Fairy tale 『Fairy forest』
文中の英語は、あまり深く意味を考えないで下さい。直訳すると長い英文になってしまう故に、省略しているだけなので。
それでは、ごゆっくりどうぞm(_ _)m
おとぎ話『妖精の森』
これは、まだ人の争いなど無く、皆が生きることに専念していた頃のお話。
人々は自国の発展と、反映のために土地を耕し、皆がそれぞれ手を取り合いながら生活をしていた。
そんな世の中に、森には妖精達が平和に暮らしていた。
その世界は情に溢れ、豊かで、光に満ちている。
妖精たちもそんな世界を愛していた。
しかし、長い年月が流れるとその環境も変わる。
人が大きくなるとそうなるように、世界も変わってしまう。
これは、必然的に生じた事だと言っても過言ではない。
そう、人とはさらに上を目指す、欲望に満ち溢れた生物なのだ。
その暮らしに満足などせず、更なる高みへと・・・。
自国に足りない物資を補うためにどうするか、狭くなってきた領土を拡大するためにどうすればよいのか。
答えは単純明快、奪えばいいのだ。
やがて、争いが起こり始める。
妬み、欲情そういった感情が争う心を生み出してしまうのだろうか。
世界を取り巻く不の感情が、さらにそれを拡大させる。
そうして、世界の、いや、存在するものすべてにおいて共通する不の感情は、他のあらゆるものを否定し、根絶やしにしようとする。
それは、世界の秩序に基づく正しい理なのだろうか?
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「コリン!ご飯できたよ。」
「うん。すぐに行くよ。」
「もう、先に行ってるからね!」
ここは、森の深部。
入り混じった木々の道の、そのまた奥にある樹海の集落。
そこには、たくさんの妖精が住んでいた。
世界の異変により、妖精たちの行き場は限りなく狭くなり、今では森の最深部、人の手の届かぬ場所でしか生息できなくなってしまった。
昔は友好的だった人も、今ではその関係も終わったに等しい。
妖精は、人の前には出ることが出来なくなった。
大きな理由としては、捕獲されるから。
その希少価値から妖精は高値で売ることが出来る。
これもまた、人の生み出した欲情のひとつだろう。
それでも尚、妖精はこの世界に存在し続けた。
この世界の森が、木々が大好きだから。
だから、傍に居続ける。
いつかまた、かつての様な生活が出来ると、彼らはそんな甘い考えだけを信じて止まない。
「でーきた!」
両手一杯に花で作られた冠を持ち、まじまじと眺める。そして、ひらひらと可憐な舞を踊ってみせた。
「へへへー。」
その冠の大きさは彼女自身の大きさと差ほど変わらない。
多量の労力をつぎ込んだに違いない彼女は、その出来に満足げの表情だ。
「よし!ご飯食べにいこっ!」
冠をその場に置き、家に帰ろうとした。
だが、何か大きな物音が彼女の耳に届いた。
「なんだろう?」
疑問を抱くとすぐに身体を反転し、そちらの方向に向かった。妖精とは皆、好奇心旺盛な生き物なのだ。
そこいたのは、自分よりはるかに大きな、十倍、いや、二十倍はあるだろうか?
