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二人の関係



 翌日、僕達は20層を目指しダンジョンを踏破していく。


 19層にて、ロックゴーレムの大群31体を前に僕は〈ガンシャ〉を顕現させた。

 ロックゴーレムはB級モンスター。体長7メートルの岩の巨人で、それが素早く走って人間を踏みつぶしたり、岩を投げて攻撃してくる。しかし視野は狭いようで接近しなければ攻撃してこない。遠方から〈ガンシャ〉でバラせば危険なく狩ることができる。


「パンティー様、また勝負しますか?」


「面白いですね。ふっ、上等ですよ!」


 ノエルの提案にパンティーはニヤリと笑う。先程二人で競うようにロックワームを倒したのだが、その続きをやるらしい。

 昨夜、ノエルとパンティーは喧嘩をした。しかし今朝になって急に仲良くなり一緒に行動している。


 ノエルは申し訳なさそうな顔で僕に、


「ゼツ君、一体だけ私とパンティー様が狩りたいんだけど、残しくれないかな?」


「ああ、いいよ」


 僕は秒でロックゴーレム30体をバラし、1体だけを残した。




 貴公子団の連中が核を集めている横でノエルとパンティーはロックゴーレムと戦う。


「はぁああああッ!」――ザンッ!!


 パンティーがロックゴーレムの片足を切断し、そのまま走って距離を取る。

 ロックゴーレムは倒れた瞬間、すぐに三足歩行に切り替え、獣のように素早く足を回転させて走る。数トンはあろう巨体が大地を蹴ると地面の岩は割れ、ガシャン!ガシャン!と物凄い衝突音が響く。


 逃げるパンティーを追うロックゴーレムにノエルが――、


「やぁーッ!」――グサッ!


 ロックゴーレムの目(顔に付いている二つの赤い玉)にクナイが同時に刺さった。


 ゴッゴッゴゴゴゴゴゴゴン!


 走るロックゴーレムは視界を失い、転倒してそのまま周囲の岩を吹き飛ばしながら大地を抉り、数十メートル滑走して止まった。周囲には土煙が舞っている。そこに――、


「うらぁああああッ!」――ダンッ!


 パンティーが飛び上がって上段から切りつけ、ロックゴーレムの片腕を切り落とす。

 これでロックゴーレムはもう走れない。


 パンティーは振り返りノエルに言った


「まぁ、こんなものですね。あとは二人で核に当たるまで――」


「危ないッ!」


 ノエルが叫んだ!

 よそ見したパンティーの頭上で、ロックゴーレムがもう片方の腕を振り下ろしていたのだ。


「え?」


 パンティーは頭上から迫る攻撃に気付いていない。


 僕は振り下ろされたロックゴーレムの腕に向かって〈ガッシャ〉を撃った!


 ドピュッ!


 ドッゴゴゴゴゴンッ!


 しかし種は着弾することなく、空を切って何処かへ飛んで行った。ロックゴーレムの腕の軌道が反らされたのだ。

 腕はパンティーを外し、彼女が立つすぐ隣の地面に突き刺さった。


 僕はノエルを見る。

 彼女はパンティーに向かって腕をかざしている。額には物凄い汗だ。


 そうか――、ノエルが〈グラビティ〉で腕の軌道を反らしたんだな。



 ドピュッ! ドピュッ!

 ――ドッゴゴンッ! ドッゴゴンッ!


 僕はロックゴーレムの残った腕と、足を吹き飛ばしておいた。


「パンティー様!大丈夫ですかッ!?」


 ノエルが青い顔をしているパンティーへ駆け寄った。


「こ、これ、貴女がやってくれたのですか?」


「軌道を反らすので精一杯でしたけど、でもパンティー様が無事で良かった」


 微笑むノエルの目には薄っすら涙が浮かんでいた。パンティーが潰されると思ったのかもしれない。ノエルも怖かったのだろう。


「……パンティー」


「え?」


「ですから、仲間といるときはパンティーと呼んでください」


 パンティーは頬を真っ赤に染めている。


「わかったわ。パンティー、……私のことはノエルって呼んでね」


「べ、別にいいですよ。……ノ、ノエル、……ありがとう」


 パンティーが恥ずかしそうに言った最後の呟きは、僕には聞こえなかったが、ノエルが笑っているから二人の関係は良好なのだろう。


ライバルニャンw」


 僕の横でティッシュが言った。






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