7自然公園の夜獣
日奈たち四人は田舎から帰り、平和な日々を過ごしていた。
いつの間にか夏休みも終わり、学生たちは再開を喜びながら学校へ向かう。
日奈も毎日を楽しみに学校へ通っていた。
通学の途中、ふと日奈は自然公園を見る。
「あ、いつの間にか街灯ができてる。」
数か月前から作られていた街灯が、やっと完成したようだ。
小さな少女が、公園で遊んでいる。
「あ。」
突然強い風が吹き、少女の持っていた風船が街灯のてっぺんに絡まってしまう。
(こんなところで飛び上がったら目立つしなあ。)
日奈は肩をすくめながら公園の横を歩いていく。
「お~い、日奈~。」
「んあー?夜遅くに何?」
夜。日奈は誰かに起こされる。
「実はさ、前のやつより特大の夜獣がいるんだよね~。」
「あー、そうなの?オケオケ、倒しに行くよ。」
日奈はあくびをしながら起き上がった。
「で、場所はどこ?」
「自然公園の近く~!」
三人と合流した日奈は、町の中を走っていく。
「このへんだよ~。」
菜々子は自然公園の横の道で止まる。
「どこから来るかわからねえ。気をつけろ。」
陽介が呼びかける。
その直後、
「台風!」
公園から飛び出してきた夜獣に、明が最も早く反応する。
「うわ、でかい。」
「気を引き締めていくわよ。」
桃子は早速駆け出す。
「闇夜のおぼろ月!」
闇におぼれた月は、夜獣にぶつかり爆発する。
しかし、夜獣は怒っただけで、ダメージは入っていなかった。
「おいおい、本当にやべえ奴じゃん。」
陽介は冷や汗をかく。
「それでも、私たちは夜獣を倒さないといけない。」
桃子は答え、再び夜獣に立ち向かう。
「日奈さん、合体技だよ!」
「あいよ!」
明の呼びかけに日奈が応じ、二人は一斉に魔法を放った。
「明るい風!」
「渦巻く光!」
光をまとった風と風をまとった光が合わさり、竜巻のように渦巻いて辺りを照らす。
風は夜獣を包み込み、蛍のように切なく散る。
「おお、けっこう効いたんじゃない!?」
「いや、あまり変わってねえ。」
夜獣はますます怒りを募らせ、こちらに攻撃を仕掛けてきた。
鋭い爪を道に突き刺し、容赦なく牙で四人を追い立てる。
「そうやって危ない攻撃すんのはやめろ!」
陽介は手のひらから炎を生み出す。
牙と爪は消え去り、夜獣は代わりにしっぽを振り回し始めた。
今まで引っ込められていたしっぽは、今では武器と化している。
それを見て、日奈は驚いた。
しっぽを見て驚いた。
夜獣のしっぽに、桃色の風船が、絡まっていた。