大きな山のようなものをイメージさせる、『人』が倒れていた。
その姿を見たコリンは、一瞬でその存在が何かを理解した。
巨人族。野蛮で、気の荒い種族だとも聞いている。
しかし、この巨人族は身体に傷だらけで、そして蹲りながら泣いていた。彼の足元には滴り落ちる雫で一杯になっていた。
「どうしたの?」
彼女は迷うことなくそう尋ねた。
しかし、そこで一瞬われに返ってしまう。
巨人族は野蛮なのだ。襲われるんじゃないだろうか、と。
しかし、こちらに気づき、顔を上げたその表情は悲痛に満ち、この小さな私に対して怯えている。どう見ても怖がっているようにしか見えなかった。
即座にこわばった顔をやめ、私はやさしく話しかけた。
「どこか具合が悪いの?」
しばらく続いた沈黙が続き、私は不思議そうに首をかしげ、再び問うた。
「どうして泣いているの?」
すると彼は、小さいがそれでも凛として響き渡る声で答えた。
「僕は・・・怖いんだ。」
目は虚ろに、両手は顔を覆い隠すように。
手の隙間から私を見ていた。
その両手はまるで私を遠ざけているかのよう。
あからさまに怯えている。
「何が怖いの?」
その問いに、しばらく間をおき、答えた。
「みんな。・・・みんな怖いんだ。」
「私も?」
そう言うと彼は視線を逸らし、俯いた。
「私は怖くないよ?」
その言葉には自信があった。
事実、私は生まれてからこの方他人に怯えられた記憶など一切ない。
野山の鳥や、小動物たちからも。
「・・・うん。」
「君のほうが怖いよ?大きいし、強そうだから。」
そう言うと、両手をぶんぶんと振りながら彼は言った。
「僕は、怖くないよ。臆病だから。」
巨人族なのに、臆病者。
「ふふ・・・。」
私は、その言葉に少し笑みをこぼした。
「どうしたの?」
不安そうに彼は尋ねる。
「ううん。さっきまで怖かったけど、もうぜんぜん怖く無くなっちゃった。」
そうして彼の目の前まで近づいていった。
「怪我をしてるの?」
「うん・・・。」
「痛い?」
「・・・・・・・うん。」
「ちょっと、待っててね。」
蹲った彼をその場に待たせ、私は一度家に帰った。
そして、両手一杯の薬草を彼の傷口に塗ってあげた。
「・・・ありがとう。」
「いいよ。そうだ、名前は?」
「僕の?」
「うん。私はコリン。あなたは?」
「・・・・・・クルタ。」
「クルタ?そう。よろしくね。」
私がそう言うと、クルタは恥ずかしそうに頷いた。
「クルタのお父さんとお母さんは?」
その問いに、彼の顔は固まった。
「・・・。」
「迷子になっちゃったの?」
「・・・ううん。逃げてきたんだ。」
「誰から?」
「お父さんと、お母さんと・・・皆から。」
「どうして?」
「・・・皆怖いんだ。」
「・・・そう。」
問いたださなくても、その彼の心境は想像することが出来た。
そのときのクルタは今にも泣き出しそうで、大きかった山も、今ではとても小さく見える。
「そしたら、人間がたくさんいて・・・皆、僕を追いかけてくるんだ。」
「・・・。」
「必死で逃げてたら、森に迷い込んで・・・さっきあの崖から滑り落ちて・・・。」
そう言うと、クルタはまた泣き出してしまった。
「よしよし。そっか、怖かったんだね。」
私はクルタの頭上まで空を飛び、なでてやった。
「それじゃ、この森に住めば?私から長老に話してあげるから。」
「う、うう、・・・僕、は、きらわれ・・者だから・・・。」
「大丈夫だよ!皆良い人ばっかりなんだから。クルタもみんなの友達になれるよ。」
そうして、私は長老に頼んだ。
初めは渋った長老も彼の人柄の良さを知り、徐々に認めつつある。
何より、皆彼と打ち解けてしまった。
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巨人族と妖精たちが共に過ごすことなど前代未聞の出来事だろう。
だが彼らは長い歳月を共に過ごし、共に笑い、泣いてきた。
彼らの平和だった日常に、その負の蝕みはすぐ近くにまでやってきていた。
巨人族のクルタはすっかり皆になじみ、平和に暮らしていたとある日。
「クルタ!ご飯持って来たよ。」
木陰に腰を下ろし、空を見上げていたクルタは小さなコリンのほうへ目を向ける。
大きすぎるその身体は彼女らの家にはとてもじゃないが収まらない。
故にこの大きな木下で休息をとっている。その場所は妖精の集落からは少し離れているので、こうしてコリンが毎日食料を持ってきてくれる。
「いつもありがとう。コリン。」
クルタは色んな木の実をかじりながら食べる。
その大きさとは裏腹に、木の実や野草などでお腹一杯だ、満足だと、彼は言う。
「あ、その花冠、ボロボロになってきたね。」
「そうだね、ずっと着けていたから。」
仲間の印にこれをあげるとクルタがコリンから譲り受けた花冠。
その日以来クルタいつ何時でもその冠を大事に肌身離さず身に着けていた。
「また、新しい物を作ってあげるね!」
「いいよ、僕はこれで満足だから。」
「よくないよー。身だしなみはちゃんと整えないといけないってママが言ってた。」
「そっか、それじゃお願いしようかな?」
「いいよ!楽しみに―――」
ズドン!!
