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慰撫

 

 最初は少女のお願いを皆にも聞いて欲しくて始めた雑談だったが、前にも開いた領地運営の方針会議のような感じになっていく。

「政は、私たちが集まって会議でもしながらになりますしね」

「ええ、そうでもしないといくらでも仕事を作る人がいますから」

「マリーさん。

 それ酷すぎませんか。

 私は好きでしているわけではないのですが」

「ええ、そうなんですか。

 私はてっきり私たちを困らせるのがレイ様のご趣味かと思っていなしたのよ」

「マリー、そろそろ許してあげたら。

 レイ様もお困りよ」

「こういうときだけエリーはいい子になるから。

 でも、今すぐでなくとも拠点が増えますよね」

「そうですね。

 今でも三か所に拠点を置いておりますが、モリブデンだけでもレイ様の店以外に今では娼館が二つに王都にも店がありますしね。

 それに、さすがに王都の貴族屋敷はどうにかしないとまずそうですかね」

「それは大丈夫かと思うよ、エリーさん。

 とりあえずバトラーさんが行くことになるし、それに元男爵家のメイドたちも屋敷に詰めてもらうことにするから。

 それに王都の店のみんなも屋敷に住まわせるつもりだ」

「え、そうなのですか」

「ああ、店には風呂が無かったしね。 

 王都の屋敷にはモリブデンと同じ風呂を作る。

 これはすでに頼んであるから決定だ。

 それに、俺たちにはいくらでも情報のやり取りができるから、何かあればすぐに連絡がつく。

 俺たちが常時連絡を取り合えば十日くらいは時間を稼げるだろうし、それだけあればここからでも王都に向かえる」

「船が使えればの話ですよね、レイ様」

「ああ、その通りだよマリーさん。

 だから、できるだけ早急にこことモリブデンとの間の船便の使える環境を整備したい」

「そうやって、すぐに仕事を増やすから……ですが、それは必要ですね」


 俺たちは屋敷に戻ったすぐに始めた雑談から今後の方針を決めていた。

 とにかく、船乗りの養成を急務だが、それ以外にも俺たちがいつでも使える船も準備しないとまずそうだ。

 尤も、王都で拝領した屋敷のお披露目をするまでに準備すればいいだけで、前に話を聞いた限りでは一年くらいの猶予はある。

 近々もう一度モリブデンに出向いて、船大工を連れてくる必要がありそうだな。

 前に船の修理を頼んでいた棟梁に口約束だが、こちらに来てもらうことになっている。

 それを俺の都合だけれども、急いでもらおうかな。


 帰宅後そのまま勢いで始めた領地運営会議も無事に終わり、その日はいったん解散となった。

 でも、俺には大切な仕事が残っている。

 散々領地で苦労を掛けているエリーさんをはじめ前から俺についてきてくれた奴隷たちの慰撫だ。

 その夜もそれはそれは大賑わいの大運動会をして、その夜は収まるが翌日に移動などできるはずなく、大運動会に漏れた者たちの慰撫を朝食後から始めて、とりあえずみんなの不満を抑えるのに成功した。


 当然その日も他の仕事などできるはずなく夜まで同様で、そろそろ真剣に俺の命の心配をしたくなるが、さすがに翌日には平常運転に戻れた。

 俺は朝食後に朝から浜に行き、子供たちが作るチョークの品質の確認と、作業の見直しを相談していく。

 チョークも事業化していくので、真剣に設備を含めて周りの整備を始めることにした。

 現在は、メイドもしくは年配の人を一人配置して子供たちの安全を確保していたのだが、まあ、今のところ領地内での不心得者は出ていないので、そんな人要るかって感じなのだが、それでもちょくちょく面倒ごともあるようで、それなりに仕事があった。

 それら面倒ごとの多くがいわゆる工場事務のようなものらしく、そろそろ専門に人を付けた方がよさそうだ。

 それにいつまでも野外での生産もかわいそうだし、何より設備が悪い。貝殻を炒るにしても専用の竈を用意してあげたい。

 何せ、量産しないとまずくなる。

 ついでに職人たちに任せている黒板つくりも、同じ建屋に集めて、できればそれらも子供たちを中心に、職にあぶれた者たちをまわしていきたい。


 それと、若者の再教育もある。

 今まで街内でのこまごまとした仕事をしていた者たちに対して、当分同じ仕事を用意できそうにない。

 何せこの街は一旦崩壊したのだ。

 人口も流行り病が蔓延する前と比べても三分の一以下まで減っている。

 街そのもの機能がマヒしている状態である以上、今までのような仕事は無い。

 俺がここを引き継いだ時に考えたのが、面倒ごとが少ないうちに初めから街つくりをしてしまおうというものだ。

 地元の有力者がどうとかが無いので、いくらでも強権を発揮できる状態なのだ。

 これを放っておくと、今までの延長で好き勝手する者たちが現れてまえ以上にひどくまずい状態になることは明白なのだ。

 これも、エリーさんをはじめバトラーさん達から散々言われていたことなので、とにかく最初は治安維持のために俺が連れてきた奴隷たちに街の見回りもさせて、とりあえず犯罪だけは防いでいるが、いつまでもこの状態はまずいとも言われている。

 冒険者ギルドがあれば協力を依頼もできるが、冒険者だけでなく商人ギルドすら逃げ出してしまった状態だ。

 商人も俺が頼んで連れてきたフェデリーニ様しかいないのでギルドの必要も無いが、そのうちここが復興してくると商人も増えてくるだろうから、その時にはフェデリーニ様にでもお願いして商人をまとめてもらうつもりだ。

 そのフェデリーニ様は現在仕入れのために船で商業連合国に言っているとかで不在だそうだが、現在まともな商業活動もできない状態なので、店が閉じられていても問題は無い。


 それで、話を戻して若者たちの再教育先だが、現在考えているのが船乗りと船大工など港周りの仕事だ。

 俺がそのうちパワーレベリングをして、付近の海での漁もしてもらおうかと考えているが、ある程度のレベルが無いと近くでも海中に潜む魔物が危ないらしい。

 まあ、必要レベルも大したことは無いらしく、付近の森を10日も歩けば簡単に必要とするレベルに達するらしい。


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