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王都に到着


 すると、連中を連れて、俺についてきたモリブデンの事務官が訪ねてきた。


「男爵。

 王都から使いが参りました」


「無事でしたか、シーボーギウム卿」


 いったい誰だよ、そのシーボーギウム卿って。

 どうも俺のことを言っているようなのだが、初めて聞いたぞ、そのシーボーギウム卿って。


「ああ、さすがに連中はここまで来ませんでしたので。

 ですが、あんな王都の目と鼻の先に変な連中を屯させても大丈夫なのですか……その、国の法律とか」


「ええ、報告は門兵に聞きました。 

 明らかに反乱行為ととらえられないことなのですが……」


 語尾をここまであからさまに濁されるのを聞いたのは久しぶりだ。

 俺が転生前に数回聞いたくらいで、ここまであからさまなのは初めてかもしれない。

 流石に王都で相当な勢力を持つ侯爵あたりなのだろう。 

 でないと、今頃あれを準備した連中はお取り潰しになっても不思議が無い。


「ですが、今朝はいないようですので、本当に助かりました。

 これから移動します」


「そ、そうですね」


 この人も俺たちが王都に入るのを歓迎はしていなさそうだ。

 まあ、考えればわかるわな。

 明らかに王都内での貴族同士の権力闘争に繋がるのは子供でも分かる。

 出来れば穏便に済ませたかったのだろうが、俺たちも王都に入らないと何もできないので、反対もできないようだ。

 

  俺たちは、奴隷を連れてひとまず冒険者ギルドに向かう。

 冒険者ギルドで、暁さんたちに、捕まえた夜盗の処理をしたうえで、俺はそのまま商人ギルドに向かい、オークション参加の処理を行った。

 一応、冒険者ギルドから先ぶれを出していたので、俺は商人ギルドに入るとそのままギルド長の部屋に通された。


「いきなり、大ごとになったようですが、正直に申しますと……」


 ギルド長は、俺たちの訪問が不満だったらしい。

 前に訪問した時の注意事項は守っているのだが、それでも俺は歓迎されていないようだ。


「それでだ。

 前に話した奴隷の件だが、オークションまで預かってくれんだろう」


「ええ、ギルドの規則では預かることは可能ですが……」


「ここも襲われるというのか?」


「いえ、そんな……ことは……」


 かなり苦しそうだ。

 ギルド長にもかなりの圧力がかかっているようだな。

 しかし、ドースンさんにでも預かってもらうことはできそうだが……そうだ、俺の店で預かるか。


「もし、預かれないというのならば、俺が連れて帰るが、そうなると王都がいささか……」


「それは、どういうことで」


「いや、商人ギルドがオークション参加の奴隷を預かれないのならば、俺の屋敷や店に連れていくしかないだろうが、そうなるとまた……」


「王都で乱闘がというのですか」


「ああ、俺としては別に奴隷が殺されようが盗まれようが、正直構わないのだが、しかし、宰相あたりに説明はしないとまずいしな」


「説明ですか」


「ああ、騒ぎをなぜ起こしたかの説明だ。

 規則にあるはずだが、何かしらの圧力でギルドから預かりを拒否されたと宰相に報告の上に、王都の貴族街に夜盗が出たとな」


「そ、それは……わかりました。

 規則に則り預かります」


「よかったよ。

 俺も宰相に説明するのは少々気が引けたのでな」


 しかし、一度宰相に文句の一つでも言ってもいいよな。

 まともに政をしているのならば、貴族連中の手綱くらいしっかりと握っておいてくれと。


 とにかく、商人ギルドに30人ばかりの借金奴隷を預けて、俺は店に戻る。


「おかえりなさい」


 店では店長のカトリーヌから挨拶を受けた。


「バトラーさんからの(ことずけ)ですが、男爵がお帰りになりましたら屋敷のほうにと」


「早速、屋敷の呼び出しか。

何か用は聞いているかな」


「いえ、別に。

 ですが、割と急いでおられたような気が……」


 屋敷のお披露目の件かな。

 どうでもいいが、早く終わらせないと俺のほうがきつい。

 俺は、荷物だけを置いて屋敷に歩いて向かった。


 前に屋敷に入る際には正面玄関を使えと怒られたので、俺は正面玄関に向かったが、歩いてここに来るとえらく場違いな感じがしてならない。

 大き目な車寄せに、男が一人。

 目の前にはこれまた大きな扉があるが……どうしよう。

 勝手に俺が開けたらまた怒られそうだが……


「たのも~~!」


 俺は、思い切って大声を上げた。

 慌ててバトラーさんがメイドを連れて屋敷から出てきた。


「だ、男爵。

 これは……どういうことですか」


 俺は呼ばれたから来たのだが、なぜか怒られた。


 しばらくメイドたちからもお小言をいただき、無事に解放……とはならず、その後に本来の目的の話し合が始まる。

 やはり用事というのは屋敷のお披露目のことだ。

 屋敷のほうは準備がほぼ整い、あとは日時を決めるだけになっていた。

 そのあたりの細かなことは、バトラーさんが伯爵の執事の肩を通して、伯爵家とも話し合いが済んでおり、10日後に内輪だけでこじんまりした形で行うことになるようだ。


 この場合の内輪というのが、俺の常識とはかなり離れて、伯爵の派閥でも、重要な者達を20家くらい招待して行われるらしい。


 俺は、その計画に承諾するだけなのだが、それでも結構いろいろとあるらしく、招待客に持たせる土産の選定などもあるらしいが、これはお姉さん方の提案で、高級石鹸の詰め合わせで済むらしい。


 俺にとって、これ以上にないくらいに負担のないものだが、バトラーさんやメイドたちが言うには、これってかなり破格の手土産のようで、今回のように伯爵派閥の重要な家だけを招待しているからできることらしい。

 

 これが普通のお披露目のように、やたらと招待するようならば、男爵家を中心に子爵や騎士爵に、派閥から上役になる伯爵の代理として誰かが来るくらいのものになるので、石鹸など高級すぎて配れないらしい。


 そうなると、俺は王都で何かを探さないといけなくなるし、何より購入しないといけないので、お金が出ていく。


 いくら高級品といわれていても石鹸など俺にとってはただも同然で手に入るというか、つくればいいだけなので、こっちのほうが助かったというべきか。


 奴隷のオークションについては、俺の屋敷のお披露目以降になる。

 どうも、何度か商人ギルドが襲われているようで、そのあたりの影響かどうかは知らないが、先ほどギルドより連絡を受け取った。


 うん、このあたりの事を宰相に文句を言っておこう。

 宰相にもお披露目の案内を出しているので、代理人くらいは来てくれるらしいので、俺の抗議のお手紙を手土産と一緒に渡しておくつもりだ。


 とにかく、屋敷のお披露目が終わらないと俺は何もできなくなっていた。


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― 新着の感想 ―
なんか今回は誤字が多いな がんばってください
宰相仕事しろw 押し付けられた上にちゃんと結果を出したのにフォローもなしとか無能言われてもおかしくない
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