り敢えず入んな」
中に入るとカウンターに3本の剣と4本のクナイが置いてあった。
黄金の金属で作られたそれらには4つの魔方陣が刻まれている。
「ファニー様、この付与は?」
「アタイが付与できる最高の特殊効果魔法、〈斬鉄Lv14〉〈対魔Lv14〉〈真空Lv14〉〈鉄血Lv14〉だ」
〈斬鉄〉は切れ味が増す強化。攻撃力が上がる。
〈対魔〉は魔法耐性が向上する。
〈真空〉は空気抵抗を取り払い剣速を上昇させる。
そして〈鉄血〉、使い手のステータスを上昇させる【HR魔導錬金術師】最強の付与魔法。
「売ったら凄そうね」とノエル。
「1本の原価が白金貨700枚くらいだからな」
「おい!聞こえたぞ!絶対売るなよ。こんな代物一生手に入らんぞ!」
と眉間に皺を寄せたファニーさん。
「名前はあるのですか?」パンティー
「ん、ああ、この一番デカいのがお前ので、名は〈ポルチオクラッシュⅡ〉だ。剣の大きさ形状はバイブの〈ポルチオクラッシュ〉と同じ設計だが、当時アタイが付与できた特殊効果魔法はLv9までだから、更に強力な剣に仕上がっているぞ!」
勇者バイブ・ビッグベニスの剣〈聖剣ポルチオクラッシュ〉、実物を見たことはないがこんな感じなのか……。かっこいいな……。
「次にこのナイフ、これは琉琉魔のお嬢ちゃんのだな」
刃渡り40センチ、幅10センチ程の重厚感あるナイフと4本のクナイ。それらは赤みがかった色をしている。
紅魔魔石の粉末をオリハルコンに混ぜているからだ。この魔石には相手の魔力を吸って、術者のMPを回復させる効果がある。伝説の武器の一つ〈狂剣スウヤツ〉と同じ性能だ。
強度は若干落ちるが〈グラビティ〉を使い続け、時に〈即殺〉も使うノエルにとって、かなり有効な効果である。
「赤が満ちた色をしているから〈満紅ダガー〉と名付けた!」
「かっこいい名前ね!」
ノエルは嬉しそうだ。
「そして最後はこの”刀”。これはゼツのだな」
「はい!」
「コイツはアタイの最高傑作よ。今まで何本も刀を打ってきたが、ここまで上等に仕上がったのは初めてだ。名は〈王刀こけし丸〉。一番良く打てたから”王”を付け、柄の部分が東倭国のコケシという人形に似ているからコケシ丸とした」
「〈王刀こけし丸〉……、いい名前ですね!」
「だろ!」
ファニーさんはニカっと笑う。
製作費はミスリルの原石で支払った。金よりもミスリルが欲しいそうだ。
◇
「この町に来ることがあったらまた店に来いよ!」
「はい!ファニーさん、ありがとうございました」
僕達はファニーさんにお礼を言い、彼女に見送られながらスクワードを立った。