彼女の言葉を遮るかのように、大きな地響きが鳴った。
鳥達は飛び上がり、早々にその場を離れていく。
「いったいどうしたの?え・・・。」
小鳥の一匹がコリンに近づき何かを告げるように鳴いた。
「そんな・・・。」
「どうしたの?」
動揺を隠せないコリンの表情を見て、クルタは思わず問いかけた。
「森に・・・たくさんの人が・・・。」
「え!?」
これにはクルタも動揺を隠せなかった。
今までこの神域に人など入って来たことは皆無だったのだ。
「森に火を放ってるって!木々を切り倒しながらこっちに近づいてるって!」
「コリン!落ち着いて!長老の元へ行こう。」
「うん。」
長老の家には、既にたくさんの妖精たちが集まっていた。
「長老!私達はどうすれば!」
その場に居るたくさんの大人達は慌しく叫んでいる。
「今になってなぜ?この場所が知られたのか・・・。」
長老は苦悶の表情で頭を抱えている。
「長老!この森に人が来たって!」
コリンは戸惑いを隠せない様子でそう叫んだ。
その様子を見て長老は微笑んだ。
「おお、コリン。皆、集まったな。今から話すことをよく聞いてくれ。」
騒々しかったその場がシーンと静まり返った。
「人間がこの場所へ向かってきているらしい。目的は・・・我々妖精を捕獲しに来たのだろう。」
「そ、そんな・・・。」
たまらず妖精の一人が呟く。
「いいかい?皆、よくお聞き。わしら妖精は、森と共に在らねばならない。皆、家に帰り、荷を整えてきなさい。洞穴へ身を隠すのだ。」
わかりました。
妖精の皆はそう呟き、各々が家へと戻っていく。
どういうことだ?クルタは一人疑問を覚えた。
人間が来たんだ、他の場所へ逃げないとどうなるかわかっているはずだ。
あの賢い生き物は隠れた場所なんてすぐに見つけ出してしまうだろう。
「クルタ。」
一人その場にたたずむクルタに、長老は予期せぬことを言い伝えた。
「お前はこの森を出て、逃げなさい。」
「え?」
「お前ならば、平原を出ても無事わたりきることが出来るだろう。
いいかい、この森の裏手には川が流れている。
その川を、下るのではなく、上るのだ。すると広い平原に出るだろう。
その平原を、真っ直ぐ横断しなさい。そこには小さいが森がある。
そこならそなたも暮らしていけるだろう。
その森の長老とは私は知り合いだから、紹介文を書いてあげよう。」
「待ってください!皆は?一緒には行かないの?」
クルタのその台詞に、長老は俯いた。
「どうして僕だけ・・・。僕もこの森の一員なんだ!皆と一緒に・・・」
「わしらは、行けないのだ。」
「どうして?」
「わし等には広大な平原を渡りきる力がないのだ。」
そんな・・・。
「僕が皆をおんぶすればいい!そうすれば渡れるでしょ?」
目じりが熱くなり、クルタは涙を流した。自分は、この森の一員なのだと。
皆に救ってもらったんだと。
恩返しする時なんだ、と。
だが、長老は皆で行こうとは言わなかった。
「どうして?また一人は・・・嫌だ。」
「すまない。クルタ。わし等はこの森を捨てられんのだ。
この森があり、わしら妖精がある。故にわし等は森と共に命を共にせねばならない。
わかってくれ、クルタ。」
「僕も・・・残ります。」
「それは駄目だ。」
「どうして!僕は妖精ではないからですか!?」
そう問うと、長老は大きな声で叫んだ。
「そうだ!クルタ!お前は妖精ではない。それに、お前が奴ら人間を連れてきてしまったのではないか?そうだとすれば、お前はこの森に居る資格はない。」
「そ、そんな・・・。僕は・・・。」
「いいから早く行きなさい!」
「う、うわああああ!」
「・・・・・・すまない。クルタ。」
彼は、そんな風に言われるとは露にも思ってはいなかった。
しかし、可能性は無いとは言えない、彼は何も言えなかった。
だから、走り出した。
走りながら、僕はやはり巨人族なんだと、妖精とは違うのだと、僕は仲間はずれなんだと、涙を話しながら走り続けた。
どれくらい走っていただろうか?
