え……ドMなの?
「ついにこの日が来てしまった……」
テロリスト騒動から特に何も無く数週間が経過し、とうとう今日は俺の通っていた高校の入学式である。減魔の枷のせいで制服に腕を通すのすら手こずってしまったが、何とか高校生活の二周目が始まろうとしているのである。
入学式で校長先生の長い話を聞いた後、退場も含めて教室に向かう。校長先生の長い話ってなんかあれだよね、頭痛が痛いみたいな感じ出てるよね。いや、どうでもいいけど。
「うわ、懐かしいなこの雰囲気。」
やがて教室に着くと、その後ホームルームが始まるまでの時間で談笑するクラスメイト達が増えてきた。流石に名前を忘れたりはしないけど、高校卒業してしばらく経てば誰がどんな顔だったかって意外と分からなくなるもんなんだな。
しみじみとそう感じながら、俺は微笑んだ。
……さてと。達観するのはこのくらいにしておいて、そろそろ現実に目を向けよう。
「(ヤバい、このままだとぼっちになる。)」
えっと、その……ね?
分かると思うけど、俺一周目では友達殆どいなかったんだよ。何ならいじめられっ子だったしさ。
そして今の状況を簡単に言うなら、ミンナ、ハナス、ナカヨクナル。オレ、ノリオクレル、ボッチカクテイ、ってことだ。
まずい、それは避けないといけない。
ただでさえも面倒な高校生活が、一周目とほぼ変わらない底辺学園生活なんてまっぴらゴメンである。
という前置きがあって、今俺は教室で椅子に座ってどうしようかと思案している。ウルシュテリアでは基本的に修行する事に必死だったから、どうやって人と関わってたかなんて細かい事覚えてないんだよなぁ。俺フレメアとかとどうやって仲良くなったんだっけ……。
強くなるにつれて色んな人と交流してったのは覚えてるのだが、正直その方法は今全く役に立たない。自己紹介で「異世界で魔王倒して帰ってきたので仲良くしてください」とでも言えばいいのだろうか。論外だ。
あまりいい考えが浮かばないまま時が経ち、しばらくすると一人の教師がドアを開け入ってきた。それと同時にざわついていた教室内は少しずつ静かになり、やがて話が始まる。
「今日からこの1年1組の担任を務めることになった、教師の佐原だ。私の教え子になったからには、君たちには最大限学園生活を楽しんでもらうからな!みんな、宜しく!」
笑顔ではにかむのは若手教師の佐原美波先生。年齢は25歳と若いが、持ち前の活発さを武器に生徒と真正面からぶつかってくる、中々やり手の先生だ。俺もウルシュテリアに召喚される前の一周目の人生では、この人に相当お世話になった。この人がいなかったら、不登校になるか、下手したら自殺するレベルでいじめられていたかもしれない。
……しかも、相当美人だしなこの人。現に何人かの男子生徒は、顔を赤らめて先生に見とれている。
見た目も中身も優れているこの人に、惚れるなと言う方が無理な話なのかもしれない。だが残念だったな、この人は既に彼氏持ちだ!狙っているのなら大人しく諦めることだな!はーっはっは!………ぐすん。
「さて、初対面の君たちのことをもっと知るためにも、今から自己紹介をして貰おう。早速だが、名簿順に前に立って自己紹介を始めてくれ。まず、出席番号1番!」
改めて区切り直した先生の言葉に、クラスメイト達が応じた。次々と名簿が読み上げられ、それに応じて自己紹介も着々と進んでいく。
「それじゃ、次の生徒。出席番号6番!」
「はい。」
そして____
透き通るような声とともに、俺の隣に座っていた生徒が立ち上がる。その声が反射的に俺の意識を引き付け、俺に全てを確信させた。
