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加護の進化


 翌朝、僕は朝食の準備を終えてから眠るノエルの顔を眺めていた。


 昨日はいつもより時間を掛けてお互いを確かめ合うようにゆっくり本番をした。

 ノエルは何度もキスを求めてきて、終始とても満足そうだった。 それで、一日中狩りをして疲れていたのか終わるとすぐに眠ってしまった。


 昨日は二回本番をしたのだけど、一回目でレベルを上げることに成功し、二回目は上がらなかった。


 僕はなんとレベルが151へ上がった。


 お店で一番最初に本番した時よりも経験値を1.5倍多く獲得していると、僕の加護が教えてくれた。そのことから加護持ちと本番をすると経験値をより多く得られることが分かった。

 昨日の二回目の本番では経験値を獲得できなかったことから、やはり経験値を得られるのは初回だけのようだ。


 新しいスキルも何個か獲得した。


■■■■■■■■■■■■■■

【MR無責任種付おじさん】

Lv 151

⑤HP 8777

⑤MP 8777

⑤ストロングス 8777

⑤アジリティ 8777

⑤インテリジェンス 8777

〈アクティブスキル〉

感度操作4倍、ガンシャ、種付操作、フェロモンLv1、モーニングコーヒー、散種、わからせ

〈パッシブスキル〉

ゼツリンLv15、種強化Lv15、無責任

■■■■■■■■■■■■■■


 二回の本番だけでこれだけレベルが上がるのだから、この先レベルは上がりにくくなるとは思うけど、何百回何千回と本番をすれば、アエロリットが言っていたようにレベルが2500まで上がるのかもしれない。


 レベル2500か……。そんなの想像を絶する化け物だ……。



 昨夜、ノエルが眠りに着いた後、ステータスを確認してからノエルの隣に寄り添って横になった。


 レベルが上がってから僕は眠る必要がなくなり、ここ数日ずっと起きていたのだがノエルに触れていると何故か気持ちが落ち着いて眠ることができた。

 僕が寝ていたのは2時間くらいだが、それでも緊張やストレスを十分に解消できた。


「んっ……」


「おはよう、ノエル」


「……ゼツ君、 うぅううう、恥ずかしい」


 ノエルは顔を覗き込んでいた僕を見ると、上に掛けていた上着で顔を隠す。


「朝食、できてるよ」


「えっ!ご、ごめん。 私、寝過ぎちゃった」


 僕は奴隷生活を5年間送る中で料理が作れるようになった。現場によっては交代制で炊事をしていたからだ。


「昨日は疲れてたんだろ。 気にしなくていいよ。 先にコーヒーでも飲む?」


「んっ」


 ノエルは上半身を起こすと目を瞑り僕に唇を差し出す。

 先ずはキスがいいようだ。 僕は「ふっ」と鼻で笑ってから彼女の小さな唇に自分の唇を重ねる。


 チュッ チュッ チュッ







 今日も狩りをしながらスクワードを目指す。

 予定では今朝、スクワードに着いている筈だったが、狩りをしながらの移動になったので街へ着くのは今夜になりそうだ。



 昼を回った頃、ノエルがソレに気付く。


「ねぇあそこ、地面から虹が出てるよ」


 僕はノエルが指差す方向を注視する。

 岩肌と草むらが入り混じる高原で、ずっと先の岩陰から小さな虹の柱が出ている。


「あれ、レインボースライムじゃないか?」


「レインボースライム?」


「うん、A級モンスターだよ。攻撃はしてこないけど、逃げ足が速くて誰も倒すことができなんだ」


「ゼツ君のガンシャなら当てられるんじゃない?」


「やってみようか」


「うん!」


 A級モンスターなら大量の金をドロップする可能性がある。

 倒せれば金銭面でかなり楽になる。


 僕達は草むらや岩陰に隠れながら移動し、レインボースライムが見える位置まで移動した。


「七色のスライム」


 ノエルが呟く。


「ああ、やはりレインボースライムだったな。 アクティブスキル〈ガンシャ〉!」


 僕の手にガンシャが顕現した。


「種転送、〈種強化Lv15〉」


 A級モンスターとは初めて闘う。 万が一にも逃がさない為に、今の僕の最強の種を装填する。

 距離は約80メートル!この距離なら外さない!


 ドピュンッッッ!!!


 闘気を纏った種が物凄いスピードでレインボースライムへ迫る。

 ヒットするかに思われたが、種が当たる瞬間、スライムが消えて背後の岩が吹き飛んだ。


「外した! スライムは!?」


 いたッ! 物凄いスピードで移動している。 僕のアジリティで強化された動体視力でもこれ以上離されると目で追えない。


「ゼツ君! 待って!」


 僕は咄嗟に走り出した。


 レインボースライムを追う。動きは速いがジグザクに逃げているから何とか追走できている。


 さっき、僕の種がヤツの周りに展開されていた虹色の光に触れた瞬間、ヤツは動いた。つまりアレが触覚になっているってことだ。

 ならば威力は落ちるが新しいスキルを試してみるか。


 走りながら呟く。


「種転送、アクティブスキル〈散種〉〈種強化Lv15〉」


 次に僕は空へ飛んだ。10メートルくらい上昇し最高到達点でガンシャを構える。

 激しく逃げるレインボースライムの動きをアジリティで強化された目が追い。次の動きをインテリジェンスが予想する。


 ドピュンッッッ!!!


 高速で飛び出した種の塊は、空中で無数の種に分かれる。〈種強化Lv15〉で纏った闘気も分裂するから一発一発の闘気量は少ないが、全体に散らばったこの種量は不可避である。


 レインボースライムがいた場所に無数の種が着弾しスライムのゼリー状の体が弾け飛ぶ。


 急速に再生しようとするスライムに、空中に飛んだままガンシャを向ける。


 スライムは核を壊せば死ぬ。 核は……、あれか!


 地面に拳程の核が転がりそこに飛び散ったスライムのゼリーが集まろうとしている。


「種転送、〈種強化Lv1〉」


 ピュッ!


 種は核に当たり、核は十数メートル先へ飛ばされる。



 地面に着地すると核の元へ駆け寄った。

 核には無数のひびが入っているが、黒い霧になって消えていからコイツはまだ生きている。


 後から追ってきたノエルが到着した。


「ゼツ君、早すぎるぅ~」


「ノエル、コイツにアクティブスキル〈闇魔法−即死Lv1〉でとどめを刺してくれ!早く!」


 もたもたしていると回復してしまう可能性がある。


「う、うん、わかった!アクティブスキル〈闇魔法−即死Lv1〉!」


 レインボースライムの核を黒い髑髏どくろ形の光が包み、髑髏が消えると核は黒い霧になって消えた。



「えっ!?なっ、なに!?」


 ノエルが驚きの声を上げ、僕は彼女を見る。

 直後ノエルが光に包まれた。


「こ、これは――。〈加護の儀〉の光ッ!」


 光が収まると、地面にヘタレ込んだノエルが言う。


「私の加護…………、進化した」







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