4田舎への旅行
もう夏休みも中盤だ。
小学生たちは公園で楽しそうに遊んでいる。
そして、中学生は部活動に励んでいる。
しかし、今日は休日だ。
この日に旅行に行く人も多い。
それは夜獣狩りたちも例外ではなく…。
「えっと、このホームの電車でいいんだよな?」
「そうっぽいですね。」
「おい西原、きっぷ落としてるぞ。」
「えっ。」
明は慌ててきっぷを拾う。
「楽しみだな~。何しようかな?」
「自然観察でも、虫取りでも簡単よ。田舎町だもの。」
そう。四人は田舎町に行って疲れをいやそうとしているのだ。
二泊三日の旅行。四人はワクワクしていた。
「あ、電車来た!」
「早く乗ろうぜ!」
日奈と陽介はノリノリで電車に乗り込み、明と桃子がそれを追う。
ガタンガタンと電車に揺られ、四人は目的地に到着する。
「なんか空気がいい感じ!」
日奈は深呼吸をする。
「宿は、駅の近くだったはずよ。」
桃子は先頭を歩き始める。
「…ほんとに近くだな。」
「一瞬で着いたね。」
明と陽介は大きな宿を見つめる。
「さあ、入りましょう。」
四人はぞろぞろと宿に入り、チェックインを済ませる。
「部屋は、女子と男子にわかれればいいんじゃね?」
陽介の提案に三人は賛成する。
「で、桃子さん、今日は何もしないんですよね?」
「ええ。今日はもう午後になってしまったし、休憩よ。」
「じゃあ本でも読もうかな~。」
日奈は推理小説を読み始める。
桃子はコンビニで買ったどら焼きを食べ始める。
「…おいし。」
「休憩っつったってやることねえな。暇だ。」
「そうですね。」
「俺、売店見てくるわ。」
「僕は、絵を描いてますね。」
陽介は部屋を出て、明はスケッチブックをカバンから取り出した。
時刻は午後六時。
四人は食堂へ向かう。
「山の幸がおいしいっ。うま、うまま。」
「のどに詰まらせても知らねえぞ?」
日奈は白飯やらキノコやらを、がつがつと食べている。
「確かにこれ、おいしいわね。」
桃子も嬉しそうに箸を動かす。
「やっぱり桃子さん、浴衣似合いますね~。」
「日奈だって似合ってるじゃない。」
「えへへー。」
日奈と桃子は明たちよりも早く風呂に入ってきたのだった。
「今日は何もやることないし、寝ちゃおっかな?九時だけど。」
「別にいいんじゃない?長旅で疲れたでしょうし。」
日奈はベットに横になる。
「…なんか新鮮な感じがします。引っ越した時と同じような感じ。」
「引っ越した時、ね。」
「もう半年くらいか、こっちに戻ってきてから。」
そう言って日奈は目を閉じる。
昔はたくさん遊べて、楽しかったな…。
目を閉じると、思い出が蘇るのである。
そう、これはまだまだ日奈が小さかった頃の話…。