これからを思案していたせいですっかり忘れていた。どうして、隣の席になったにも関わらず、今の今まで気づかなかったのだろうか。よく考えれば、一年生の頃確かに俺は彼女の隣の席から始まったのだ。
「うわ、あの子めっちゃ可愛い……」
「腰ほっそ!え、まさかモデル?」
容姿端麗、品行方正。入学から1週間経たずして学校内のアイドル的存在にまでなった、伝説級の美少女……
「大橋水面です。部活は演劇部に入ろうかなって思っています。たくさんの人と仲良くなりたいので、皆さんどうぞよろしくお願いします。」
そう、水面だ。先日のテロリスト騒動で既に会っていたが、学校でもまさかこんなに早く巡り会うとは思わなかった。
ハイスペックにも関わらず目立つのがその性格であり、一周目では負け犬人生を過ごしていた俺にすら優しく接してくれる、とても優しい女の子だった。想像してみろ、放課後の掃除を全て押し付けられた俺に気づき、「私も一緒に掃除してもいいかな?」なんて声をかけてくれるんだぞ。優しすぎるだろうが。
そんなこんなで、前の俺は女子と話す際に口篭る陰キャ野郎だったのだが、水面の前だけでは気にせず話すことが出来た。そういった数多くの局面でも、俺は水面に感謝してもしきれない恩を感じていたのだ。
そして……一周目では伝えられなかった、水面への想いも。
「……?どうしたの?」
「あっ……」
思わず彼女から声をかけられる。気付かないうちにガン見してしまっていたようだ。
「い、いや……よろしく」
「こちらこそ。お隣さんだね!私は水面。自己紹介、楽しみにしてるね!」
「…………」
……さて、どこから話せばいいか。
実はこの前のテロリスト騒動には、もう少し続きがあったんだ。
▽▽▽▽▽▽▽▽
ー【テロリスト騒動の直後】ー
「少しでも怖いって感情が薄れてくれていたら、それでいいよな。」
俺はもう魔王を倒して、ただの一個人として日本に戻ってきたはずなのに。柄でもなく、勇者らしい考え方をしてしまうのだった。
「大河くん……」
おーーっと!そうだよね!こんないかにもエピローグみたいに締めようとしたってそうはいかないよね!うん、知ってたよ!
「えーっと、水面、実は、その……」
「…………」
「なんて言うか……その、さ。俺って実は」
「……ったよぉ。」
「え?」
「怖かったよぉぉぉ……えぐっ、えぐっ……」
誤魔化し方に戸惑っていると、水面は俺に抱きついて泣き始めた。あまりの事に驚いてしまったが、確かにこうなるのも無理はないことだろう。きっとさっき俺の意を汲んで話を合わせてくれたのだって、自分が怖いのを必死に隠して、他の人を安心させる為にとってくれた行動なんだ。
ここまで来ると、流石に隠しきれねーよな。魔法が使えない以上記憶を消すことも出来ないし。
「あっ……」
そこで俺はある事を思い出した。
『それだけだと割に合わないわ。地球に帰還してから、どうしても必要な時があった場合、心の中で私に強く念じなさい。私に出来る範囲でなら、出来るだけ助けてあげるわ。』
そう、女神リューラの存在である。この前は居留守を決め込まれうんともすんとも返事しなかったが、今ならきっと呼べるかもしれない。
《おい、聞こえるか?》
頼む、届いてくれ。
《んー、やっぱりポテチはコンソメに限るわ!》
いやがった!!
《リューラ、リューラなのか!?聞こえてるか!俺だ、大河!ラージリヴァだ!》
《そしてポテチには〜、じゃじゃん、やっぱりコーラ!》
《……は?いや、嘘だろ?おい……おい!聞こえてんだろ!?マジで今ピンチなんだって!返事してくれ!この前のことなら怒ってないから!》
《キンキンに冷えてやがる!》
こ、この野郎……!