言われたとおり、川を上り続けていたが、クルタはコリンのことを思い出した。
そうだ、自分が急にいなくなれば、コリンは心配するだろう。
せめて、一言。そうしてクルタは来た道を戻っていった。
かつて、集落があった場所には誰もいなかった。
ただ、荒々しく壊された家や、木が倒された後が目に付いた。
「皆・・・捕まったのか?」
生きる気力をなくすほど、愕然としたクルタはその場に座り込んだ。
「なんていうことだ・・・。」
彼は愕然とした。
もう、帰る場所を失った。
優しかった皆も、そこにはもう居ない。いや、待てよ。
「そういえば洞穴に身を隠すといっていた。そこに居るのでは?」
大急ぎでその洞穴へと向かった。
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声が・・・聞こえる。
「ここに、巨人族がいるはずだ。何処へ行った?」
人間の声だ。
「知らぬ。そんな奴はここにはもういない。」
長老の声だ。
よかった、皆まだ生きているのか。
「ならば何処へ行った?
その巨人は、巨人族の中でも上位の、いや、巨人族の王族と言ってもいい、彼らの力はわれら人類の脅威になりかねん。
殺さねばならんのだ。」
なんのことだ?王族?そんなバカな。
「知らん、彼は心優しい巨人だ。とてもキング・トロールには見えなかったがな。」
「ふん、やはり知っていたか。
ならばこうしよう。
お前達の命は助けよう。もちろんこの場所も口外しない。
巨人の行方を言えば、だ。」
「知らんのだよ。しょうがないではないか。」
なぜ?僕の行き先を言えば助かるのに。
「これで最後だ。巨人族の居場所を吐け。」
「・・・・・・。」
彼は、長老は間違いなく自分の居場所を言うと思っていた。だが・・・。
「知らぬ。皆、知っているものはいるか?」
「いや、知りません。」
「ああ、知りません。」
「・・・彼はわしらの家族なのだ。大事な、大事なかわいい息子なのだ。」
!!
「・・・処刑しろ。皆殺しだ。」
その言葉を聴いて、思わず大声で叫んだ。
「僕はここだ!皆を殺さないでくれ!!」
「ク、クルタ!」
「ほう、これが、あのトロルか。赤褐色の肌、いかにも凶悪そうではないか。」
「僕は大人しく捕まるから、その人たちは見逃してくれ。頼む。」
「よし、わかった。大人しくこっちに来て、貴様の身動きを封じさせろ。」
そうして、クルタは大人しく従った。
腕と足をロープでぐるぐると巻かれ、完全に動けない状態になった。
「クルタァ〜!」
「コリン。」
姿は見えなかったが、洞穴の奥底から、コリンの泣きじゃくる声が聞こえた。
「今まで、ありがとう。」
「・・・よし、ここにいる妖精をすべて始末しろ。」
「え?」
耳を疑った。
自分は大人しく言うことを聞いた。
彼らには殺される理由が無い。
今、この人間はなんと言った?
