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国境

次の街、イレナではまだアクトは指名手配されておらず、レインから押収した金貨で宿をとる。


少し時間があったので街を歩いていると、

路地裏から商人風の男に声をかけられる。

「そこなお方…奴隷はいりませんか?

 今魔人族を安く売ってますよ?」

と言う。


「魔人族?なんだそれは?」


「神を信じぬ愚かな人種です

 我ら純人族と対立する魔王の手先なのです」


少し見てみるか…

俺は少し興味が湧き、奴隷商の元へ向かう。


「ほとんどが獣人族ばかりですが…

 今日は魔人族を手に入れたのでお安く奴隷を購入できますよ」


俺は魔人族の元へ歩く。

まだ12歳くらいの女の子だ。

見た目はただの人間じゃねぇか…

ただ神を信じないだけで人種が分かれ、こんな目に遭わされているのか…。


「お前は神を信じないのか?」

と少女に問う。


「神なんか…いない…

 私たちは自分達のことしか信じない…」


少女は弱々しい見た目をしているが目は強い意志を持っていた。


「その自分達を信じてこんな目に遭ってるんじゃねえのか?…」


「言っても無駄ですよ

 私も色々な道具を使って神を信じさせようとしましたが一向に信じようとしないのです」


商人は鞭を持つ、少女は少しだけ怯えた表情を見せる。


「…気に入った…コイツをもらう」


「ありがとうございます!!

 お値段金貨10枚となります」

 


俺は金貨を商人の目の前に差し出す。


俺は金貨を受け取ろうとした商人の腕を掴み、顔を床に叩きつける。


そして商人から鍵を奪い他に捕まっている獣人族達に鍵を投げた。


「い…一体なにを!?」


檻から次々と獣人族がでてくる。


俺は商人をその獣人族達の元へ放り投げる。


「そんな…や…やめてくれ

 助けてくれぇえ!!」


殺意に満ちた獣人族の目を見て商人は俺に叫び声を上げ助けを求める。


「助けを求める相手が違うんじゃねぇか?

 さぁ…お前は神様に助けてもらえるのかな?」


俺は冷たい目で商人を見る。


「な…なんだ…一体お前は何者だ…」


商人は獣人族の爪や牙により見るも無惨な姿になり息を引き取った。


よほど酷いことをされていたのだろう。


俺は魔人族の少女の檻を開ける。


「そんなことしても…私は神を信じない…」

と言う彼女に俺は


「信じる必要ねぇよ

 ていうか俺も信じてねぇ…」

と言うと少女は驚き俺の顔を見る。




「だから…これからお前は俺を信じろ」



悪魔の様に微笑み俺は少女に手を差し伸べる。

少女は悪魔の手を取り、暗くじめじめした奴隷商を抜け出した。


〜 〜 〜 〜


「はむっ…バリバリ…」

俺は魔人族の少女と料理屋に来ていた。


「お前名前はなんて言うんだ?」


「…リズ…バリバリ…」

「そんなに慌てて食わなくても誰も盗りゃしねーよ」

と言い俺も食事する。

「バリバリ…!?」

う…美味い…

この世界は食べ物が美味しいのだ。


今食べている魚料理なんかはただ魚を丸ごと揚げて甘辛いソースをかけているだけだ。


なのに美味い…


こんな食事は獄中ではまず味わえない。


白身魚の様な身に高音で揚げた衣がバリバリと心地よく

甘辛いソースとも相性が良かった。


この魚には骨が搭載されてねんじゃねえか?

と思うほど骨もない。


そして口に残った油ごと頼んでおいたエナジードリンクで流し込む。


強炭酸に柑橘系のすっきりとした甘みが口を洗い流す。


「!?…エナジードリンクって…

 本当に体が回復した感じがするぞ…」

と俺が食事を楽しんでいるとラゥが


「貴方の名前は?」と聞いてくる。


「アクト・ヴァンダルクだ

 アクトでいい…」


「わかったアクト…私のマスター


そして俺達は宿に戻って寝ることにした。





次の日、俺は鼻と口に泥ををつけられた夢を見た。


呼吸が辛くなり起きると、リズが俺の顔に抱きついていた。


「がはぁっ!!死ぬ!

 リズ!!寝るなら自分のベットで寝ろよ!」


と言うがリズはまだ夢の中だ。


「はぁ…とりあえず出発の準備をするか…」


街を歩いて便利なアイテムはないかと探す。


俺は服屋を見つけ、レインの持っていた服や装備と新しい服を交換して店を出た。


すると街の人のふとした会話が耳に入った。


「昨日勇者様の一人のカミサカ様が神具を手に入れたそうだぜ!!」

「魔人族の奴らもびびってるだろうな

 これで魔王の腹心の魔具に対抗できるな」


そこで俺はその会話に出た魔具に興味がでた。


「おい…」


俺はそこで会話していた二人に話しかける。


「なんだよ今いいとこ……ひぃっ!!」 



「その魔具ってのはなんなんだ教えてくれよ」


そして俺は魔具についてある程度情報を入手した。


「あ…悪魔みたいなやつだったな…」

「あぁ…対時してるだけで生きる自信を失う様な…そんな感じだった…」



俺はその後宿に戻りリズを連れて街を出る。


「着替えたか?」

「うん…」

俺は服屋で買った新しい服をリズに着せて出発する。


「とりあえずリズの故郷へ向かうぞ」

「わかった…」


俺達は街の先にある国境へ向かった。


純人族と魔人族の国境ではお互い見張りがついて


魔国にたどり着くのはそう簡単では無さそうだ。



国境にはどうやって作ったのか10メートル程の壁が二つの国を分けていた。



俺は門のある場所へと向かう。


「止まれ!ここから先は魔国だ!

 一般市民は立ち入る事はできない」


と言うので俺はレインのマントに付いていた勇者の証を見せる。


「勇者様!失礼致しました

 先へお進みください!!」


国境の頑丈な門が開く。


「アクトは…勇者なの?」

「元…だけどな

 これは親切な奴が譲ってくれたんだ」

俺はレインに感謝する。


魔国に入りとりあえず街を目指す。



ありがとうございました。

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