《お前自分で言った約束破るつもりか!!ふざけんなクソ女神が!それでも神か!》
《うーん、何か変な声が聞こえるわね。折角休日を満喫してるのに。なになに、【クソ女神】だって?》
《…………》
《気のせいかなー。まぁ気のせいよね。私はナイスバディな超ド級美人完璧女神のリューラ様だもんねー。ふあぁ、なんだか眠くなってきたわ。お昼寝でもしようかしら。》
《ナイスバディな超ド級美人完璧女神のリューラ様、聞こえますか!!!》
《ん〜、むにゃむにゃ。あと3回。》
《くっ、この……!ナイスバディな超ド級美人完璧女神のリューラ様!ナイスバディな超ド級美人完璧女神のリューラ様!ナイスバディな超ド級》
《うるっさいわね、聞こえてるわよ。》
こいついつかマジでぶっ殺してやる。
《そんで、何?なんか用?》
《今ピンチなんだよ。どうにかして周りにいる人達の記憶を消したいんだが……》
《魔法使えば良いじゃないの。》
《……減魔の枷を自分に装着したんだ。》
《え……ドMなの?》
《違ぇよ!本気で引いてんじゃねぇ!》
《自業自得乙WWW》
《元はと言えばテメェのせいだろうがよおおおおおお!!!ええ!?オイ!!ふっざけんじゃねぇよこのポンコツが!!ぶっ殺すぞ!?》
《ぷつん。》
《あ?何つった?》
《え、オイ?クソ女神?》
《いや、嘘だろ!?ちょ、ナイスバディな超ド級美人完璧女神のリューラ様!?》
《…………》
「……殺す。」
頼みの綱が切れた。あの役ただずクソ女神、覚えてろよ。絶対許さねぇ。
「大河くん?」
「あっ……こ、殺す、ころす、ころすぅ、け、コロ助!コロ助ナリ〜!……なんちゃって!」
「…………」
「…………」
何だろう、もう。死にたい。
「……ふ」
「ふ?」
「ふふっ、あは、あははは!やっぱり大河くんって何考えてるのかわかんないやっ!」
「あ、あはは……」
笑顔を向ける水面に、俺は微妙な顔しかできず顔を背け……そしてたまたま視界にそれが入ったことによって、気付いた。
減魔の枷が怪しく光っているのだ。
それと同時に身体がふわりと軽くなり、何かが俺の中に流れ込んでくるような感覚に陥る。
まさか。
……鑑定魔法、対象自分。
《鑑定結果》
【名前】黒木 大河
【性別】男
【年齢】15
HP:7£8^||
MP:╋~…5✲
攻撃力:6』¥&〆
守備力:%)G2•
俊敏性:↳▽0F7
魔力:_≡仝‥¢4
余剰スキルポイント:'☓‰1
【補足】こn0世かかかiのヰ般◈な\=間の平gに比ヴぇru斗ん$部ゃ亜%°:*<〆^…☆#######################
やっぱりだ!間違いない!魔法が使えるようになっている!何故だか分からないけど、間違いなく魔力が戻ってきてる!
