プロローグ夜獣と夜獣狩り
夜は、不思議と昼間よりも怖いものだ。
人のいない恐怖、暗い恐怖、静かな恐怖、暗闇の中で人に囲まれる恐怖。
夜は、恐怖であふれている。
さて、ここは蛍町という小さくもない町である。
街灯はたくさんあるし、夜もある程度の車が走っている。
それなのに、落ち着かない。
その理由は、化け物が暴れまわっているからである。
化け物どもは、夜獣という名前の生物で、名前の通り夜の野獣である。
夜に活動するため、夜の光と呼ばれている。
昼間は目立ってしまってしょうがないので、仕方なく夜に活動しているのだろう。
夜獣たちは、人をさらったり、災害を起こしたり、人が死にかねない危険ないたずらをしている。
人間たちも恐怖という形で夜獣の存在を意識しているが、夜獣は人間には見えないので、気づかない。
普通の人間には、見えないのだ。
そう、こんなに危険な怪物を放っておくわけにはいかない。
だから、夜獣たちを倒す人間たちがいるのだ。
「ふー、今日の夜獣狩り終わり~。」
「今日の敵は手ごわかったわね。」
「俺も疲れたわ~。」
「僕も、早く帰りたいな。」
四人の人間たちが、マンションの屋上に座り込んでいる。
そう、四人は夜獣を倒す人間、夜獣狩りである。
四人の名前は、東野日奈、本田桃子、斎藤陽介、西原明である。
日奈と明は中学一年生、桃子と陽介は中学二年生である。
「じゃあ、みんな気を付けて帰るんだよ~。明日の仕事はなしだから、また明後日ね~。」
四人にそう言ったのは、菜々子という小人である。
彼女は何十年も生きている小人で、小人の里を夜獣に襲撃されたため、夜獣を恨んでいる。
とまあ、この五人が蛍町の夜獣狩り(菜々子はサポート)である。
日奈たちが夜獣狩りに選ばれたのは、夜獣を狩る才能と霊感があったからだ。
日奈と明と陽介は中学一年生になったばかりのころ、桃子は小学六年生の時に夜獣狩りになった。
夜獣狩りたちは『昼の光』という宝石を持っていて、その宝石の力で身体能力が上昇している。空を飛ぶくらい簡単だ。
頭も回るようになったし、けがもすぐ治るようになった。
よっぽどの致命傷じゃない限り、夜獣狩りの傷は治る。
まあ、痛覚がなくなるわけではないので、けがしたら普通に痛い。
「じゃあね~。」
四人はそれぞれの家へと帰っていった。
化け物と戦うのは怖い。
でも人間たちを守るため、彼ら彼女らは戦うのだった。