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価格の決定

「いや、それは遠慮しておく。

 娼館については俺が支払おう。

 娼館も俺も共同の経営者になっていたよな」

 俺がそういうと今度は店の連中からブーイングが出てきた。

「それを言うならここもレイ様の店ですが」

「ああそうだな。

 別に売るつもりもなかったのだが、他に売ることを考えていたので値付けの意味があったんだ。

 許してくれ。

 だが、そのおかげである程度の相場っていうのか、それが決まったかな。

 この黒板と白墨のセットで無臭の石鹸が10個と同じになった訳だ」

「ですがレイ様。

 その石鹸ですが、売り先で値段が違ってきますが、店売りの価格にしますか」

「店売りの価格って確か……」

「ええ、金貨5枚ですから、10個ですと金貨50枚になりますね」

「いやいや、さすがに金貨で50枚は無いだろう」

「確かに高いですね……ですが」

「ああ、娼館卸しで考えようか。

 金貨で5枚はどうかな」

「それですと妥当かと思いますが、そうなりますとかなりの人が欲しがるのでは」

「当分はお得意様だけに販売することでその価格にしておこうか。

 手数料金貨一枚で販売を頼めるか」

「はい、お任せください」

「ですが、字を書く奴は白墨でしたか、それって使っていくと減りますよね。

 追加で、これだけの販売もありますか」

「当然だな。

 10本単位で売りたいが、どのくらいの価格にしようか」

「様子を見ないと分かりませんがガラスでできたペンでも金貨数枚になりますので、金貨1枚でどうでしょうか」

「白墨10本で金貨1枚か。

 いいだろう。

 なら残りを全部置いていこう……あ、1セットだけは王都に持っていこう」

「え?これ王都で使うのですか。

 大騒ぎになりませんか」


「いや、王都の店にも持っていかないと絶対にまずいだろう。

 どうせここでの情報は筒抜けなのだから」

「アハハ、何のことでしょうか。

 ですが、確かにそうですね。

 モリブデンだけ、それも店だけでなく娼館でも使っていると知れば、いい気持にはなりませんよね」

「そういうことだ。

 どちらにさえよ、船で定期的にここに持ち込むことにするから、頼むわ」

「はい、お任せください。

 それよりもレイ様。

 今の口ぶりですとすぐに王都に向かいますか」

「ああ、王都の店も気にはなるが、あそこには陛下より屋敷を拝領しているので、いつまでも放っておくわけにもいかないのだ。

 だから、そろそろ考えないといけないし、一度そのあたりも相談しておきたくてな」

「それこそアイテムボックスを使えば……」

「それもあるが、店以外とも相談することがあるので、アイテムボックスは使えない。

 まあ、王都に行かないとあっちもへそを曲げる者も出てしまうし、なるべく行くようにしている」

 俺の話を横で聞いていたサリーさんが俺に聞いてきた。

「子供たちも連れて行くのですか」

「あ、そうか……連れていけなくも無いが、時間がかかるしな。

 ここに置いていくしかないか」

「船で戻すこともできますが」

「さすがにそれはかわいそうだ。 

 俺が無理して連れてきたのだ。

 悪いが面倒を頼めないか」

「面倒と言いますと……」

「勉強を見てほしいのと、モリブデンでの様子を色々と見せてやってくれ。

 俺の領地も港町だ。

 ここモリブデンはある意味領地の理想というか目指すべき目標の一つでもあるしな」

「子供たちに、目標とする街の様子を学んでほしいと」

「そういうことだ。

 で、サリーさんは、王都にも一緒に来てくれるのだろう」

「はい、と言いたいのですが、私だけレイ様を独占すると後が怖いので、マリーがご一緒します。

 私はその間、ここの娼館の面倒を見ていますから」

「え?

 そういう話はついているのですか」

「いえ、これから娼館に行ってお話合いですが、レイ様も一緒にいてくれますよね」

「あ、ああ」


 おれはその場でサリーさんにつかまり娼館に向かった。

 と言っても、店から娼館までは目と鼻の先だ。

 歩いてすぐにつく。

 それだけの距離なのだから、俺たちがモリブデンにいることはすでに娼館には伝わっている。


 娼館に入るとすでにそこにはサリーさんが待っていた。

 俺を見つけると挨拶もそこそこに俺の手を取り事務所……ではなく空いている部屋に連れ込まれた。

 今まで三人で切り盛りしていた娼館二つを短い期間だとは言え一人で回していたのだ。

 寂しかったのか、いきなり甘えてきた。

 サリーさんもマリーさんの気持ちがわかるのか付き合うように服を脱ぎだす。


 そう、いきなり3Pが始まった。

 で、ピロートークになって初めて王都行きの件での話し合いが始まった。

 俺付き当番?であるサリーさんが良いのならば、全然問題ないらしい。

 その場で王都に行くことが決まる。

 それなら一度店に戻ろうかと準備を始めていると、今度はここ特殊浴場系の娼館を実質的に任されているサトさんが部屋に入って来た。

「サトのこと覚えておりますか」

 いきなりマリーさんが俺聞いてきた。

 黒髪の美人だ。

 こんな人一度会えば忘れるはずは無いが……あ!

「やっと思い出していただけたようで、安心しました」

 そうだよ、王都でお姉さん方が仕入れた異国美人だ。

 確かもう一人と一緒に、建国際の時に外国の奴隷商から仕入れた美人で、ここ風呂付の娼館で働けるように俺が初めてを頂いたのだった。

 その後も、俺の知る知識を彼女と一緒に試行錯誤してこの世界に令和の文化を再現していったのだった。

「サトさんがここを任されているのか。

 そうだよな、ここは普通の娼館と違うサービスをしているものな」

「ええ、今ではここだけでなく多分モリブデン一番の人気嬢になっておりますよ」

「そうそう、私がモリブデンを離れる前では私たちの全盛期に迫る勢いもありましたしね」

「サリー様。

 私ではまだそこまでは……」

 サトはもはやこの国の伝説とまで言われる女性から褒められてはたまらないのだろう。

 顔を赤らめて恥ずかしそうにしている。

「私のことはレイ様のおかげかと思っております」

「俺のおかげ?」

 俺がいきなり話に出てきたので、思わず聞いてしまった。

 彼女が言うには俺の持ち込んだサービスが珍しかったのかすぐに娼館が人気になり、店一番であった彼女も必然的に人気が出てきたのだと、しきりに俺を持ち上げてくる。

 それこそ今度は俺が恥ずかしくなってきた。

 だって、美人さんと楽しめるとしか考えていなかったものだから、それをいきなり褒められるって、褒め殺し以上に辛いものがあった。


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