「にしても、一体何故……」
普通に考えると、これはありえない事態だった。減魔の枷は複雑な発動条件とは裏腹に、解除方法は至ってシンプルである。その方法とは、莫大な魔力を注ぎ込むこと。ただそれだけだ。
勿論、方法がシンプルなだけで実際はそう簡単にはいかない。地球では文字化けするくらいの魔力量を誇る俺が仮に全魔力を注ぎ込んだとして、解除に必要な量を満たすには凡そ半分も届かないだろう。基本的に装着された者は生涯外されることは無いが、もしも何かの手違いや冤罪で拘束されてしまった人がいる場合、専用の大魔道士団が責任を取り、数十人規模で魔力を注ぎ込み解除するといった決まりもあるのだ。
ここで俺はひとつの結論に至る。地球にはウルシュテリア程大気中に魔力が溢れていない為、そもそも前提として解除に必要な魔力が枯渇しているのだ。それにも関わらず、俺は今魔法を使えている。これはつまり……
リューラが力を貸してくれたのだろう。
発光する減魔の枷が何よりの証拠だ。減魔の枷は術式が完成してから発動するまでの数分の間、怪しく発光するのだ。やがて発光を終えると効果が発動し、以降は大きな制限がかかることとなる。
「……何だかんだ、結局助けて貰っちまったな。ごめん、水面。」
「え?」
それが最後の会話だった。
俺はすかさず威圧スキルを広範囲に発動した。
ー【威圧】ー。読んで字のごとく、対象に恐怖の感情を与えるスキルである。ウルシュテリアでは魔物とかと不必要な戦闘を避けるときに使用していたものだが、調節次第では敵を怯ませるだけでなく、気絶させることも可能である。
少なくとも人間には抵抗できないだろう。
「…………」
音を立てずして、水面の身体から力が抜けた。それに続き、辺りにいた人達も皆気が抜けたかのように、次々と倒れていく。やがてこの場にいる人達の中で気絶していないのは俺だけになった。
「さて、次だ。急がないと……」
リューラのくれた僅かな時間を逃してしまえば、再び減魔の枷が発動してしまう。そうなれば二度とチャンスはない。きっとこれが、あいつに出来る『最大限の出来る限り』なのだろう。
辺りを駆け巡りながら、一人ひとりに魔法を使って記憶の消去を行っていく。もっと時間をかければ消すだけじゃなく、足りない記憶の補完や修正が可能だが、テロリストも含め40人程いるこの場ではそうも言っていられない。俺に関する記憶を消すのも色々手順が必要で面倒なので、手っ取り早くここ1時間程の記憶を消すことにした。少々強引ではあるが、最低俺に関しての記憶が消えていたのなら問題は無い。
念には念を入れて、一応全員に治癒魔法をかけておいた。足を撃たれた警備員さんには鉛中毒の危険性を考え、解毒魔法もかけた。仕方ないからテロリスト達にもかけてやった。殺されてもおかしくないような奴らだが、ここは日本だ。万が一にも警察のお世話になりたくないからな。ここが異世界じゃなくて良かったな!けっ!
「さて……」
同じく水面にも治癒魔法をかける。彼女に至ってはもっと前からいたので、やむを得ず1日分の記憶を消すこととなった。そのまま彼女をおぶった俺は、転移魔法を使って大橋家の一室に辿り着く。
「……懐かしいな、この部屋。」
着いた先は水面の部屋。高校時代、浩輔と3人でよく遊んだのを思い出す。当時に比べて少し殺風景な気もするが、散らかりのない綺麗な部屋だった。
ベッドに水面を降ろすと、靴を脱がせて布団をかける。これで、目を覚ました時にはきっと今日の事自体夢だったと思ってくれるだろう。
状況が状況とは言え、やっている事自体は不法侵入に変わりない為、俺は急いで大橋家を後にした。勿論靴はちゃんと置いてきた。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
ギリギリで転移魔法が間に合い、俺は自室に辿り着く。数秒遅れて減魔の枷が発光を止め、途端に体が重くなった。荷物の入っていた袋を放り投げ、そのまま布団にダイブする。
「あー、めっちゃ疲れた!こんなに焦ったのは魔王討伐以来だ!」
そう叫ぶと、俺は欲望に身を任せて眠りについたのだった。
▽▽▽▽▽▽▽▽
これがあの日にあった全貌である。