すぐ傍の長老が切られた。
その銀色に輝く長い剣はそれだけには留まらない。
悲鳴が、泣き叫ぶ声が聞こえる。
脳の中をその鮮明な声が通り過ぎる。
「何を?待ってくれ!!僕は大人しく捕まったじゃないかぁ!!」
「黙れ化け物が。」
「やめてくれ!やめてくれ!どうして、どうして!!」
「妖精なんて生き物は存在しなくていいからだ。」
銀色の刃物はゆらりゆらりと揺れる。その度に悲鳴が。
笑いながら、その刃物を振るう人間は、まるで化け物。
父や母と同じ・・・。怖い、怖い。
ただ、純粋に恐ろしいのだ。
「ぁぁーーーーーー。」
自分が何を言っているのかさえ、理解できない。
助けて、助けて神様。僕は、僕はどうしたら・・・。
この時助けてくれたのは、神様ではなかった。
・・・それは悪魔。
だが、今の彼にはやさしい暖かい手を差し伸べてくれた。
その、大きな巨体の持ち主の身体に、いまだかつて見たことも無い感情が全身を駆け巡った。
それは、まさに旋律が鳴り響いたような。
その合図と共に、彼は変わった。
瞳孔は開き、奥歯をガチガチと震わせ、溢れ出てくる唾液を地面に撒き散らし、荒い息を吐きながら彼は・・・狂った。
家族が殺されて、悔しい。復讐する、そういった難しい感情ではない。
ただ、己が楽しむがためだけに・・・。
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暴れるんだ、ロープなんか紙くずさ。
殺す。
ひたすら殺すんだ。
踏み潰す。
握り殺す。
喉が渇いたら首を引きちぎるといい。
おいしいジュースがたくさん出てくるよ。
「叫び声が聞こえるよ?どうすればいいの?」
なあに、それは子守唄さ。ほら、うっとりするぐらい心地よい唄だろう?
「ああ、そうだね。気持ちいい。」
「やめろ、助けてくれ・・・。」
「この人が最後なの?思いっきり叩けばいいの?」
いや、首をそっと掴んで壁に押し付けるんだ。
「こう?」
「あが、がああ。」
腕を思いっきり握りつぶしてごらん。
「こうかな?」
グシャ、骨の砕ける音と共に、その原型は無くなった。
どうだい?君は演奏会に行ったことはあるかい?
「ううん。いったことなんてないよ。」
そうか、そうやって音を奏でるんだ。
ほら、次は足だよ。
「こう?こうかい?」
そうそう!ほらどんどん鳴らすんだ。心地の良いメロディだなあ。
「ほんとだ!あはは。なんて気持ちの良い音を出すんだろう!愉快だなあ。愉快だなあ!」
ア、ハハハハ、アーハハハハッハッハッハッハッハ・・・・・・
夜になってもトロルの笑い声は絶えなかった。
「ク、クルタ・・・。」
その惨劇の中で、一人の妖精の少女は生き残ることに成功した。
だが、彼女の愛した巨人族の少年は、彼女の知っているクルタではなくなっていた。
その姿はまさしく、巨人族の王。
事実、クルタは巨人族の王としてこの世に生を受け、教育されてきた。
それが嫌で、彼は逃げ出したのだ。
だが、運命とは酷なもので、彼はこの森の王としてそこに存在することになる。
以前の、心優しかった彼はもうここにはいない。
その妖精の少女は、クルタのことをずっと見続けることになる。
やがて彼女は死して尚、この森の精霊として、クルタの暴走を見届けることになった。
彼女は、涙を永遠と流しながらその森に一人で存在する。
この森は、そんな彼女の切なさや苦しさが満ち溢れた・・・悲しい森なのである。
妖精の森(Fairy forest)、その真名を妖精涙の森(Fairy tears forest)という。
これは、とある旅人が、森の泉で見た妖精が永遠と涙を流していたことから、名づけられた名前である。
END
お読み下さって、誠に有難う御座いました。
妖精の森を英文にすると「the forest of the fairy」(間違ってたらすいません)という長い文になりますので、「Fairy forest」と書かせていただきました。
正確には妖精の森じゃなくて、妖精森になってしまいます(泣)。
tearsというのは「涙」という意味です。
妖精涙の森はちょっと無理やり過ぎたかとも思いますが、お許し頂きたいです。
長々と文を綴って申し訳ありませんでした。
お読み下さって本当に有難う御座いました。
よろしければ、指摘、誤字、感想など頂けると光栄で御座います。