そう、一時的に魔法が使えるようになった俺は、水面の記憶の改変を行ったのだ。この反応からしてどうやら記憶の消去は上手くいっていたようだ。やはり少し寂しくもなるが、これでいい。また少しずつ仲良くなっていけばいいだろう。
____そして。
「ありがとう。それじゃ次、出席番号12番!」
「えっ?」
ようやく耳に入った先生の声に、思わず声が漏れ出た。
1クラス40人制のこの高校。教室内は6人列と7人列で構成されており、俺と水面がいるのはこの6人列の方である。となると、出席番号6番の水面の隣である俺の出席番号は…………
「……えーっと、黒木くん?どうした、具合でも悪いのか?」
「あっ……いえ、大丈夫です!」
先日の回想に浸っているうちに、気がつけば自己紹介は俺の番になっていたようだ。あたりを見渡せば、クラスメイト達は皆同様に俺へと視線を向けていた。まずい、悪目立ちするのはなるべく防がないと。
急いで壇上へ向かうと、俺は皆に自己紹介をする。
「く、黒木大河です!部活はまだ特に決めてませんが、皆さんと仲良くやっていけたらいいなと思っています。一年間よろしくお願いします!」
よし、少々焦りつつも無難に語ることが出来た。こういった所で下手に目立った自己紹介をしようとしても、かえって悪目立ちしてしまう可能性の方が大きい。クラスメイト達の社交辞令的な拍手を受けながら、俺はそそくさと自席に戻ろうとした……その時であった。
がたんっ。
「っ!!」
席から通路に伸びた一本の足。それにつまづき、前へと倒れてしまう。刹那、俺は思い出した。
出席番号11番、久保田翔平。俺の中のブラックリストのトップに乗る男で、俺に起こるいじめの大半はこいつが仕掛けたものによる行為だった。
そして、こいつには誰も逆らえなかった。こいつ自身喧嘩が強いのもあったのだが、何より3年生のこいつの兄貴がいわゆる番長的存在で、それを理由に上級生ですら迂闊に手を出せなかったのだ。もちろん、陰キャの俺なんかには勝てる道理もなかった。
ってか、さっきからなんで確認してないんだよ俺。右隣と前に、一周目の人生を大きく変えた人間がいるってのに。水面はいいとして、久保田だけは何がなんでもチェックを付けておくべきだったんだ。そうだよ、自席に戻る際、俺はこいつにふざけて足を引っ掛けられたんだった。そのまま前につんのめって盛大にすっ転び、クラス中のいい笑いものになったのだ。心配してくれた佐原先生も、僅かに笑いをこらえていたのを今でも覚えている。正直泣きたくなったし。今思えば、クラスの中での立ち位置が最下層になったのも、これが始まりだったんだな。
というか、ぶっちゃけそれは嫌だ。二周目も最悪の走り出しから始まるなんて、まっぴらゴメンである。どうにかしてこの状況回避しない………と?
ウルシュテリアでの経験が身に染み付いた俺は、気がついた時には無意識に手を前に出していた。
そのまま教室の床に手をつき、そして曲げる。
タンッ、ギュルッ、ビュバババババ!
反動と勢いを殺すことなく上手く使い、足はぴんと伸ばしながら跳ね、縦1回横2回転半のひねりを合わせた体操選手も真っ青の空中技を魅せ……
すたっ。
__綺麗に着地した。
「…………………………」
思わず反射的にとってしまった俺の行動に、教室中が静まり返る。
……ヤバい、非常にヤバいぞこの状況!
ちくしょう、悪目立ちしちゃいけないのに!
このままじゃ一周目と同じように辛い結末が……
「…………う」
「うおおおおおおおおおっ!?」
「すっげえええええ!!」
「ヤバっ……嘘でしょ!?」
「なんだ今のっ!!」
「動き人間離れしてるぜ!!」
「カッコいい……」
「なんかすげぇやつがいるぞ!?」
「え、あの……」
そんな俺の考えに反し、クラスメイト達が歓声をあげた。当の俺としてはやってしまった感をバリバリ出していたのだが、彼らはそんな事に全く気付かず、期待の眼差しを俺に向けている。
「「「「「「TA・I・GA! TA・I・GA! TA・I・GA!」」」」」」
俺にかかる無数のコール。名前すら覚えられずに終わったあの頃と違い、皆が俺の名を口にしているのだ。
「えぇ……」
高校生活、初日。
一周目とは比較にならない程好調(?)な滑り出しと共に、俺の二周目の高校ライフは幕を開けた。
誤字脱字あれば教えてくれると有難いです。
評価もしていただければとても嬉しいです。